書評「アルノス第三公国内紛史~その裏側~」
アルノス第三公国における内戦の歴史は、教科書などで知った人も多いのではないだろうか。
我らが祖国の建国の父、チェリテス=ドザンキンが反政府派のリーダーとしてその頭角を現し始めたあの内戦である。
まーたその類の歴史書か、と敬遠しそうになった人もいるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。
確かに、古くはドザンキンの腹心であったクライハヒッチによる「ドザンキン伝記」によっても内戦は語られ、その後諸々の歴史学者や創作家たちの手によって彼の内戦は語りつくされてきた。
マイアリジトの傑作「内紛史」などはその細かな調査だけにとどまらず、読み物としてもすぐれ国語の教科書にすら載っている。
いい加減に内紛史は読み飽きたという人も多くいるのではないだろうか。
しかし、そんな人は安心してこの一冊を手に取っていただきたい。
なんといってもこの一冊はアルノス内紛の〝裏側〟なのである。
ドザンキンたちが歯向かったアルノス政府は、なぜレジスタンス組織ができるまでに失策を重ね続けたのか。
ドザンキンが解放した村々に対して行ってしまった失敗とは?
ドザンキンの意外な一面とは⁉
このような内容がコミカルな調子で描かれ、我々読む者を飽きさせない。
そして、この本を読み終えた時、あなたはこれまでの内紛史では描かれてこなかったあの内戦の〝真実〟を知ることになる。
建国三百周年となるこの年に、今一度この国の成り立ちに思いをはせ、ドザンキンを神聖視するだけでない新たなる視座が必要になるのかもしれない。
☆★★★★
ドザンキンの行為の一つ一つを悪意を持って解釈したような非常に不愉快なものだった
重箱の隅をつついて、ないホコリから無理やり煙をたたせるような本
星1つ
☆☆☆★★
ドザンキンの行為に対して今までしたことがないような考察が加えられていて非常に興味深かった。
あと、単純にドザンキンがペネコラットを趣味としていたとは知らなかった。
所々考察の甘いように感じた個所もあるが概ね楽しんで読むことができた。