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秋彩

作者: 貂寡

秋は、たくさんの色にあふれている。

紅葉して赤や黄色になった葉、教室から校庭を見渡す。

松虫が鳴いていて、もう秋なのだとつくづく実感する。

「何してるの・・・?」誰かが声をかけてくる、誰だろう・・・?

振り返って確認する・・・!

その声の持ち主は、気になっている女子だった。名前は他窪代沙たくぼよさだ・・・!

「えっ、なにって人間ウォッチング・・・です・・・」




彼の名前は、開田武寛かいだたけひろ

小学校の頃から気になっていた・・・だけど、告白するチャンスもなくて

そして小学5年の夏休みの前に転校していった。

住所も聞かなかったから・・・いつも気になっては、悲しくなった。

そして、地元の中学にあがって2年目の1学期の微妙な時期に転入生として

やってきたのが武寛だった。

そのとき、とってもうれしくて・・・泣きそうになった。

そして今日、やっと話しかけることができた・・・。

返事をしてくれたから・・うれしかった・・。





「人間ウォッチング?どういうもの・・・?」質問をしてしまう・・・。

「人間を観察するものです・・・。よく見てください、あっ、たとえば・・・あそこの木下にいる

 中一の男子・・・結構おもしろいですよ・・・。」



私は、言われたとおりに見てみる・・?どこが面白いのだろう、私にはただ、人がありのように動いているようにしか見えない・・・?



「わかんないな・・・何所がいいのか・・・私には、どう見ても人が働き蟻のように動いているようにしか見えないな・・・」


「そうですかか・・・それは、ざんねんですね・・・」




少し落ち込んだ、まあ人間ウォッチングは乙な遊びだからな・・・。

彼女は、暇なときどんな遊びをするのだろう・・・?

「あの、他窪さんは、暇なときどんな遊びをするのですか・・・?」

「えっ、代沙で、いいよ・・・。えっとね、今頃はペン回しかな・・?結構面白いよ。」


「ペン回しとはシャーペンとかを掌の上で回す遊びですよね・・・。」


「そうだよ、ところで開田くんのこと寛って呼んでもいいかな・・?」


「べつにいいですけど・・・」

内心、うれしかった。俺のことを親しげに寛って呼んでくれるのは、代沙だけだった。


「あのさーまた、色々と話をしたりしてもいいかな。席も近いんだし・・・」




彼ともっと話がしたかったが、昼休みは短いのでゆっくりとはしていられないけれど・・・・

きょうぐらいは、いいのかな・・・?




「はい別にかまいませんよ・・・だけど、机で寝ているときは、起こさないでくださいね・・・」

 そう言い終わるまえにチャイムが鳴る。校庭にいた生徒たちは次々と校舎の中に入っていった。



「じゃあまたあとでね・・・。」

そういうと、代沙は自分の席に戻った。


俺も席に戻ることにする・・・。と言っても窓際の一番後ろの席だから振り向くとすぐだった。










放課後の教室で、俺は思った。もし代沙が、人間ウォッチングを好きになってくれたら・・・

どれだけ良いことなのだろう・・・。


少し肌寒い教室で、一人だった俺を救ってくれたのは、代沙だった。

転校をしてこの近くの小学校から遠くの都会に行ったとき、俺はいじめにあった・・・・

自分で言うのも恥ずかしいぐらいの苦痛を身体に受けそして、ここに戻ってきた。

最初は、すごくうれしくて少しは、友達ができるだろうと期待した。

だけど、現状は全く違った。同じ小学校の人は半分くらい別の学校に行っていてその方に小学の頃の友達がいて

今いる中学には、友達といえる友達がいなかった・・・。

友達を作る勇気もない俺に、声をかけてきてくれたのは代沙だった。



本当に、うれしかった。いつも明るくて、活発で友達もたくさんいるんだろう・・・。






私は、なかなか友達が作れない・・・この学校には、頼れる友達が2,3人いるかいないかのところだった・・・・

少し寂しかった。泣くときも時々あった。

だけど今日、初めて彼に話しかけたことによってその気持ちが薄くなっていった。。

悲しくはなくなり、彼と話したことで余計にうれしかった。

もっと長く、もっと親しくなりたい・・・もっともっと・・・

そう思いながら眠りについた、夢の中でも彼に会えますように・・・





早朝、あまりにも早く起きてしまった俺に、冷気が襲いかかる・・・。

今日も、彼女と話ができるだろうか・・・

隣の席だから右を向けばすぐなのだが・・・話しかける根性がない・・・。

あぁ・・・今日も話しかけられますように・・・神様よろしく!!

