表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナデサセテ・コントラクト  作者: なでり
9/34

第九話 熊ちゃんと遊ぼう、モフモフの為に



 先ずはアルフの進化から見ていくことに。

進化出来るのは二つ、ホワイトウルフとブラックウルフ。ホワイトの方は魔法技能が追加されていたので、私と同じく器用貧乏タイプになると思う。ブラックウルフの場合はウルフの上位版、STRとVIT、AGIが上がっている。本当は両方欲しいけど此処はブラックウルフに進化させよう。


 コマンドを選択すると、アルフが淡く光り一回り大きな真っ黒な狼へと進化、たまらずダイブ。


 ステータス的にはこんな感じだ。



名前:アルフ

種族(2):ブラックウルフ Lv1

基本値(BP:0):STR:12 VIT:8 INT:3 MDF:4 DEX:4 AGI:11 

スキル:【噛みつき】【引っ掻き】【強襲】【気配察知】



 スキルの追加は二つ、どちらかと言うと補助スキルだけどバリバリの前衛として頑張ってもらいたい。

 特筆すべきはなんといっても毛並みが良くなった事だろう! はぁ~きもちい。

 後はミュンのBP振り分けと自分の振り分けをしてから終了。なんと魔法技能を【剣術】が追い越してしまっていた、まぁ使ってるからねぇ。


 アイテムを確認。フォレストベアの爪が二つ確認できたけど契約石が無かった。


「うーん、ほしいよね」


 あの熊ちゃん。最後なんて牙むき出しで涎垂らして凄い形相で迫ってきたけど、モフモフには変わりない。現実であんなのと会ったら一発KOだろうけど、此処はゲーム。熊ちゃんをゲットしてモフモフしたい。


 ……ってことで二の街に行ってから石が出るまでぐるぐる決定!


 入って来た方向の先へ進む。周囲のプレイヤーがいるので普通のフィールドに戻ってきたのだと思う。

 そのまま真っ直ぐ進みながら、出てくる敵は倒す。未だに蛇の石が取れない。そうこうしていると段々と木々の間隔が広くなり、草原へと出た。その先には、崖の近くに聳え立つ都市第二の街が、その後ろには悠々と存在している山々があった。あのどれか一つが鉱山なのだろうか、結構近そうだし。


 第二の街と言っても基本第一の街と同じ様相だったけれども、地図が使い物にならなくなっていた。黒い部分が大部分を占め私が進んだ所だけ白く書き記されていく。

 先ずは転移ポータルに登録するために都市の真ん中にある神殿へ。中に入り大きな創造神の神像にアクセスすると第二の街へのポータル登録完了の文字が浮かび上がる。そして地図も更新されて簡単な街の地図が記されていた。どうやらこうやって地図を更新していくらしい。


 でもまぁこれからは出戻りなんだけどね。


 と言いつつも大通りのお店を外から軽くひやかす。特に目に付くのがプレイヤーの露店だ。中にはフォレストベアの皮鎧もあった、欲しいけどお金が……。仕方ないのであきらめたけど。


 そんな中で一際気になってしまう物が、特にこれから熊ちゃんを沢山ヤルにあたって時間短縮できそうなものだ。


「あの」

「いらっさいませ~、良かったら見てってくださいね」

  

 獣人の多分プレイヤーの彼女のお店には、武器が適当に置かれていた。その中でも目に付いたのが刺突剣。目を刺すのに良さそうなのだ。


「これ鑑定してもいいですか?」

「おぉ礼儀正しい! 勿論いいですよ~」


 大げさに驚く彼女はにこっと笑って私に剣を手渡してくれた。



名称:鉄の刺突剣(150/150)

☆:5 品質:4 威力:60

製作者:けんざん



 たしか剣の隣の数字は耐久値だったかな。それに今私の使っている剣が攻撃力30なので倍も出る凄い物だ。そしてこのオレンジ猫耳の彼女がけんざんさんなんだろうか。


「どうですか?」

「いいと思います、おいくらですか? っとディスプレイを見ればわかりますよね」


 金額3000G……安い! と思うんだけど、他のを知らないから分からない。でも本と同じ値段だと思うと安く感じる……そうだあの本も読まないと。


「買います」


 まぁ買うよね、それは決まってることだよ。


「ありがとうございます! いや~売れて良かったです、露店も結構出てますし普通の剣はいくつか出てますけど、刺突剣は作ったはいいけど売れるか分からなかったんですよね! もし耐久値減ってきたら言って下さい、直しちゃいますから!」

「その時はお願いします」

「じゃあフレトいい?」

「いいですよ」


 送られてきたのはやっぱり『けんざん』からとなっていたので、これを作ったのは彼女なんだね、名前的に性別が分からなかったから……。


 軽く別れの挨拶をしてから熊ちゃんの元へ、第二の街から森に入っていくのは数人で、たまにすれ違う人に見られたりしたけどきにしない。そのままボスがいた場所まで戻って来て中に入る……けどそこに熊ちゃんの姿は無かった。


