2話 感動の再会……には早くないか?
凛は走っていた。
ただひたすら。
街を探して。
「いやー。この草原広いな。どこまで続いてんだ? あ、【アトム】? 街って近くにある?」
凛の目の前に北向きの矢印が出現する。
『街は矢印の先にございます。矢印が薄くなればなるほど、街は近いです。』
「お前って万能だよな……こういうのをホログラムって言うのか?……」
そしてまた凛は走り出した。
30分も、凛は走り続けた。
「どんどん薄くなってきた……けどまだ遠いだろうな。」
空を見上げると、あれほど青かった空が、少しずつ赤く染まっていく。
「【アトム】? 身体強化ってもっと強くできるの?」
『魔術10,000越えなので、可能だと思います。もう1度身体強化の魔法を使い、はじめに魔力を出す量を増やすことをイメージしてください。』
「おお! やってみるか!」
さっき詠唱は体験したから、無詠唱で執行しよう。
「身体強化」
魔力出力を高めて高めて……
ヴゥーヴゥー
「!?」
なんだ今の?めちゃ警告音だったけど??
あ?身体強化キャンセルしちゃってる?
「【アトム】? 今の何?」
『エクストラスキル【神からの警告】です。危険な魔法指令をした時に、魔法をキャンセルできます。』
おー便利スキル。
『今のままだと主様光の速度余裕で超えるぐらいのスピードで宇宙にいましたね。』
うへぇ。
怖いな。
次はもう少し抑えて……
「身体強化」
おっまえより体が軽い。
走ろう。
そういえば魔力量って減ってるのかな?
魔力量 1700億→1680億
え?
めちゃ減ってない?
「【アトム】? なんでこんな減ってるの? 身体強化って1秒に1魔力につき
10%の身体強化だよね…………約120倍だから、1秒に1200魔力で、1800秒で、
2860000しか使ってないはずなんだけど……」
『私は魔力知能です。そのため多くの魔力を必要とします』
なるほど、そりゃあ魔力で知能使ってるんだし、相当魔力使うよね……
ピーピー
なんだ????
「【アトム】? これって何?」
『近くに危機に瀕している人間がいることを表すアラートです。』
凛は頭を抱えた。
「【アトム】 どこにいるかわかる?」
『はい。矢印を表示します』
北西に矢印が向く。
「身体強化」
凜はなるべく強い身体強化を発動し、走り出す。
走った、ただ、人を助けようと、無心で。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
やがて、矢印は見えなくなるほど薄まり、少女とマントを被った
5人の盗賊らしき者がいた。
おれは自分と少女に結界を張る。
結界魔法のような1種類しかない魔法に、詠唱はない。
「結界」
すぐにおれは盗賊と少女の間に入る。
この少女、どっかで見たことあるような……
まあいい。
盗賊のリーダーらしき者が俺を睨みつける。
「おうおう? お前誰だ?」
俺は睨み返す。
「お前こそ誰だよ?」
なぜかとても低い声が出た。
それだけ怒っているのだろう。
「おれはこの世界で一番恐れられている盗賊団……スコーピオン盗賊団だ!
ハハハハハ! 驚いて声も出ないだろ! 俺様を相手にしたことを後悔させてやる!」
……知らねーーー
この世界初めてだから知ってるわけないよな……
「盗賊団ならとらえさせていただくぞ?」
「ハハハハハ! 青二才がでしゃばんな! 返り討ちにするぞ?」
とりあえず無詠唱で……
「だいじょうぶ!」
?
どういうことだ?
後ろの少女を見ようと振り向いたが、既に少女はいなくなっていた。
「はあっ!」
「ぐはっ」
ん?
前を向くとそこには倒れた盗賊団らしきリーダーがいた。
…………混乱してきた。
「ひいっ!リーダーがやられた!」
「に、逃げるぞ!」
4人は一目散に逃げていった。
「ほらね?」
こちらを振り向いた少女は、やはり俺の知っている人だった。
「香奈枝?」
「ふえっ? え?」
香奈枝が俺の顔を覗いてくる。
近い近い。
心臓が高鳴る。
「あ? り、凜くん!?!?」
すぐに香奈枝が後ろに下がる。
びっくりした。
「そうだよ?」
「うっ、うっ」
「?」
「凜くーん!!」
「ふごっ」
いきなり抱きつかれた。
「私めっちゃ不安だったんだよー!」
いやいやいや?
めっちゃ意気揚々と盗賊団ぼこしてたよね?
めっちゃ抱き着いてくるんだけど?
心臓壊れそうなんだけど?
こ、こういうときはどうすれば????
「はっ!」
ようやく香奈枝が離れてくれた。
ほっとしたような、残念なような。
なんだこの感情?
「ご、ごめん! め、めちゃ不安だったから!」
めっちゃ顔赤くしてない?
