6話 王都探索!
やった……倒した。
……っ!?
突如、嫌悪感と吐き気、倦怠感が凛を襲う。
【魔力量】 0/172,929,729,727
魔力切れかっ……
やばいっ!意識が飛……
そこで凛の意識は途切れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ん?
ここはどこだ。
凛は体を起こそうとしたが、倦怠感があり、起き上がれない。
吐き気もする。
ああ。魔力切れになったのか……
「凛くんっ! 大丈夫!?」
香奈枝の声が聞こえたが、どこにいるかはわからない。
「……なんで……魔力……切れ……【アトム】……」
『レッドストーンゴーレムのコアを消去する際、とても硬かったため、相当な魔力を使ったようです。』
あれそんな硬かったんだ……
『魔法を使ったらどうですか?』
……そうだな
今魔力は1万か……
「我が魔力が……祝福……っ……」
うっ、言いずらい。
「魔力量……回復」
「凛くん?」
うっ、急に眠気が……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ん?
香奈枝?
起きた凛の目の前で、香奈枝が寝息を立てていた。
ーー二度目だな……
魔力は回復したみたいだな……
倦怠感もないから全回復したみたいだな……
窓に目を向けると、外はすでに暗くなっていた。
……香奈枝ここで寝ずの番だったのかな?
香奈枝に目を向けると、やはりまだ寝ている。
……念のため寝とくか。
もう一度ベッドに身を投げ出す。
寝返りを打つと、香奈枝の顔で視界がいっぱいになった。
……っ?
少し後ずさる。
……可愛いな。
俺は頭を撫でようと香奈枝の頭の上に手を持っていく。
……ってこんなことして大丈夫か?
手が止まった。
……やめとこう……
そう思ったら、香奈枝が頭を上に動かした。
……っ!?
俺は混乱した。
髪はサラサラで触り心地がいい。
俺は思わず手を引っ込めた。
……寝相かな?
と思っていると……
「あっ」
という声が聞こえた。
「香奈枝? 起きてる?」
香奈枝は寝たふりを続けている。
絶対起きてるだろ……
そう思いつつも俺はまた意識を手放した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ん。朝か……
香奈枝はもういない。
周りを見渡すと、病院のような感じの部屋に俺はいたらしい。
朝ごはんを出して、食べているとそのうち香奈枝とケンウンが入ってきた。
「だっ、大丈夫?」
香奈枝は相当動揺している。
ーーやっぱり昨日あの時起きてたんだろうか?
「大丈夫か? 凛。」
ケンウンは平常だな。
「モンスターが湧いて出ていた紅い石を壊した。そうしたらレッドストーンゴーレムが出てきたんだ。」
「ああ、洞窟を見に行った騎士が、紅い石でできたゴーレムが倒れていて、その近くに凛が倒れていたと聞いておる。」
「レッドストーンゴーレムを倒せたは倒せたんだが……倒した時に魔力切れを起こした。」
「なるほどな……その割には全回復してないか?」
「回復魔法を使ったらすぐに魔力全回復できたからな。」
ーーちなみに香奈枝はもじもじしていて、話しかけてこない。
「? 凛。 お主誰に魔法をかけてもらった?」
「普通に自分で。」
「普通は自分に使えないぞ?」
「え? そうだったんだ。」
「……」
これは魔術10,000越えだからこそできる芸当だよな。
「面接は一週間後になった。まあ今回の件もあったし、SSは確実じゃろう。」
「わかりました。」
「じゃあわしはもう行くぞ。」
「はい。」
「えっ? ちょっ?」
「あとは二人で話しておれ。」
そしてケンウンは出て行った。
「とりあえず一週間どうする?」
「なっ、なんでもいいよ。」
「じゃあ王都探索してみる?」
「いいよ……」
「じゃあ……王都探索!」
とりあえずベットから降りて、外に出ることにした。
病院らしきところから出ると、街らしきところに出た。
奥には商店街らしきところもあり、さらに奥には城が見えた。
「よし行こう!」
俺は香奈枝と王都探索を始めた。
「とりあえず冒険者ギルドに行ってみる?」
「あ、うん、い、いいよ。」
俺たちで冒険者ギルドに入ると、冒険者はほとんどいなかった。
装飾には一部金も使われていて、豪華な感じのギルドだった。
「何か一つぐらい依頼を達成する?」
「う、うん。いいよ。」
とりあえず、何か一つ依頼を選ぶことにした。
「依頼をお探しですか?」
「あ、はい。」
どうやら受付嬢が依頼紙を貼りに来たらしい。