そう、こういうときだけ、神頼み・・日頃何にもしていないのに聞いてくれる神様っているのかな・・・?




私は、学校に続く坂道を白い息を吐きながら上っていた・・・。

こう言うときだけ想う・・・あぁ坂道が無かったらいいのに・・・・

傾斜がきつい坂を上って息を切らすのが、

毎日の日課になっているが、2年になった今でもまだなれない・・・。

寒くなったこの季節には、ちょうど良い体温になるのかもしれないが・・・

私には、余計な体力の消費になっている。

こんな山の上に中学を作るなよ・・・そう思いながら上っていく。




教室は、まだ誰も来ていなかった。今日は、寒さに耐えながら早めに学校に来た・・・。

今聞こえる音と言えば、男子たちが騒ぐ昼休みの音ではなく朝の練習に来た、吹奏楽部の低音楽器の音だけだった。

今年も、あと4ヶ月となり3年生が受験で忙しそうにしている・・・。

吹奏楽部は、アンサンブルコンテストに向けて曲を練習しているらしい・・・。

テニス部の男子が、テニスコートではしゃいでいる音も聞こえる・・・。



『ガラガラ・・・・』

教室のドアが開いた・・・

そこから代沙が入ってきた・・・


「おはよう」

「おはようございます・・・」

そういうと、俺の隣の席に彼女は、座った・・・。





彼が側にいると何だか落ち着く・・・

今日も話すことができた、だけどもっと・もっと・話したいよ・・・色々・・・

だけど話し掛けれるのかな・・・





そう言えば先生がもうすぐ文化祭だといっていた。

この学校では、どんな文化祭をするのだろう・・・聞いてみょうかな・・・・





「あの代沙、もうすぐ文化祭だって聞いたんですが・・・この埴美はび中は、どんなことするのですか・・・?」


「えっとね、劇とかを体育館で上演したり、あとは、えーと各クラスのバザーや出店、おばけ屋敷・・・

私たちのクラスは、何か劇とかをするらしいよ

内容は、今日の学活で決めるらしいから・・・」


「楽しみですね」


「うん、とっても面白いよ・・・。」





そうしているうちに、女子の大群が入ってきて朝のホームルームが始まった・・・。




私は、悩んでいた・・・どうやってこの気持ちをからにぶつければいいのだろう・・・?

どうしたら、彼の瞳に映るのだろう・・・





俺は、今悩んでいる。彼女のことは、大好きだ・・・

しかし、この気持ちをどうやって彼女に伝えればよいかわからない・・・





私は、頼りになる友達に聞いてみることにした。

稀紗きさちゃんヤッホーあのさ・・・・ちょっといい・・・?」

「うんいいよ・・・どうしたの・・・?」

「えっとね・・・・私・・・好きな・・・人が・・・・できたんだけど・・・・」

「えっ・・・うそ・・それって誰なん・・?」

「うんとね・・・・同じ組の・・・開田くんなんだけど・・・」

「えっ・・・そう・・・」

「でね・・・どうやったら・・・彼・・・気付いてくれるのかな・・・と思って・・・」

「う〜ん・・えっと・・そうだ、うちの彼氏に聞いて見ちゃル・・・よっちゃんケータイ・・もっちょるやんね・・・」

「うん、もっちょる・・・もしかして彼のケータイ・・・?」

「そう・・・じゃけえ・・まっちょり・・・」

「うん、じゃさっちゃんに任せちょくけえ・・・・」





けっこう、相談するといいこともある物だった・・・。

もっと彼のこと知りたいけど彼と親しくならないとだめかな・・・・。






俺は、別の学校に行っている友達に相談してみることにした・・・。

ケータイの受信ボックスを開く・・・

『よお・・・元気か 少し、

 相談があるんだ・・・  

 良かったら返事をくれ・・・。』送信ッと・・・



数分くらいして着信音が鳴る・・・ケータイをあけて受信ボックスを開く

【よお、開田・・・久しぶりだな・・・

 で、なんなんだ、相談事って・・・】返信をする・・・


『あのさ・・好きな人ができたんだ・・・

 でもな・・俺、そういう経験したこと

 が無くってどうしたらいいかわから

 ないんで・・・・。師匠としてアドバイス

 してくれ・・・』返信っと・・・



数分後、

【いいぞ・・・まずその好きなひとは、

 だれなんだ・・・?】


返信『あのさ・・・小学の時一緒だった

  他窪なんだけど・・・彼女携帯

  持ってるのかな・・・?