 一回外にでて今度は第一の街側から中に入ると遭遇、どうせなら両方にしてくれればいいのに。そしてそのまま二回目の戦闘へ。


 一回目と違ってアルフは早くそして力も強くなっているので一層熊ちゃんが鬱陶しそうだった。ミュンも隙を付いてアタックしている、そして私は補助魔法とレベル上げの為に『影魔術』を使いながら応戦。そして出来た隙に目を狙う、それから耳。後は腱がありそうな場所なんかを重点的に、やっぱり足を潰すのは大きいよね。


 勿論『契約』は使って勝った……けど石は出ず。入って来た出口に戻ってから二周目。MPが切れたらログアウトして回復したら繰り返そう、此処はセーフティーエリアだし。





「ダメかぁ」


 結局昨日は出ずに終わってしまった。沙織にも熊ちゃんと遊んでますとSSを送り付けた……。「なんてひどい……誰よこんなことしたの(チラッチラッ)」という返信が帰って来た、まぁ確かにズタボロだけどさ。今日も今日とて熊ちゃんの石狙い。

 

 でも此処に来て一つだけ懸念が生まれた。


 ボスって石落とすよね?


 これでもし普通のモンスターしか契約できませんとか言われたら流石に泣くよ私! どうして熊ちゃんモフモフできないんですか! って。


 おかげでレベルも上がっているし、スキルレベルも上がっている。相変わらず『剣術』が一歩リードしてるけど。連戦するには出来るだけMP節約しながらだから仕方ない。でも元々STRが高くないから、嫌がるところとかクリティカル狙いで戦ってる。勿論攻撃は怖いのでしっかり補助はかけている。


 なんとなく感覚も慣れてきて攻撃を受ける事が無くなって来たので、回復魔法に割くMPが減っている。AIといってもモーションは殆ど同じだ、でも最初から飛び掛かってくる子、迎撃体制の子、此方を分断しようとしてくる子、性格はまちまちだ、やりにくい。


 そしてまたMPが切れたので一旦休憩。まだ出ないと沙織にメッセを送る。沙織は今日たしか学校に論文を提出に行っているはずだ。


「掲示板でもまだボスの契約石の話は出てないね」

「そっかぁ、狩るのは早くなってきたけど希望が……モフモフして充電しないとやってられないよ」

「まぁ頑張って、あと落ちたらせめてコントラクターの掲示板には情報載せといてあげたら? 結愛の他にももふもふしたい人もいるかもしれないしさ」

「うーん、まぁ頑張ってみるよ」


 掲示板ってちょっと怖いイメージがあるんだよね。まぁでも確かに沙織の言う通りか、逆に私もモフモフの情報教えて欲しいし、同好の士なら大歓迎だし。


 メッセのやり取りを終えて再度ログイン。


 そして今日もまた熊ちゃんは出ませんでした。それに、段々とボス前セーフティーエリアに人が多くなってきてるんだよね。なんか変な目で見られることもあるし、そういうときはさっさと熊ちゃんと遊びに行くんだけどさ。


 朝走ってからログイン。しっかり健康にも気を付けてます、一日寝たきりってのもなんか危なそうだからね。


 よし、いざゆかん一発目!


 ボスフィールドはいつもと同じ広さで、いつもと同じ熊ちゃん……が、いない。


 おかしいなと思って辺りを見渡してもいない、ログインしたのはゲーム内時間で零時前だったので丁度零時くらいかな? そのため周囲は月明かりが照らしているのだけれども、いつもいるはずの場所に熊ちゃんがいない。もしや何かの不具合?


 訝しみながらも警戒して、いつも熊ちゃんがいる場所へ近づく。


 丁度フィールドの真ん中まで来た時、突如後ろから咆哮。考える前に体が動いて勢いよく左にダイブ。次の瞬間、私のいた場所を黒い何かが凄いスピードで通りがかった。

 そしてその後をアルフとミュンが近づいて行く。


 その熊さんは、いつもの熊ちゃんとは違った。先ず色が黒いし胸元に白い線のようなマーク、フォレストベアにそんなの無かった。しかもデカイ、普通の熊ちゃんの倍は無いだろうけど、威圧感から倍はあるように感じる。


「プロテク」


 平坦な声が聞こえた。って私の声か、どうやらトリップしている間に魔法を実行していたようだ。一昨日と昨日ずっと同じことしてるから体が覚えちゃったようだ。

 全ての補助をかけ終わり行こうとした瞬間、アルフが少しかすってしまう、それだけでHPが目に見えて削れている、此処はヒールを選択。


 それにしても、私もかすったら危なそう、集中しなきゃ。


 PS道場でもこういう敵はいた、だんだんと思い出してくる感覚になんだかいけそうな気がしてくる。


 先ずは私から注意が逸れた隙を縫って足に一撃、でも硬い!