メガネをかけていて、目元は見にくいが、ショートヘアーで、どこか影のある人だ
。
「ギルドカードを持っていますか?」
「はい、これです。」
俺は受付嬢にカードを渡した。
「Fランクですね……って凛様!?」
「?」
「あ、こっちが私のカードです。」
「えっ!? 香奈枝様!?」
「俺たちのことを知っているんですか?」
「はい、ギルドマスターに今度SSランク昇格試験をすると聞いております。SSランク冒険者も倒し、凛様はモンスターの大量発生を食い止めたと聞いています。一応凛様と香奈枝様はSランク級の試験まで受けられます。」
「なるほど。わかりました。オススメのクエストはありますか?」
「でしたらこれはどうでしょう。」
俺は内容をみてみた。
うん。問題なさそうだね。
「受注っと。」
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クエスト ランクS
ファイヤーゴーレムの討伐
討伐証明物
・ゴーレムの破片
報酬
基本報酬 : 300ギラム
追加報酬 : 30000ギラム/匹
クエスト受注者
・リアム・ファイン
・星晶 凛
・祈祷 香奈枝
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ほかに受注者がいるけど、問題はないだろう。
俺たちは早速ファイヤーゴーレムが出現する草原へ出発した。
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俺たちは、アトムの矢印に案内されながら、あたりが焦げている場所を見つけた。
「ここら辺にファイヤーゴーレムがいるはずだ。」
「あっ! 凛くんあそこっ!」
香奈枝が指差した方に、炎のようなが見える。
目を凝らすと、ゴーレムの形だとわかった。
「行くぞ。」
「うん。」
転移魔法でファイヤーゴーレムから少し離れたとこに出現する。
「僕が水魔法で火を消すから、そうしたら香奈枝が攻撃して。」
「わかった。」
「水龍」
龍となった水がファイヤーゴーレムを襲う。
ジュウッ
「なっ!?」
なんとファイヤーゴーレムが出した炎の龍によって水の龍は消される。
凛が驚いてる間にファイヤーゴーレムが距離を詰める。
とっさに転移を使って避ける。
まずいな……
極大魔法を使うか?
【鑑定】
ファイヤーゴーレム Lv324
【攻撃力】1,025
【防御力】1,304
【体力】2,243/3,034
おっ鑑定が自動発動した。
誰かが体力を削っていたみたいだな。
よしっ!極大魔法にしよう。
「我が魔力よ 水の竜巻を作り上げろ ……水竜巻」
ファイヤーゴーレムの足元から、水の竜巻が発生する。
「っ? 香奈枝?」
気付くと香奈枝はファイヤーゴーレムの近くでうずくまっていた。
「原子操作っ!」
急いで香奈枝をこっちに来させる。
「香奈枝っ! 大丈夫か!?」
「んっ……無理しちゃった……」
「今回復させる。回復」
香奈枝が温かい光に包まれる。
「んっ。ありがとう。」
「無茶しないでくれ……」
「……わかった。破片取ってくるね。」
「ああ。」
俺もちゃんと香奈枝を見てなかったのが悪かった。
「はい。ゴーレムの破片っ。」
「ありがと。」
俺たちはゴーレムの破片を持って、ギルドに戻っていった。
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「すいません。依頼達成してきました。」
「えっ? もうですか?」
「ええ。これがゴーレムの破片です。」
「すごいですね……一応あのクエスト結構前からあって、なかなか討伐できず、そろそろSSランク級になりそうでした。」
「そうだったんですか。確かにあれは強いゴーレムでしたよね。」
「では、こちらの破片はこちらで預からせていただきます。査定が終わるのは三日後だと思いますので、四日後にまたお越しください。こちらが基本報酬の300ギラムです。」
「ありがとうございます。」
俺たちはギルドから出て、街を見に行くことにした。
「わあっ! 凛くん! あの服綺麗だねっ!」
「ああ。香奈枝に似合いそうだな。どれどれ……400ギラムか、報酬が出たら買おう。」
「えっ? ほんと? やったっ!……って似合うって?……嬉しい……」
最後の方が聞き取れなかったが、喜んでもらえてよかった。
1ギラム50円ぐらいの物価らしく、宿は1泊50ギラムで泊まれるので、宿に泊まることにしている。
昼飯も、屋台で買って食べた。
原子操作は便利で食事も寝床も出せるけど経済も回さないとね!
