死期を悟った私は、貴方から離れるために異世界へ往く。
超短編です。
猫は、死期を悟ると飼い主の元から離れると言う。
わかっている。
君はもう年だ。僕を悲しませないようにと思っての事だろう?
だけど僕は君と別れることより、君の最後を見とることができない方が悲しいよ。
だから、帰ってきてくれないかな?
ほら。君の大好きな缶詰を用意したからさ。
☆ ☆ ☆
走る。走る。走る。
君の知らないどこかへ。
道を、山を、原を。
私はもう、とっくにお婆ちゃんだから。
私が死んだら、とっても悲しむだろ?
なら、私は君から離れる。
いつの間にか居なくなってたなあって。案外どこかで上手くやってるんじゃないかなって。
そんな期待を抱いて欲しいから。君の顔を私の死程度で曇らせたくはないから。
だから、私は走る。
君の来ることの出来ない世界まで。
いかがでしたでしょうか?
実はこの後この猫は異世界で、『死までの時間は一人で生きるには長すぎる』とかいって様々な人を巻き込んだうえで一人先に死んでいくっていう設定を考えてたんですよね。
蛇足過ぎるw