5話 えっ? もうSSランク昇格?
凛は、日が眩しくなり、目覚めた。
そして、原子操作で朝ごはんを作る。
――昨日は大変だったよな。
凛は100匹程度のゴブリンと、オークキングを1匹倒した。
オークキングを1人で倒したのには呆れられた。
その後、ケンウンに、言われ、今日は王都ギルドに向かうことになってる。
ここはポランドと言うらしい。
そしてこの国は、シューリク皇国と言うらしい。
今日は馬車で王都に向かうことになっている。
ってやべ!
そろそろ馬車くるじゃん!
「おーい香奈枝ー?」
呼んでも起きない。
すぅー
可愛らしい寝息だ。
――っていけない!
「香奈枝ー?」
頬をつついてみた。
「ふえっ?」
あ、起きた
「急がないと馬車遅れるよー。朝ごはん食べよー。」
「あ、うん。」
ささっと朝ご飯を食べ、馬車の停留所へ向かう。
「ここら辺にケンウンさんがいるはずだけど?」
「あっ! 凛くん! あれケンウンさんじゃない?」
「おっ! ほんとだ。ナイス香奈枝。」
「えっ? い、いや! そんな褒められることじゃ……えへへ」
「よしっ。いこっか。」
「うん!」
俺たちはケンウンさんの所に歩いていく。
「お、来たか。王都ギルドに出発するぞ。」
「「はい!」」
そして俺たちは馬車に乗り込み、出発した。
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「そう言えば何故王都ギルドに行くことになったんですか?」
「昇格試験じゃよ。お主たちのSSランクになるためのな。」
「えっ?いきなりSSランク昇格?」
「なったと決まった訳では無い。まあほぼ確定じゃろう。」
「何をするんですか?」
「人間性を確かめる面接と、SSランクとの対戦だ。」
「え? SSランクと戦うんですか?」
「ああ。お前のステータスには遠く及ばないがな。」
「ええ、実質ヤラセじゃないですか……」
「初代勇者じゃなければお主と対等に戦える人物は居ないじゃろう。もちろん、ハンデ付きだったらの話じゃ。」
「えっ? そんな強いんですか? 僕?」
「魔力がほぼ無限にあるからな。極大魔法と言う、魔神の加護を持っていて、更に大量の魔力、最強の魔法執行媒体を持った者が使った魔法を、何百回と打てるからな。」
「ああ、極大魔法ですか? アレ強いですよね。」
「……絶対試合で使うなよ?」
「は、はい。」
「とりあえず凛くんは最強ってこと?」
「……」
「まあそうじゃな。はあ(呆れ)。じゃがお主も充分おかしいぞ?」
何回呆れられてる?俺?
あとこれ言うの何回目?
「絶対に手加減してくれ、凛、香奈枝。一応大陸に何人と居ないSSランクだからな……」
あれ?SSランクの人と俺たちの本来の立場入れ替わってない?
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「着いたか。」
「着いたぞ。」
「疲れたっ!」
「さあ、あっちで試合が行われる。」
「もう試合?」
「早いわね?」
「対戦相手が早く試合をしたいって言っておりまして……」
「誰ですか?」
いきなり会話に入ってきたのは、少し痩せすぎている、茶髪の男性だった。
「私、王都冒険者ギルドの職員でございます。今日はSSランク冒険者の昇格試験と聞きましたが、あなたがたお二人で宜しいですか?」
「ああ。この二人で合ってる。」
「今日はよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします!」
俺たちは、対戦相手がいるという大きめの闘技場に入っていった。
入っていった闘技場の中はとても広く、使い込まれている感じだった。
中には、冒険者らしき人が一人と、貴族(?)らしき人、二人のギルド職員らしき人がいた。
「2人と連れてまいりました。」
「早く対戦しようぜ!俺は強いやつと戦いたいんだ!」
「モルズ……静かにしたらどう?」
「強いやつと会って興奮しない奴がいるか! 同じ冒険者だろ? クライミア!」
「……あなたと同じにしないで。」
ギルドの職員らしき人が、二人を紹介してくれた。
男性の方は、SS冒険者、モルズ・アイン、
貴族だと思っていた女性はSS冒険者、クライミア・シーリアというらしい。
俺はモルズ・アインと、香奈枝はクレイミア・シーリアと対戦するらしい。
「よろしくな! 凛だっけな? 本気でこいよ!」
「本気は出すなよ? 凛よ。」
ケンウンが耳打ちする。
「いいだろ? ケンウンの爺さんよ! 俺は強いやつと戦いてえんだ!」
「凛が本気を出すと極大魔法を10万発打てるぞ? それでこの世界は滅ぶ。」
「うへぇ。歩く厄災じゃねえか! おもしれえ! お前の好きな加減できてくれ!」
俺たちは闘技場の中へと入っていった。
香奈枝は別の闘技場に入るらしい。
頑張れよ。