「俺だって不安だったからな。別に謝らなくてもいいよ」
「感動の再開ですね!」
「まだ6時間ぐらいしか別れてないから、感動の再開……には早くないか?」
「そうですねっ!」
「とりあえず街を目指そう。」
「はい!」
「香奈枝ってステータス開けるか?」
「ステータスオープンって唱えればいいですか?」
「多分…」
「はいっ! ステータスオープン!」
ほんとぜんぶ肯定するね……
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【名前 祈祷 香奈枝 Lv.589】
【ステータス】
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【攻撃力】 4,324
【武術】 14,327
【剣術】 2,432
【魔術】 524
【防御力】 2,643
【体力量】 5,923
【筋力量】 1,210
【魔力量】 1,003
【回復量】 5,21
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【スキル】
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【身体強化】 LvMAX
【意識昏倒】 LvMAX
【空手術】 LvMAX
【神速の拳】 LvMAX
【神速の脚】 LvMAX
【鑑定】 Lv6
【アイテムボックス】 L12
【限界突破】
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【エクストラスキル】
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【一撃の拳】LvMAX
【一撃の脚】LvMAX
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「なるほど、強いね。」
「ほんとですか!? えへへへへ」
「……」
「そ、そういえば、り、凜さんはどんなステータスなんですか?」
「ステータスオープン」
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【名前 星晶 凛 Lv.729】
【ステータス】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【攻撃力】 2,729
【武術】 530
【剣術】 4,320
【魔術】 12,970
【防御力】 629
【体力量】 1,213
【筋力量】 1,210
【魔力量】 172,929,729,727(1729億2972万0727)
【回復量】 672
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【スキル】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【火魔法】 LvMAX
【水魔法】 LvMAX
【地魔法】 LvMAX
【風魔法】 LvMAX
【光魔法】 LvMAX
【影魔法】 LvMAX
【聖魔法】 LvMAX
【闇魔法】 LvMAX
【雷魔法】 LvMAX
【呪魂魔法】 LvMAX
【転移魔法】 LvMAX
【回復魔法】 LvMAX
【重力魔法】 LvMAX
【身体強化魔法】 LvMAX
【結界魔法】 LvMAX
【鑑定】 Lv6
【アイテムボックス】 Lv28
【念話】 Lv8
【錬金術】LvMAX
【魔道具作成】 LvMAX
【詠唱記憶】
【無詠唱】
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【エクストラスキル】
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【原子操作】 Lv14
【魔道具改造】Lv20
【神からの警告】
【詠唱改変】
【魔力知能】【アトム】
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「……」
「おかしいよな??」
「い、いえ。り、凜さんなので……」
いやフォローにはなってなくない?
めっちゃ動揺してるし……
やっぱ人にはあまり見せたくないな……
「凜さん魔力枯渇にするの逆に難しくないですか?」
「たしかに。」
化け物だな……
「とにかく俺が抱っこして身体強化と結界つかって街までいくでいいか?」
「へ? …………抱っこ?」
「あ、やっぱいやだよな、じゃあ歩いtーー」
「あ! い、いや! 大丈夫です!」
「あ、そう?」
その割には顔赤いよ?
「身体強化 結界」
とりあえず身体強化と結界を張った。
「じゃ、じゃあいくよ?」
「う、うん…」
うっ、めっちゃ緊張してきた……
誰だ? こんな提案したの?
俺だ……
ま、まあ結界張ってるから?(謎理論展開)
「よっと って軽っ? じゃあいくよ!」
「は、はい!」
俺は香奈枝を抱えて走り出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ついたー!」
「つ、ついたね!」
俺たちはあれから少しして街についた。
ぐぅ~~
……
「わ、わたしじゃないからね?」
「わかってるよ。おなか減ってるならどっかで食えるかな?
「わかってないじゃーん! もー!」
香奈枝が頭をぶんぶん振っている。
「でもお金ないよな……」
「ようそこの兄ちゃん!」
俺はすぐに振り返った。
さっきの盗賊団かと身構えたが……
立っていたのは屋台の中で焼きそばらしきものを作っているおっさんだった。
「なんですか?」
「腹が減ってるんなら余ってる焼きそばサービスしてやるよ!」
「いいんですか?」
「おうよ! ほれ!2人分な!」
「「(あ、)ありがとうございます!」」
この世界の人優しいな……
最低でもこのおっさんは優しい。
「ね、ねえ? どこで食べる?」
「俺はどこでもいいけど。」
「じゃああの石垣の上で食べよっ!」
「いいよ」
俺たちは石垣の上に座って、「「いただきます」」と言って、焼きそばを食べた。
「うーん! 美味しいね! 凜くん!」
「ああ、うまいな」
やはり空腹だったからかな……舌がしびれるほど美味い。
空腹は最高の調味料だな。
「「ごちそうさまでした」」
「どこかで寝るか?」
「え? あ、うん!」
次回、ついに原子操作を凛が使います!
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