3話 えっ? 【原子操作】チートすぎない?
「どこかで寝るか?」
「え? あ、うん!」
「あっ でもどこで寝よう?」
「そういえば凛くんのあの【原子操作】何ができるんだろうね?」
「あっ それなら……【アトム】教えて。」
「?」
『はい。現在使用できるのは、原子の作成、消去、移動のみです。既存の物質でしか作成できません。』
「うへっ。 チートだな……」
「凛くん誰と話してるの?」
「魔力知能【アトム】だよ。」
「それまたすごそうだね!」
「百科事典みたいなものだよ。」
『百科事典と一緒にしないでください。』
お前自我あるんだ……
って地球知ってんの!?
今更か……
確かにそんな発言あったよな、自我ありそうな。
「じゃあ寝るところ作れるかな?」
「やってみてやってみて!」
「あ、初めての時は詠唱必須か。」
「え? 詠唱? 見てみたい!」
「我が魔力よ 空間に漂い 力を使え 万物を生み出し 万物を消し 万物を動かしたまえ 我が魔力でこの世の基礎を揺るがし 原子を操れ」
「おー!!」
詠唱が完成すると、凛の体と周りが光り始める。
「原子操作」
光は渦となり、2人の目の前の森で渦を巻き、魔力が万物を生成していく。
「おー! かっこいいー!」
え? かっこいい?
っていけない!
雑念を抱くと魔法が途切れる。
……やがて光は消え、建物が現れる
「わー! すごーい!」
「ふー」
よし、うまくいったな。
「入ろうか」
「うん!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
おー!
綺麗!
しっかりと想像した通り!
お風呂もベットも食卓も!
「すごいね! 凛くん!」
「ああ、あそうだ! 周りから見えないようにしておこう」
「また詠唱?」
「ああ」
「またみたい! 詠唱かっこよかった!」
「そ、そう?」
「あ、う、うん!」
「じ、じゃあ詠唱するね
影よ 我らの場を隠せ 悪から身を守り 覆い隠せ 秘密の場所」
詠唱が完成すると、凛の体は影に包まれ、家の外に散らばっていった。
「これで見えなくなったよ」
「……シークレットプレイス……秘密の場所……」
「香奈枝?」
俺は香奈枝の顔を覗き込む。
「なっ! なんでもないよ!」
「?」
なんていったんだろ?
「そ、そういえばお、お風呂は凛くんが沸かすの?」
「ん? ああ」
「じゃあ先入っていいよ!」
「ん、わかった」
俺がお風呂に行くと、やっぱり香奈枝は何か呟いていた。
「……秘密の場所……お風呂……入れるなんて……凛くんすごい……」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺はお風呂に水を入れる。
「我が魔力よ 水の精霊と共に 湯を起こせ」
凛の指がほのかに光る
この時、温度は39度でイメージする。
「熱水」
おし!
湧いたから早速入るか。
ざっばーん
ちょうどいい温度だな。
明日からどうしようかな?
冒険者ギルドに行こうかな?
先に魔物がどんな感じか見ようかな?
あとで香奈枝と相談しよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「香奈枝ー出たから入っていいぞー」
「わ、わかったー」
…………
「あれ? 入らないのか?」
「り、凛くんこそこっちこないの?」
「? きてるよ?」
香奈枝が振り返ると後ろには風呂上がりの凛くんがいた。
「あっ、じ、じゃあ入るね!」
頭がちょっと熱いと香奈枝は感じた。
「なんで入る前から顔赤いんだ?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で、出たよー 凛くーん」
「? じゃあこっちきなよ? 明日のこと話そ?」
「う、うん」
風呂上がりの香奈枝は髪がいつもよりサラサラで、頬が紅潮していた。
「あ、明日はどうするの?」
「 ……あっ、えーと、とりあえず原子操作を試したいな」
「じ、じゃあそうしよう!」
「ああ、わかった。 今日はもう寝よう」
「う、うん」
窓を閉め、ベッドに身を投げ出す。
布団を掛け、静かな眠りへ着いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日、目が覚めて目を開けると。
……目の前に幼馴染がいた。
へっ?
