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ナデサセテ・コントラクト  作者: なでり
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第十七話 モフモフと街中デート権利! ですって!?




「こ、これ、食べていいんですか!」

「勿論だよ、はいスプーン。皆はこっちね」


 流石にショタっ子に四つん這いで食べろとは言えないので、別のお皿に盛って渡した。そう考えるとブレアにも別皿で出した方がいいのかな?

大皿の方は出した瞬間皆一斉に群がって食べている。勿論ブレアも引っ掴んで口に入れている、皆可愛い。


「フェリは、手づかみ生活だった?」

「スプーンとフォークでした」

「食べていいよ」


 此方をチラチラ見て待てをされている犬の様で、いいの? ってこっちを伺う視線が可愛いけど、お腹空いているみたいだし意地悪はしません。


 フェリもスプーンでモグモグしてぱっと明るい表情になったので、美味しいと思ってくれてるはず! でももっと腕を上げなければ!


 取り合えずこれからの予定は、このまま第三の街ティーリまで行っておきたい。なにせ明日からは2陣が来てこの辺りも賑わってしまうだろうから。

 皆がご飯を食べている内に、コントラクト系の掲示板に一位のフェリの事を書き込み。あとは嬉しそうにご飯を頬張っているSSを沙織に送信。

 掲示板は相変わらず他と比べるとそこまででもないけど、私の書き込みで少し加速していった。その中でも、可愛い! とのお声が多数。そーでしょうそーでしょう。書き忘れていたので、しっかりと言葉を話す事を書き込むと更に加速。よく考えれば、NPCだって普通に話せているのだから、モンスターが会話を出来ても何も不思議じゃないんだよね。




 食べ終わったモフモフと出発! 

 道中はフェリの確認。【狐火】は、火攻撃とランダム状態異常付加小。たまに敵が火傷状態や毒になっているけれども、やっぱり確立は高くない。Ex繋がりだと、ナードの【月光】の方が好みかな。あっちは月があれば攻撃力上がるし。


 確認をしながらも道中は難なく突破。途中肉の補充も出来たし此処にはまだまだお世話になるかも。


 ボスも慣れたもんで直ぐに斃せてしまった。フェリは少し怖かったのか、ボスオークが出てきたときに小さく悲鳴を漏らしていたけれども、他のモフモフ達を見て気を取り直してくれた。勿論SSした、当たり前だ。


 森を抜けると、山が近くなった気がする。此方から東側は山脈地帯のようで、連なる山々が見えている。


 ティーリの街の外観はこれまでと違い、何処か物々し気に感じた。きっと城門に剣やら斧やらが矢やらが突き刺さっているからだ。あれはオブジェ的な事なのかな? 分からない……。


 モンスターちゃんたちと泣く泣くお別れ。フェリは行けるのでは? としれっと入ろうとしたら門兵さんに止められた。目ざとい。


 街の中は喧噪に満ちていた。それはプレイヤーの物なのか、NPCの物なのか、とにかく露店が多く広がっているし、少し目を上に向ければ、いくつもの煙が昇っていくのが見受けられた。ファスタやエヌアで見た買い物主婦です~といったNPCは少なく、肝っ玉母ちゃんみたいな風貌な方が多い。男性もどちらかというとゴツイ感じであったり、研究者っぽかったりする。確かに此処は生産者の多い街なのだろうと肌で感じられた。


 でも変わらないこともある。例えば神殿は街の真ん中にあるとか。

 忘れないうちに神殿で更新してからさて何処に行こうかと考える。そう言えば此処にはコントラクターギルドなるものがあると聞いたなと思い出して地図で探ってみる事に。


 大通りは基本商売関係と冒険者ギルドや生産ギルドなどの大手で占められており。一本入った道が、細かな分類をされているギルドのある場所らしい。その中に料理ギルドもあったので、コントラクターギルドの後で行ってみる事にしよう。


 露店を冷やかしながら目的地へ。

 金銭的な事も含めて見て回っていたけれども、けんざんさんとズグルさんのありがたさを再確認した。二人ともいい腕でぼったくっていなかった。品質と金額が丁度いい具合の値段だと思う。あの二人はVRMMO歴長いのかな。今度失礼じゃなければ聞いてみよう。


 コントラクターギルドの入り口は、普通のギルドと変わらなかった。けれども中に入ってびっくり、モンスターが街中に! きっと誰かのコントラクトモンスターなのだと思うけど、此処だと呼び出せるのかな? でもメニューでは呼び出し不可になっている、なんでだろ。


 取り合えず受付に行ってみた。そう言えば強制チュートリアルに入らないけれども、あれはファスタ限定なのかな。

 受付には三人の女性がいたけれども、その中でも此方にニコリとしてくれた優しそうな方の元へ。


「こんにちは」

「ようこそ、此方はコントラクターギルドです。貴女様もコントラクターとお見受けしますが、ご登録でしょうか?」

「はい、それとコントラクターギルドについても教えてください」

「畏まりました、では此方に手を……はいありがとうございます。ではご説明させていただきます。コントラクターギルドとはそもそも全ての国からコントラクター一人一人の資質を見極めるために造られたギルドとなります」