 直ぐに離脱したけれど、その後を追うように大振りに爪が迫っていた、ぎりぎりセーフ。

 そして私の方に向いたら今度はアルフが攻撃、そして私の注意が途切れた瞬間を狙って攻撃。地味だけど、堅実に少しずつ、集中が切れたり欲張ったりするのは死に直結する。


 HPが四分の一まで減った時挙動が変わった。半分になって更にスピードが上がったのを考えるとまさかと思っていたけど、どうもそういう感じではない。なんとなく此方に意識を向けていて、アルフ達を鬱陶しそうに追い払っている感じだ。特に攻撃力が上がっているわけでもなし。


 よく分からないので一旦アルフとミュンを此方に呼ぶ。そしてにらみ合う私達という奇妙な時間が過ぎていく。


 熊さんはじっと私の事を見ているのでコレはと思い『契約』をかけてみたけど何も起こらず。ならばと思って私だけ一歩前に出ると熊さんが仁王立ちになる、そして咆哮。もしかして一対一で戦いたいとかそういう事? ちょっとまってよ、それ私不利すぎない?


 でももしかしたらという勘が働いた。ほら、お前の力を示せてきな? 示したら仲間になってくれそうじゃない? 

 一対一は不安というか一発貰ったら死ぬだろうけど、やってみよう。

 

 もふもふ~ふぁいっお~。


 刺突剣を仕舞って普通の剣に変える。たぶん突いてる余裕はない。武器壊れそうだし。


 熊さんは迎撃態勢。私は走って熊さんに接近。熊さんは手を上げて振り下ろす構え、それならばと振り下ろす瞬間バックステップ。目の前には振り下ろされた手、そこに一撃加えて離脱。

 そしてその攻撃を警戒してか手を上に上げなくなった熊さん、今度は遠くから魔法を選択、でもあんまり効いていないようだ。それに熊さんから四つ足形態で近寄ってきた。直ぐに私も迎撃、今迄のモーションから近寄って薙ぎ払いだと思われるので、薙ぎ払いの瞬間ジャンプして熊さんの背なかに。直ぐに立ち上がろうとする熊さんの喉に後ろから剣を差し込む。


 結構硬くてうまく刺さらなかったけれども、それでもなんとか刺せた。クリティカル判定で一気にHPを削り振り払おうと仁王立ちになり暴れるので隙を見て離脱、刺突剣を持つ。


 今も熊さんはじりじりとHPバーが減っている。


「ゴアアアアアアアアアアアアア」


 現実ならありえない咆哮、喉貫かれてるのに。

 基本の四つ足で此方に突っ込んでくる、それにジャンプをして刺さっている剣を掴む。熊さんは自分のスピードと相まって更にHPにダメージを受けた模様。現実だとこんなに綺麗なジャンプは出来ないけれども、ほんとゲームでよかった。熊さんはまた私を振り払おうとのた打ち回っているので即離脱。もし何かの反動で爪がズブリと刺さったら絶対に死ねる。


 離脱して刺突剣を構えた瞬間熊さんが突っ込んでくるので今度は左に回避して即離脱。熊さんはなんと背中を地面に打ち付けていた。見ていたけれども、私が背中に飛び乗ると思っての行動だと思う、私のいた場所まで来ると直ぐに反転していた、恐ろしい。だけどその影響で刺さった剣が奥まで綺麗にずっぽりして正面から見える剣先の長さが増えた。


 よく考えればなんで抜かないのかな? もしかして熊さん的なハンデだろうか? まぁ私にとっては嬉しい事だから気にしないけどね。


「ゴガァ」


 此方に向き直った熊さん。今度は私から接近。仁王立ちで迎え撃つ熊さん。振り下ろす手のタイミングを見切って股を潜って直ぐにジャンプして熊さんの頭を掴み剣の柄と肩を足場にして刺突剣を目に刺し入れる。

 熊さんは自分の頭に手で思いっきり殴ろうとした体制で体を一瞬びくりと振るわせてフリーズした。


 その瞬間、熊さんを斃したと思う。そのまま熊さんから即離脱。今ので決めきれなければ死んでいたと思うけど、残りHP的に決まると思っていた。


 熊さんはその場から動かずフリーズしていたけれども、一瞬光ると熊さんに刺さっていた剣が落ちる。そして熊さんに付けた傷が全て癒えている、でもHPは無い。何かのイベントかな?


 熊さんはゆっくりと此方に来ると、私に手を差し出した。握手? と思ったけれども差し出された手には黒い石が。私がそれを受け取ると熊さんは粒子になって消えてしまった。


 それをぼんやりと見送ってから、足に見慣れたモフモフがいたので撫でる。

 

 心を落ち着かせてからアイテムボックスに石を入れると、『ツキグマの契約石』となっていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