…………頭が混乱してきた。
なんでいるんだ?
目を開けて、身を起こすと、香奈枝は足を床につけ、顔と手をベットに載せていた。
「か、香奈枝?」
と声をかけると、「ん、ん?」と言って起きた。
そしてキョロキョロ周りを見ると、
「はっ! ご、ごめんなさい!」
と言った。
「昨日の夜不安すぎて、ねれなかったのでここにいたら寝てたみたいです。」
うう、
と唸って叱られた子どものようにしている。
「いいよ。いきなり異世界来たら不安で眠れなくなるよ。」
「凛くんは大丈夫なんですか?」
「あっちにあまり未練はないから……」
そう、僕自身、香奈枝と翔也と仲が良かったが、あまり親とは仲良くせず、最近はあまり話していなかったため、未練があまりない。
「……そう……」
…………
少しの沈黙の後、俺は
「朝ごはんにするか?」
と言った。
「うん」
よし! 原子操作で朝ごはん作ってみよう!
「何食べたい?」
「な、なんでもいいよ」
よーし。
3秒クッキングだ!
てれっててててててんてん
まずは無詠唱で原子操作を執行します。
終わりです
とりあえず、ジャムトーストとサラダとスクランブルエッグを作った。
「「いただきます」」
うん、美味しい。
原子操作万能だな……
「「ごちそうさま」」
俺たちは原子操作を試すべく、森へ入っていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さあ!原子操作を試すぞ!
「凛くん! あっちから敵の気配が!」
香奈枝が指をさした方の茂みが揺れている。
「よし!原子操作!」
手に漆黒の剣を作り出す
そして、もう1度、
「原子操作!」
自分を相手の近くに動かす。
この距離なら転移魔法よりもわずかに早く、精度が高いので、こちらを使った。
魔力消費なんて気にしない。
茂みから出てきたのは、緑の苔に包まれたオオカミ。
鑑定をかける
【鑑定】
フォレストウルフ Lv89
【攻撃力】 320
【防御力】290
【体力】 300/300
わかるのはこの5項目か。
おれは剣でフォレストウルフに斬りかかる。
剣の刃はするりとフォレストウルフの体を切り、フォレストウルフは絶命した。
「この剣強いのか?」
多分そうだろう。
防御力が戦闘力者の平均の2分の1とはいえ、300近くを普通の剣でここまで切れるなんておかしい。
俺の攻撃力に関しても、高すぎて、剣が不可に耐えられず、折れてもおかしくない。
さらに転移もでき、万物を作り出せる。
多分、聖剣も作れるだろう。
「えっ? 【原子操作】チートすぎない?」
「はあ(呆れ)」
あ、香奈枝が呆れてる。
原子操作、チートだな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、フォレストウルフやフォレストガーディアン、ローグビーなどに出会ったが、どれも瞬殺だった。
もちろん、昼食も、原子操作で作って食べた。
これは原子操作がチートの証だよな……
ちなみに香奈枝もほとんどの敵を瞬殺だった。
やはりステータスが異常なんだよな……
「そろそろ家に戻るか?」
「うん!」
俺たちには一応返り血がついていて、獣臭い。早くお風呂に入ろう。
お風呂に入った後、夕食を食べ、疲れていたのですぐに寝た。
明日は冒険者ギルドに行こうと話してある。
冒険者ギルドかー。
あの異世界転生した人が冒険者に「いつからここはガキの遊び場になったんだー?」と言われて、対決して、ボコして、ギルドマスターが「何事だ?」といって出てきて、「お前は期待の新人だ!」って言われるとこでしょ?
異世界の定番だよねっ!
まあそんなことないかもだけど……あってほしい!
そんなことを考えながら、凛は眠りについた。
『後書き』
ついに原子操作を使いました。
チートです。
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2021/07/28 20時27分
様々な描写、表現、文章の改正と追加を行いました。