「資質ですか?」

「そうです。コントラクターギルドのそもそもの起こりというのは、街にコントラクトモンスターを入れられないのは不公平ではないかという話から始まります。剣士は剣を帯剣して街に居るのに、コントラクトモンスターを連れられないのはコントラクターにとって剣士に剣を仕舞って歩けと言っているも同然です。ですがモンスターは大きさもそうですが、個人の意思を持ちますし、街にはモンスターを怖がってしまう方もいます。そこで造られたのがコントラクターギルドです。当ギルドでは、コントラクター一人一人の資質とモンスターがしっかりと懐いているかを見極め、様々な依頼や資質と照らし合わせて、この人とこのモンスターなら街での召喚を許可出来るという方にギルドから証明書を発行し、その証明書を携帯することで街中でもモンスターを呼び出すことが出来るのです」

「簡単に言うと、このギルドのランクを上げて認められると、街中でもモンスターたちと一緒に居られるという事ですか?」

「左様です。勿論宿を取る場合は店の許可を得るか、ギルドに聞いていただければ街のモンスター同伴可能宿屋をお教えいたします」


 なんと! なんと! これは是非とも皆を連れて歩きたい! でも迷惑にならないようにずらずら歩くのも悪いから、一匹ずつモフモフデートをすることにしよう。モフモフデート、なんて甘美な響き。でもロリショタとデートはわけわからなない勘違いする人がいそうだから、一緒にお使いに言い直しておこうかな。ロリショタと一緒にお使い! たまらん!

 左手はルドナ、右手はフェリでウィンドウショッピングとか、夢が広がるよぉ。


「では登録完了といたします。基本的な禁則事項は冒険者と変わりません。基本自己責任となりますが、もし証明書を発行した人がモンスターに纏わる問題を起こした場合、此方にも不利益が被りますので度合いにより対処や罰金罰則を課すことになります」

「分かりました」

「因みに、このギルド内であれば、ギルド登録した後一匹だけ召喚できますよ。なにせモンスターとの資質を見る依頼もありますからね」

「ちょっと確認してきます、登録ありがとうございます」


 そう言って立ち上がった瞬間、ギルド内に居た人たちが私にチラリと視線を向ける。

 

 ……そーいえば、わたしちょっとしたユウメイジンだった。


 で、でも、街でのデートの為。頑張って依頼を見に行こう。


 ボードに近づくとディスプレイが出てくる。最近は冒険者ギルドに行っていないので、なんだかちょっと懐かしい。


 依頼内容は、契約したモンスターの数が3体を超える事や、契約石を貰った回数が3回を超える事など、【契約】にまつわる依頼ばかりだった。そのためあんまり報酬の金額はもらえないけれども、そもそもお金を稼ぐところじゃないしね。


「お願いします」


 達成できているであろう物を受けて受付へ。


「はい……達成を確認しました」

「もう一度行ってきます」


 受けて……。


「おかえりなさいませ」

「あはは、お願いします」

「……達成しておられますね、それではランクアップでございます。街中で連れ歩くにはもう少しランクを上げる必要がありますので、頑張ってください」


 そう言われたらまた依頼を受けなくちゃね。


「此方の依頼は、モンスターの懐きを見る物です。一匹召喚をお願いします」


 此処はやっぱり最初のパートナーで行くよ。


「アルフ、召喚」

「ヴァフ」


 よしよし。

 アルフは初めて見る家の中を物珍し気に見つめていたけれども、私がなでなでするとそれに身を任せてくれる。く~モフモフかわいいなぁ。


「成る程、よく懐いていますね。ちゃんとご飯も上げているようですし、依頼達成です」

「あの、やっぱりモンスターにご飯を上げるのは重要な事なのでしょうか?」

「そうですね、当たり前ですが本来モンスターは何かを食べて生きていました。それがコントラクトすることによって食べなくてもいい体を手に入れられますが、それでもお腹がいっぱいになった感覚や、美味しい物というのは恋しくなるものですからね。モンスターにとっては大事な趣味の一つだと私は考えています。勿論食べるよりも他にしたいことがある子もいますから、それを見極めるのも大切な事です」

「成る程、それならやっぱり【料理】を取って正解でした」

「おや、【料理】スキルもお持ちなのですね、良い選択だと思います。一応当ギルドでもモンスター用のご飯は売っておりますので、宜しければ後で見て行って下さい」

「そうなのですね! 見ます!」

「はい! ではお次に、特殊進化したモンスターを拝見したいのですが、宜しいでしょうか?」

「はい」


 アルフを帰還させてブレアを召喚。


「成る程、コボルトの特殊進化ですね。【料理】をお持ちですし納得です。ではこの依頼も達成ですね」


 今の反応からすると、やっぱりコボルトにご飯を上げて懐かせると特殊進化するみたいだね。


「では最後にExモンスターを拝見させて頂きます。ご準備をお願いいたします」


 じゃあナード! 召喚と。


「おぉ! 珍しいですね、この子はツキグマでしょうか。私ツキグマのコントラクトモンスターを見たのは初めてです、レオラさん素晴らしいですね!」

「ありがとうございます、ナードも石くれてありがとね」

「ガゥ」


 なでなでなでなで。すると受付の女性も羨ましそうに此方を見ている。


「ナード、受付のお姉さんにもなでさせてあげていいかな?」

「ガゥ」


 一つ頷くナード。それにキラキラした目で見つめるお姉さん。


「どうぞ」

「ありがとうございます、それでは失礼いたします……これはまた、手に残るようでしかしさらりと流れてしまう、心地のいい毛並みでございます。はぁありがとうございました、あまり他人に撫でられるとストレスになる可能性がございますので」


 すっと手を引くお姉さん。ちゃんとナードの事も考えてくれるいい方だ。





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