……まあ香奈枝なら問題ないか……
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「勝者 凛!」
「おい、お前強すぎだろ……」
そしてモルズは光となって消えた。
場外に転送されたのだろう。
決着がつくのに1分とかからなかった。
あれは5分ほど前のことーー
さあ対戦をするか……
「すまない凛よ。早めに決着をつけてくれ。街の外でモンスターが大量発生しておる。」
ピーピー
あ、警告もなってる……急がないと。
「っ……わかった。」
たったこれだけの会話で、モルズは即決着をつけられることになったのだ。
「試合を始める! ルールは場外からの攻撃、場外へ逃げることは禁止だ! また審判が卑怯と判断したら失格とする! 正々堂々と勝負に臨め! 大怪我をした場合、医務室に転移されるが、責任はないものとする! 勝負始め!」
「火の玉」
火の玉がモルズを狙う。
「っ? 無詠唱!? ……っ! なんだこの力! 初級魔法じゃないだろこんなの!?」
驚いていてもやはりSS冒険者、簡単に防がれた。
「今度はこっちの番だ!」
モルズがこっちに走ってきたので、
「原子操作」
強制的に後ろへ戻す。
「なっ?」
「炎の槍」
炎の槍が頭上に出現する。
「っ!」
しっかりと炎の槍がモルズの肩を貫く。
コントロールバッチリだな。
「勝者 凛!」
ーーで今に至る。
「ケンウン。モンスターはどこだ?」
「お主たちと入ってきた門の方向だ。」
「わかった。」
俺はすぐに門の近くに転移する。
「君! ここは危ない! モンスターが異常発生してるんだ!」
門番に呼び止められたが、
「わかってますよ。そのモンスターを倒すためにここに来ました。」
俺は走り出す。
「あっ! 待て!」
門番の制止も無視して、モンスターの方に走る。
ーー現場は大惨事だった。
死者も出ている。
凛は先に負傷者の治療と死者の蘇生をすることにした。
「すまない、負傷者と死者を集めてくれ、治療する。」
「っ? あなたは?」
「ただの冒険者だ。急いでくれ。」
「……わかった。」
ものの数分すると、負傷者と死者が集まってきた。
この数は厳しいな。
だが凛はふと思いついた。
「【アトム】。詠唱改変は何ができる?」
『自由に新しい魔法、詠唱を作成したり、今ある詠唱を変えることができます。』
ならば……
【詠唱改変】
魔法名称
:ーー
詠唱
:ランダム
:ーーー
効果
:ーー
なるほど、じゃあここをこうして……よし!
【詠唱改変】
魔法名称
:完全治療
詠唱
:ランダム
効果
:半径2mにいる、負傷者の全回復、死者の蘇生、魔力の全回復
おしっ!決定。
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【確認】
詠唱執行必要魔力は5,000です。
魔法を作成しますか?
【はい】 【いいえ】
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当然【はい】を選ぶ。
詠唱が頭に入ってきた。
「我が魔力よ 傷を負ったもの 死の傷を負った者 それらに祝福をもたらせ 我が右手より捧げしものは魔力 左手より捧げるのは死の祝福……」
長いな、詠唱。
そりゃあチート的な魔法だしな……
「魔力を使いし 最高の祝福をもたらせ」
周りに温かい光に包まれる。
「完全治療」
周りが光りに包まれ、死者は生き返り、負傷者は全回復した。
「おおっ? 俺は死んだんじゃ?」
「おおっ! 体が軽い!」
「奇跡だ!」
「あれっ? 聖人は?」
いつのまにか聖人と呼ばれていた 凛は、もうモンスターの制圧に向かっていた。
「敵はどこだ?」
近くにいた騎士がいたので、モンスターがどこにいるか聞く。
「あの森の奥だ。」
「わかった。」
「……?あんただーー」
振り返ったが、すでに凛はモンスターの討伐へ向かっていった。
「?」
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あれがモンスターたちか、多いな。
「無垢なる業火結界」
容赦せずに、モンスターの群れに極大魔法を放つ。もちろん、ここら一体の冒険者や騎士、一般人すべてに結界をかけてある。
それでほとんどのモンスターがやられたが、まだ生きているモンスターもいた。
「っ……不死者か……」
アンデットは聖魔法を喰らうか、聖水がかからない限り死なない。
ならば聖魔法の極大魔法を打つまでだ。
「我が魔力に聖を宿せ そして 聖水となり 雨の如く降れ 不死者に死の祝福を……」
これまた詠唱が長い。
「……不死者を束縛から解放せよ 聖なる雨」
聖水の雨が降る。
これには回復の効果があるので、治療にもなるだろう。
……?
あの洞窟からモンスターが湧いて出て来てる?
