第十話 くまちゃんもふもふタイム、目覚めは金欠と共に
<レオラのレベルが上がりました>
<アルフのレベルが上がりました>
<ミュンのレベルが上がりました>
ハッいっぱい来てる。取り合えず私から確認。
名前:レオラ
種族:人間(女)
職業2:コントラクターLv8
基本値(BP:0):STR:12 VIT:11 INT:19 MDF:19 DEX:13 AGI:12
スキル(SP:13):【契約Lv5】【料理Lv1】【錬金術Lv4】【闇魔術Lv6】【無魔法Lv7】【鑑定】【剣術Lv11】【光魔法Lv3】【影魔術Lv4】
称号:[魔神ルドナリスの加護][魔神のお茶飲み友達]
よく見ると色々上がってる。ぐるぐるしながら魔法も使うのを決めていたからちゃんと呪文リスト見てなかった、見直そう。
【闇魔術】と【無魔法】は6になって新しい魔術を取得、それに光と影も3になって新しい魔法と魔術を取得していた。
ダークボール 威力:30 詠唱時間:1.5秒 待機時間:1.5秒
マジックプロテク 効果時間:2分 待機時間30秒
ライトヒール 威力:10 詠唱時間3秒 待機時間10秒
シャドウバレット 威力:30 詠唱時間:1.5秒 待機時間:1.5秒
新しい呪文はこんなところかな。ダークボールに関してはダークバレットの完全上位だし、マジックプロテクは魔法防御、ライトヒールは人にかけるならこっちの方が回復するらしいので、何かあった時は使うかもしれない。そして一番使えるのがシャドウバレット、これ対象の影から黒い玉が飛び出すので奇襲するのにもってこいの魔法なのだ。
次にアルフ。
名前:アルフ
種族(2):ブラックウルフ Lv6
基本値(BP:0):STR:15 VIT:11 INT:3 MDF:4 DEX:5 AGI:14
スキル:【噛みつき】【引っ掻き】【強襲】【気配察知】
ランダムポイントも基本前衛の所に入れてくれるのでこっちもやりやすい、このまますくすくと大きくてモフモフな毛並みになって欲しい。
次にミュン。
名前:ミュン
種族(2):ホーンラビット Lv3
基本値(BP:0):STR:11 VIT:11 INT:3 MDF:4 DEX:4 AGI:13
スキル:【頭突き】【ホーンアタック】【逃げ足】
実はミュンちゃんこの間進化して頭の上にちょこんと角が生えている。【ホーンアタック】はその名の通りで頭突きと変わらない。【逃げ足】は対象から逃げているときにAGIが少し上がるらしい、ヒットアンドアウェイ戦法。ミュンの進化はホーンラビットの一つだけだったので、考える余地はなかった。
じゃあメイン行きまっせ?
私はアイテムボックスの中の契約石をコントラクトする。
「ガゥ」
目の前に現れたのは今まで戦っていた黒い毛並みの大きな熊ちゃん。よく見ると線は弧を描いていてツキノワグマっぽいっていうかあんな感じだ。
「名前はナードにしよう、ステータスはっと」
名前:ナード
種族:ツキグマ(Ex) Lv1
基本値(BP:0):STR:14 VIT:14 INT:8 MDF:7 DEX:10 AGI:12
スキル:【爪斬】【月光】【殴り】
んんん? おかしい、明らかにおかしい、初期でこのステータスってどうなの? いいの? バランス大丈夫なの?
でもユニーク個体だからいいのかな? まぁいいや先ずやることは決まっているんだからね。
ナードの毛並みは? 硬質な感じだったけれども嫌な硬さじゃなかった。モフモフなんだけどすべすべ、これもこれであり最高。今はナードに抱き着いたりアルフを膝の上に持ってきて撫でたりミュンを抱っこしたりしている。勿論基本なでなでしながらである。
さて、これで一段落着いたので第二の街へ行ってログアウトしよう。INしたばかりだけどちょっと疲れちゃった、結構な死闘だったからね。
私がナードを連れて外に出ると色々な人から視線が向けられる。まぁまだ報告に無かったボスのコントラクトだから目立つのは仕方ないけど、やっぱり大勢の視線って苦手だなぁ。
なのでそくささと第二の街へ。
途中襲ってくる敵を難なく倒して第二の街へ。ナードのAGIは低いけれどもそもそも一歩が大きいので直ぐに近づいて敵を屠っていた。爪の斬撃からの殴りが基本攻撃だけど、殴って串刺しのようにされている敵もいた。
第二の街の衛兵さんにお勧めの宿を教えて貰って直ぐにチェックイン、お部屋が空いているか心配だったけど、結構奥まった場所にあったので知る人ぞ知る穴場な感じがして良い雰囲気。バーが隣接されているけれども、皆静かに飲んでいたので結構大人なお店なのかも。
ログアウトしてからお茶を淹れつつ掲示板に書き込み。
先ずは普通のフォレストベア以外の情報を探ると、どうやら午前零時に入るとムーンベアというボスに変わるらしい。でも私の出会ったのはツキグマである。Exの事を考えると、フォレストベアのユニーク個体がツキグマなのでは無くて、ムーンベアのユニーク個体がツキグマなのかと考えながら情報収集。結果、フォレストベアのユニークがモリグマといモンスターであることを発見したので間違いないと思う。
