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ナデサセテ・コントラクト  作者: なでり
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第六話 末裔のお話しを聞きました




「じゃあ今日は此処までにするから~、お手伝いありがとうね」


 ゲーム内時間午後六時、作業は終了した。


 スキルレベルも上がり、平均してCを作れるようになったけど、それでもDが混ざるので油断はできなかった。なんとなく集中していたほうが成功率が良さそうだったので、無心になってポーション作りに励んだ。


「いえ、私もスキル上がりました、ありがとうございます」

「いえいえ~。じゃあ最後にいいことを教えてあげようかなぁ~」

「いいことですか?」

「そう。【錬金術】と【薬師】のスキルはどっちの方がポーションの品質を上げやすいかなんだけどね。実はどっちも同じく大変なの、違いは力業か技術かなんだよ」

「力業?」

「【錬金術】は力業、薬草や水そのものを錬金で品質を良くするの、同じ物を二つを掛け合わせて品質を良くするんだ~。薬草と薬草を錬金して品質のいい薬草でポーションを作るの。勿論【錬金術】のレベル上げもしないといけないけど、力業。【薬師】の方は、薬草の分量だったり乾燥させるのか抽出させるのか、切るのか潰すのか、そういった技術が必要になるから最初は大変だけど、一回見つけちゃえば後は楽なんだよね~、お金的にも【錬金術】の方がかかる。最終的には好みだけどさ~」

「なるほど」

「それじゃあはいこれ、これをギルドで見せてくれれば依頼達成だからね~ありがとう」


 手紙を貰ってから再度御礼を言ってお店を後にする。

 さっきの話だけど、やっぱりポーションとか薬関係に特化するなら【薬師】の方がやりやすそうではある。でも【錬金術】は他の事も出来るからいいんだよね。


 街は夕方だったけれども、現実の時間ではまだまだ日がある時間だ。やっぱり神殿の周りには人が多い。しかもパーティー組みましょうという掛け声まで聞こえるようになった。面倒くさそうなのでさっさと生産ギルドに戻ろう。


 生産ギルドにもプレイヤーはいた。カウンターも並んでいたので最後尾につく。

 そうそう、ポーションを作っている間にファスタの森外縁のフィールドボスの討伐と第二の街エヌアの街が解放されたというワールドアナウンスがあった。所謂攻略組ってやつだと思うけど、頑張って欲しい。そしてモフモフの情報を!


「レオラさんお帰りなさい」

「こんばんは、これです」


 一応受付はチュートリアルの時にいた方と同じ方にしておいた。

 私が手紙を渡すとそれを見て一つ頷く。


「依頼達成ですね、ありがとうございました。お約束の件ですが、ギルドの裏手でお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

「分かりました」


 ここから案内されるかと思いきや、裏に回された。もしかしていきなりギルド長に会うと目立つから気を使ってくれたのだろうか? それならそれで有難い。なんでも、こういったゲームには自分が知らないことは教えろとしつこく言ってくる輩がいると沙織に聞いていたので、気を付けなくては。


 ギルドを出て裏に回る。一本道を入っただけで先ほどよりも暗くそして通りに近いので余計に静かに思える。なにせ大通りの喧騒が此方にも聞こえてくるのだ、対比が酷い。


 少し待っていると、ギルドの裏口が開く。

 ビール腹に髭をカールさせているおじさんが出てきた。


「レオラ君というのは君であっているかな?」

「はい、えっとギルド長でしょうか?」

「いかにも! 私はファスタの街の生産ギルド長をしているケイルだ、以後お見知りおきを」

「レオラです、よろしくお願いします」

「用件は聞いている! それにしてもポーションを作ってくれて助かったぞ、消費が激しくてなぁ。おっと、ゴの部族についてだったかな、あまり時間も無くてな、悪いが手短に行くぞ」

「はい」

「国が出来る前はそれぞれ部族ごとに住んでいてな、此処に住んでいたのがゴの部族という訳だ。各地の部族について話したいのは山々だが此処は省略しよう。彼らの主神ははっきりしていない、その部分だけが切り取られた様に空白なのだが、暮らしや規模についてはゴの部族長が纏めた手記が見つかっている」


 切り取られた……ってまんま消えた神って事だよね。


「規模は約1500人、周囲の木を使い家を建て、また森のモンスターを狩って生計を立てていたようだ。特に魔法については多くの者が今よりも強力なスキルを身に着けていたのではと言われているが定かではないな。だが私はそれが真実であると思っている、そのころはまだファスタの森に崖はないはずだが、ファスタの森深層でしか出てこないモンスターも容易く狩れていたというのが私の分析でな、今から考えれば何かしら特化した物があっても不思議ではないと思っている」

「成る程、ゴという部族は強力な魔法に特化してこの辺りを収めていた部族ということですね」

「そうなる。君の探しているゴ・フレドと言うのは、ゴ部族最後の族長だ。彼の代で国が出来ゴの部族もその庇護下に入る事を決めたそうだ。このことについては王都にある歴史書に出ているだけで本当かどうかは分からないがね、もしかしたら武力を持って統合したのかもしれない。私の推測では時を同じくして魔王が生まれたと思っていてね、それに対抗するために人間も纏まる必要があったのではないか、それがこの国の起こりではないかと考えているのだよ」