ーーというかデートっぽくなってるような……
いかんいかん。これはただの散歩だ。
俺たちが今いるのは商店街だ。
そこでさまざまな服屋を見て回っていた。
「ねえ? 明日もクエスト受ける?」
「ああ。まだ金を貯められてないからな。」
まあ四日後に30000ギラムもらえるが。
それまでに少しでも貯めておきたい。
明日もクエストだな。
「まあ今はそんなこと考えずデートを楽しもっ!」
デッデッデート!?!?
ドクン
えっ?今心臓飛び出なかった?
目の錯覚?
いやたしかに飛び出てたよな!?
俺死ぬ?
あれっ?心臓飛び出てない。
よかったよかった。
じゃなくて!
デート?
えっ?
俺があたふたしていると香奈枝が「ふふっ♡」と笑った。
冗談じゃない。
本当に語尾にハートマークが付いてたんだ。
「いこっ!」
いきなり手を握られ、引っ張らられた。
俺めちゃくちゃ動揺してる。
ーー夢?夢なら覚めないでくれ!(切実)
……何いってんだ?俺?
「ほらっ! どうしたの? いこっ!」
「あ、ああ。」
俺はそういうことを考えるのが苦手なので、考えるのをやめた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺たちは屋台に行って夕食を食べてから家に帰り、既に布団に寝転がっていた。
ーーまだ心臓が大きな音を立てている。
寝返りを打つと幼馴染の顔が視界に入る。
また、心臓がまた大きな音を立てた後、静まる。
俺はベッドから起き上がり幼馴染のベッドに近寄り、しゃがむ。
ーー俺の心を試して見よう。
好きなら心臓の鼓動が早くなるだろう。
ーーあれ?心臓の鼓動がどんどん遅くなっていく。
だんだんとリラックスしてきた。
眠気が急に……
ーー朝?
ん?
頭になんか温かいものが……
あれっ?離れてった?
夢かな?
いや、朝だろう。
鳥の鳴き声が聞こえる。
頭をあげると、香奈枝が背を向けて寝ていた。
あっ!昨日ここで寝ちゃったんだ!
ヤッベ逃げた方がいいかな?
あっ?さっき頭に感じた温かいのはなんだったんだ?
香奈枝に視線を向ける。
ーーまさかな?
ーーまさかね……
俺はテーブルに向かい、ご飯を出して、食べ始めた。
ーーしばらくして香奈枝が起きてきた。
顔が真っ赤に見える。
「お……おはよ。」
「うん。おはよ。」
無言の朝ごはん。
……お互い気まずい雰囲気だ。
どうするか……
とりあえず冒険者ギルドに行った方がいいよな。
「あのさ。今日も冒険者ギルドにいく?」
「うん……」
気まずいな……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
冒険者ギルドに行って、Aランク級の簡単な討伐依頼をクリアし、2000ギラムの報酬をもらった。
「ねえねえ。服買うの?」
すっかり気まずい雰囲気も無くなっていた。
「そうだな。買うか。」
「やった!」
そして俺は香奈枝が欲しがっていた服を二着買った。
「ありがとっ! 凛くん!」
ご機嫌だな。
この笑顔が見れるなら500ギラムなんて安いな。
そして、家に帰った。
『後書き』
2章からしっかりと構成をまとめようと思いました。
ほぼ今行き当たりばったりで書いておりまして……
お恥ずかしい……
【独り言】
実はこの作品を書いた頃に私の作品を見てくれていた人との連絡ができなくなりました。(事情は話しません)
某メッセージアプリのあるチャットで出会いました……
全ての出会いは一期一会ですね。
もしもこの小説を見にきてくれたらコメントしてほしい……
独り言を聞いてくれてありがとうございます。