第四話 凛堂倖①
神天照と主人公たちとの地上の物語
番外編ではなく、本編に繋がる重要な部分も含めた話です。
「私は神天照。」
そう名乗ってどれほどの時がたっただろう。世界が生まれてからおよそ50億年。滅び、進化を繰り返してきた世界に人類が生まれた。今までの中でも一、二を争うほどの知的生物だった。
最初は、火起こしから始まり数千年で文明が出来ていった。
さらに数千年年後には、世界の行く末を見守るだけとなったが、その頃になると私自身が戸惑うことが起こった。
今までは、世界を眺めるだけでとても視野や心が狭くなっていたのだろうと思った。
いつしか、周りの神たちの世界にも訪ねてみたいと思うようになっていった。その中で興味を持ったのが、同じような進化を遂げる途中の世界だった。その世界アストリア神とは思いのほか息が合った。境遇にもにたものがあったからだろう。お互いに惹かれあった。そう表現することがしっくりくる。
アストリア神の世界はまだ人類が新たに誕生したばかりだったが、話をしていると後輩に当たる神と分かった。最初はお互いにどっちが会話を始めるかで譲り合ったりもした。そんな、問答も今では微笑ましいと感じるようになっていった。
話を重ねていくうちに悩みを打ち明けるようにもなっていった。
相談したものの答えの中に地上に降りてみたらというものがあった。不思議に思い、何故かと聞いてみると「面白いから。」そう言われた。
アストリア神との会話以外やることがなかったので、助言に従ってみることにした。幸い、自分が大規模に行わなければならないことは、発生する兆候がなかったため。
管理を任せられる天使を何体か創造してから地上に降りてみた。
地上での身分や親を適当にでっち上げて子供の姿で過ごし始めた。地上では、凛堂倖と名乗った。我ながら安直な名前だったかなーと思うときもあったが、とても大好きな名前になった。
(アリアは、なぜあそこまで勧めるんでしょう。行けば分かるの一点張りで詳細を教えてくれません。…まあーいいでしょう。ウジウジしていても仕方ないし、行きましょう。)
これが私の彩りに満ちた世界を得るきっかけとなった瞬間だった。