発見
2056年、地球の科学技術は飛躍的に進歩を遂げた。
人類未踏であった土地や海底への探索・調査が可能となり、
好奇心を膨らませた人々は、先人となるべく未踏の地へ赴いた。
~同年某日 オーストラリア~
とある大学の教室にて緑眼・ブロンドでロングヘアーの女性に、坊主頭の男が問いかける。
「ロネリー、良かったら今日一緒に調べたいことがあるんだけど」
「良いけど、何を調べるの?」
「新しい島を見つけたんだ。きっとまだ調査にも入っていないし認知されていない」
男は手を広げ、自慢げに言った。
「最近、海底の調査が進んできてるとは知ってたけど、島なんてもう全部見つかってるんじゃないの?」
ロネリーは答えた。
「僕もそう思っていたよ。でも、地図に載っていないし、地理院に話をしても、そこは海だと言われるだけなんだ。以前は衛星からは表面上のことしかわからなかっただろ?大学が最近打ち上げた、地表の物質が解析可能な衛星で研究をしてたら偶然発見したんだ」
「わかったわ。熱く語る前に、その資料を見せてもらわないと。」
「オーケー。じゃあ、研究室に行こう」
~研究室~
「ねぇ、ロイ。衛星使用の許可は取ったの?」
坊主頭の男はロイといった。
「もちろんだよ。教授に頼み込んで使用の許可は得たけど、さっき話した島のことはまともに取り合ってくれなかったよ。「お前が見つけられるなら俺がもう見つけてるよ」ってね」
「私も少し疑ってるけど・・・。いいわ、資料を見てから判断しましょう」
ロイは机の上に雑多に積まれた書類を漁る。
クリップで纏めただけの10ページ程の資料を取り出した。折れやシワもなく、最近作ったものとうかがえる。
「はい、これが資料。まだ見つけて間もないからページ数も少なくて、場所とかの基本事項しかまとめていないんだ」
ロイはそう言って、ロネリに資料を手渡した。
「島そのものが確実に見つかったわけではないものね」
ロネリはページをめくり一通り目を通した。