「あそこが発生源か……」
俺は原子操作で聖剣を出し、不死者とモンスターを切り刻みつつ、進む。
あたりには血が飛び散り、俺も血まみれになっていた。
ーー俺が奥へ進むと、紅色の光を放つ石が置いてあり、そこからモンスターや不死者が湧いて出て来ていた。
あれがモンスターの発生源だろう。
俺はすぐに紅色の石に剣を当てる。
パリン
……刹那、乾いた音と共に石は砕け、視界が真っ赤な光に染まった。
目を思わず閉じてしまった。
目を開けると、紅色をしたゴーレムが立っていた。
【鑑定】
レッドストーンゴーレム Lv測定不能
【攻撃力】測定不能
【防御力】測定不能
【体力】測定不能
……無理だ。
強すぎる。
…………だが死ぬわけにはいかない。
「やってやる。」
凛は覚悟を決めた。
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私、祈祷 香奈枝はクレイミア・シーミアと闘うことになった。
クレイミアの武器はクレイモアのようだ。
対して私は素手。
だが勝てる。
凛だって勝ったはずだから。
ーー凛くん、私頑張る!
私は一気に懐に入り込み、蹴りを放つ。
さぁっ
悪寒が走る。
私はすぐにバックステップで剣を紙一重で躱す。
何今の?
ーークレイミアも同じことを考えていた。
何今の?
蹴りの軌道が見えなかったわよ?
2mは離れてたわよ?
私のエクストラスキル……【直感】がなかったらやられてたわ……
これの感が外れたこともないのよね……
ーーどうしよう?
香奈枝はどうやって勝つか考えていた。
スキルを全部解放しよう……
私はすべてのスキルを解放し、一気に攻めたてる。
しいぃっ
蹴りが空を切る。
しかしやはりクレイミアの直感は強かった。
蹴りの軌道に合わせて剣を合わせられた。
またバックステップで躱す。
……今度はフェイントを入れる。
上段蹴りを途中でやめ、途中で下段蹴りに変える。
ーーまずい……
これも剣を合わせれたが、これは避けきれない……
……私は人差し指と中指で剣を挟み、なんとか防いだ。
これはチャンスだ。私はすぐに剣を折る。
そして首の後ろに手刀を入れる。
昔にどちらも習っててよかった……
だけど……私の手刀は空を切った。
直後、首に折れた剣先を当てられる。
……剣を折っていたからその間に反応が間に合ったのね……
「……降参する?……」
普通ならここで負けとなる。
ーー動きでもしたら首から鮮血が飛び散るから……
審判もクレイミアの勝利だと思っていた。
……私の勝ちね。
それは両者が思っていた事だった。
刹那、クレイミアの体が一瞬で宙に浮き、地面に叩きつけられた。
香奈枝はそこに今度こそ手刀を入れて気絶させた。
「し、勝者 香奈枝!」
そう……香奈枝は人質として捕らえられ、首に刃物を当てられた時、返り討ちにする方法を学んでいたのだ。
ーー凛くんも勝ったかな?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ケンウンは正直驚いていた。
負傷者や死者を集めていたところでは、「聖人が来たんだ!」と言っており、全員全回復していた。
ーーさらに進むと、森の中では歓声が起こっていた。
「誰かわからないけどすごい魔法でモンスター全滅させたやつがいたぞ!」
「二回も極大魔法を放つなんてありえねえ!」
……どうやら凛が負傷者と死者を全回復して、モンスターを全滅させたらしい。
ーー底無し魔力量じゃな……
ーーその頃、凛はレッドストーンゴーレムと激戦を繰り広げていた。
どおんっ
床がえぐれる。レッドストーンゴーレムの攻撃のせいだ。
ーーっ相手が悪い……
レッドストーンゴーレムは巨体に似合わないスピードで凛を追い詰めていた。
それに合わせるように、凛はひたすら原子操作を使い、攻撃を避けていた。
……しかし、避けながら詠唱もしていた。
「闇よ 魔力と混ざり 闇の鎖を作り出せ 鎖で封じは……」
闇魔法の詠唱だ。
「……闇の束縛」
ーーこの魔法は30秒しか持たないが、何があっても相手は動くことができない。
その間にっ!
「無垢なる業火」
……やったか?
煙が去り、そこには無傷のレッドストーンゴーレムがいた。
っ! 無理か……
ならば!
【詠唱改変】
魔法名称
:終焉の槍
詠唱
:ランダム
効果
相手に終焉の槍を直撃させる。魔法ダメージ+1,000,000,000。終焉の槍は、当たった瞬間、すべての属性を含んだ爆発を起こす。
っよし
これならいけるだろう
無垢なる業火は魔法ダメージ+1,000,000だから比べものにならないはずだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【確認】
詠唱執行必要魔力は10,000,000です。
魔法を作成しますか?
【はい】【いいえ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「我が魔力がもたらしものは終焉 槍に集いて……」
早口で詠唱をする。
「終焉の槍」
槍は動けないレッドストーンゴーレムに直撃し、爆発を起こす。
「……おいおい嘘だろ?」
……そう、またもやレッドストーンゴーレムは無傷だったのだ。
「打つ手なしか……っまてよ? 【アトム】。あいつはどうやったら倒せる?」
『体の中にあるコアを破壊、消去することで可能です。』
ーー消去ねえ……
「原子操作!」
消去といえばこいつ!
レッドストーンゴーレムのコアを消す。
原子レベルで破壊する。
『ギッ、ギッ、』
バタッ
レッドストーンゴーレムは機能を停止した。
「勝った……」
……原子操作強すぎないか?
『後書き』
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