「ではゴ・フレドという方は」

「少なくとも800年、長くて1500年前には亡くなっている」

「そうですか」

「だがゴの部族の生き残りならいるぞ」

「え!」

「此処から南に行くと小さな村がある。そこはゴの末裔が暮らす村だ。何を知りたいのか、もしくは私と同じ歴史探求が目的なのか。先ずはそこにいってみるといいだろうな。……おっとそろそろ時間の様だ、私はこれで戻らなければな」

「あっ、貴重なお話ありがとうございました! 行ってみようと思います」

「うむ、自らの目で見るということは、大切な事だ。君は君の感じるがままに進むとよい」


 ゴの部族、主神、高い魔法技能。これだけ揃っていれば行くしかないよね。


<『消えた神を探して』に進展があります、メニューよりご確認下さい>


 おっとまたインフォ来た。内容はゴ・フレドの末裔に会いに行くに変わっていた。


 さて、南の村って言っていたけれども、どれくらいの時間がかかるんだろうか。ちょっと冒険者ギルドで聞いてこよう。


 と思ってギルドを覗いてみたのだけれど、大盛況。カウンターにも結構人が並んでいるので他の場所に行くことにした。

 大通りを南に進んで城門まで来る。こちら側にも草原が広がっているらしいけど、第二の街は北門から行くらしい。すれ違いざまにそういっていた人の声を聴いた。


「あの」


 だが私の目的はこっち、城門に居る衛兵さんに聞いてみましょう。


「ん? どうした?」

「南の村に行きたいのですが、どのくらいかかりますか?」

「ゴーの村か? 徒歩だと6時間ちょっとくらいかね? 馬車だと2時間だな」


 結構遠い……。うーんでも行かない選択しも無いしね。


「今から行くのかい? お嬢さん一人で? よしといたほうがいいと思うぞ、夜はモンスターも活発になる。いくらウルフしか出ないと言っても危険に違いはない」

「うーん分かりました、ありがとうございます」


 取り合えず朝まで待って出発かな。もうすっかり辺りも暗くなってきちゃってるけど、一旦ログアウトしてからレベル上げしよ。夜なら人目に付かないところでアルフをモフモフしても見られることもないだろうし。


 という事で衛兵さんに近場の宿を聞いてそこでログアウト。


 街中でも宿等のログアウト推奨施設以外でログアウトすると、体は残らないけどMPがじりじり減って行って、MPがなくなったらHPが減って行って、最終的には死に戻りで神殿スタートらしい。


 



 ログインしました。

 折角だったのでお昼ご飯を食べて来た。ゲーム内時間は午前の一時、日が昇るまで南の草原で狩りをしてみよう。無理そうなら退却すればいいし。


「ふぅーふぅー」


 今何をしてるかって? アルフに顔を埋めているだけです。流石に長い時間モフリまくったのでモフモフ充電完了しました。ちょっと城門の人目に付かない影が出来ている所でモフモフしていたので、他のプレイヤーには見られていないはず。


 そう言えば【鑑定】でSPを1使ったけど他にはまだ使ってない。折角なら何かスキル取ろうかな。

 スキルのページを開いていくつか見ているけれども魔法はパス。なんでも魔法を摂りすぎるとそのぶん魔法のスキルレベル成長が遅くなってしまうんだとか、沙織が言っていた。


【剣術】を取りました。

 剣を使ってるのにスキルが無いのはもったいなかった。使ったSPは3点、ちょっと重い。


 スキルを取った感想。結構使いやすくなった。思ったように剣が動かせるので、ウルフ相手にも引けを取っていない。

 最初に出会ったウルフは二匹。補助魔法を掛けてそこからダークバレット、怯んだところを突っ込んで斬る。終わったらアルフのお手伝い。

 次は三匹同時に出現。一匹フリーになるから私が避けながらちょこちょこ攻撃してと、ちょっと長引いてしまった、反省。でもそのおかげでアルフのレベルがアップした。



名前:アルフ

種族:ウルフ Lv3

基本値(BP:0):STR:8 VIT:6 INT:3 MDF:3 DEX:4 AGI:8 

スキル:【噛みつき】【引っ掻き】



 ランダムはAGIだったのでSTRに追加。今のところ前衛なのでこのままSTRとAGIを上げて行こうと思ってる。そんでもって新たなスキルゲット! 引っ掻き攻撃を覚えたようだ。


 よしよしじゃあ夜明けまでガンガン行きましょ~。……っと思ったけど一旦街に戻って依頼を受ける。

 そうだ、ウルフの討伐は受けとけばよかったんだと気が付いたから。南にも人はいるけど、北の方が多いのでリポップ待ちになっている事も少ない。


 一応ウルフにも【契約】を使いながら戦闘を続ける。

 時刻は午前五時。MPが切れたので剣一辺倒でウルフに相対していた。ウルフの討伐は依頼を達成したら戻って受付をしていたので、ずっと狩っていたわけでもない。

 でも【闇魔法】と【無魔法】がレベル3になって新たなスキルを覚えた。


ダークヒール 威力:10 詠唱時間3秒 待機時間10秒

ヘイスト 効果時間2分 待機時間30秒


 この二つだ。ヒールの待機時間がちょっと長い気もするけど、レベルアップしていけばもっと割のいいスキルも手に入るだろうし、序盤は我慢だ。それでも回復呪文を手に入れられたのは僥倖。これで少しだけ無茶が出来る。


 最後のウルフを刈り終えて報告。それから村に行くために南門へと向かった。









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[気になる点] 最後のウルフを刈り終えて報告 狩り終えて では? [一言] お疲れ様です これからも頑張ってください
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