そうだと分かるとちょっと書き込むの躊躇っちゃうな。でもボスフィールドからマルチに戻った時にプレイヤーに見られちゃったし。それに周囲を気にしてナードを撫でられないのはもっとやだし、此処は書き込んじゃお。
取り合えず出会った状況と、途中の一対一のモーション変化を書いて、ステータスは上げなくてもいいらしいから載せない。名前とあと毛並みの話を書いて終了っと。
あんまり人目に付かないように外部掲示板を使って書き込んだのに凄いコメントが書き込まれているのを見ないフリをしながらそっ閉じした。最後に集合SSを沙織に送って再度ログイン。
掲示板は内部と外部の二つがある。理由は流れている時間が違うから。内部の書き込みを追おうものなら通常の四倍の早さで読んで書き込まないといけないし……そもそも内部掲示板は外部からアクセスできないようになっているからね。内部から外部は見れるけど書き込めない。
やる事もやったのでログイン。ゲームの中は既に日がある。
アイテム整理をしようと思って開けて直ぐに締めた。
……なんかいっぱいあった。
という事で冒険者ギルドへ。街の配置も第一の街と基本同じような感じだけどこっちの方が広い。それに人も多い。
大通りを歩いていると、けんざんさんを見かけたのでそう言えばと刺突剣を取り出してみてびっくり。なんと耐久値があと30しかなかった。これはだめだよね。
「おはようございます」
「おっレオラさんいらっさ~い! そしてゲーム的にはおはようございます! それで本日はどうしたのです?」
「耐久値を元に戻していただきたくて」
私はアイテムボックスから刺突剣を出すと、けんざんさんは目をパチパチとしばたかせ此方を見る。
「もうちょっと早く持ってくることをおすすめするにゃ~」
「すいません」
「まぁ使い方はその人次第だから気にしないけどね! まっ今は露店中だからパパっとやっちゃいますよ!」
「直ぐに出来る物なのですか?」
「勿論! 現実とは違いますからね、じゃあちょっと待っててください」
何やらアイテムボックスから色々な道具を出して刺突剣を磨いたり研いだりしているけんざんさん。ぼんやりと空を見上げると綺麗な青空だった。何時かグリフォン的なモフモフをもふもふしながら空を飛んでみたい。
「ほいできあがり~」
「ありがとうございます!」
「いえいえこれが私のお仕事ですから! レオラさんはこれから冒険?」
「ギルドに行こうと思ってます、アイテムボックスがドロップ品で圧迫されちゃって」
私は刺突剣を装備して初期の剣をアイテムボックスに入れた。こっちは耐久値が無くなることが無いので、色々と無茶な使い方が出来るので取っておくつもりだ。
「あ~成る程。その刺突剣がボロボロだったくらいだから結構いい感じで稼いでそうですなぁ。良ければお得意様になって欲しいです」
「鍛冶師の知り合いもいませんし、多分剣を買うなら此処に来ると思います」
苦笑いで返すと言葉のままの意味でいい笑顔で返された。正直今から他の生産プレイヤーを発掘するのはちょっと私的に辛いので騙されたとかじゃなければ此処に通うことになりそうだ。
「じゃあ早速一本どっすか?」
そういって露店の剣を見せてくるけんざんさん。折角なので見て行こうかな。
「これ……」
私が見つけたのは鋼鉄の片手剣。攻撃力は80と高い。
「あー、それ実はお勧めしない物ですね……品質Dだから耐久値も高くないし、そんなに攻撃力も伸びなくて。鍛冶のレベル上げに少し上の素材を使ってみたお試し品ってとこなんですよ、ちゃんとした鋼鉄商品はお得意様の予約で埋まっちゃうし、そこまで素材の数が無いから鍛冶師達は今鋼鉄をいかにして手に入れるかで頭を抱えてるんです」
「出どころって鉱山ですか?」
「そこのレアドロです! だから数が少なくても~……まぁ日にいくつかは絶対に出るんで仕入れ競争が大変なんですよ!」
「そうなんですか」
剣も新調したいと思ったけど、そう言えば私熊ちゃんと遊んでてお金ないや。
「レオラさんも予約しときます?」
「えっ、でもお得意様限定なのでは?」
「いーのいーの、基本造り手の気紛れなのです、特に私は!」
「予約したいんですがお金が」
「……所持金聞いてもいいですか?」
「2万ないです」
「あちゃ~、取り合えず剣より先に防具を新調した方がいいと思いますよ! フォレストベアが安定して狩れるなら熊の素材を売るのも手かな」
「あっ、熊の素材なら沢山あります」
「ほほぉ! ちょっとマナー違反だけどいかほどお持ちで?」
「えっと数えてないので分かりませんが沢山」
「……1ストックオーバー?」
「えっと、もっと沢山です」
「……ちょい待ち、それどうするつもりか決めてます?」
「冒険者ギルドの倉庫に入れておくつもりですが」
「買い取ってもいいですか? 数は分からないですけど。革職人の知り合いがいるんですけど、熊皮は結構人気だから数が足りないって酒飲んでまして」
「大丈夫です、私こんなに要りませんし」
「よっし! じゃあ申し訳ないですけど連絡とるのでちょっと待ってもらえますか?」
そういうことになった。