  もし持っているんだったら

  俺、もうちょっと彼女と親しくなり

  たいなって・・・』


数分後返事

【そうだったのか・・・

 俺の彼女他窪と親しそうだから

 きいとくよ・・・】


返信『ありがとう・・・

   聞いたら返事よろしく・・・

   じゃあ、どっかでまた会おうな・・・』





早く返事が来るといいな・・










彼氏から聞いた話によると・・・

よっちゃんとあの開田くんは、実は両思いだったらしい・・・。

こうなったら絶対引っ付かしてやる・・・!!

そう思って、彼氏と一緒に作戦を立てた。

まず、うちが、よっちゃんを呼び出して・・・・・

彼氏が、開田くんを連れ出す・・・

理由は、「あなたに、告白したい人がいるんで来て」

とか言えばいいだろうか・・?

そう私たちは、恋のキューピットになるんだ・・・!!

作戦の開始は、2日後の放課後体育館裏・・・良し、けっこう!!







作戦まであと1日

「よっちゃんやっほうー!!あのさー明日の放課後あいてる・・?

もし良かったら告りたいっていう友達がいるんだけどいいかな・・?

少しだけだから・・私もよく知らないけど・・・もしかしたら噂の彼かもよ・・・」


「別にいいよ・・・彼じゃなかったら断るから・・」

「じゃあ、よっちゃん・・・明日の4時に体育館前で待ってるから・・・」



その日のメール・・・

『よっちゃん、誘導成功・・・そっちはどうこうちゃん』


返事・・・【今から・・・だけど、手強そうだな・・・】






『よお、開田・・・』


返信【よお、でっあの件どうなった・・?】


『まあ明日、教えるから・・・

で明日の放課後埴美中に遊びに行くから、

その時になんか、俺の友達が開田に

告りたいって言ってるから・・・・

だけど、詳しいことは後ほどで・・・・

もしかしたらあの噂の彼女かもよ・・・・』


返信

【別に・・・・いいけど・・・・・・・・

 彼女以外だったら・・・・・・断るから

 覚悟しとけよ・・・・】


『じゃあ・・・明日、放課後昇降口でまっとけよ・・・

 4時ぐらいに行くからな・・・』


【じゃあな・・・・】








【稀紗・・・開田OKだ・・・・

 明日の4時に作戦決行だからな・・・】

『OK、幸くんありがとう・・・!!じゃあ、明日はなそうね・・・。』



















翌日3時50分、予定より早く来てしまったうちと幸くん

幸くんは、ここで待っているらしいうちは、よっちゃんを体育館の前で、待つ・・・。

『作戦まであと2分だけど、大丈夫・・?こっちはOK 。』


【こっちもOKだ・・・。今、俺の横をターゲット1が通った。】(ターゲット1は、よっちゃんである。)


『じゃあ、もうすぐ来るよっちゃんを待つ・・・』返信





「やっほ〜・・・よっちゃんきてくれてありがとう。あともう少ししたら来るから、裏で待っておこうね」

彼氏は、4時10分に裏に来る・・・その時にそっとその場から立ち去るのだ・・・。




あと1分、開田を連れて体育館裏まで行く・・・

もう稀紗は、いないだろう

「開田・・・あとは、一人で行ってこう〜!!

 たぶん待ってるのは、あの愛しの彼女だと想うよ・・・」


そういって、俺は背中を押した・・。

開田は、すたすた歩いて体育館裏に行く・・・・

神様よ〜もし良かったら彼に告白する勇気を与えてくれよ〜





私は、体育館の裏で、誰が来るのか待っていた・・・。

彼だったらいいな・・・そうして告白してもらえれば・・・

神様・・・私のところに彼を・・・開田を・・連れてきてください




俺は、歩きながら裏にいる相手が・・・代沙だったらと考えている・・・

もし彼女だったら・・・告白しよう・・・




3,2,1,さあだーれだ・・・

私は、言葉が出なかった・・・・

ここに来たのが、あの寛だったからだ・・・あぁ、神様ありがとう・・・あとさっちゃんも・・・




裏で、待っていたのは代沙だった・・・・

もうここで、決心が付いていた・・・告白しよう・・・!!





“あのっ!!”

彼女とタイミングが一緒だった


「お先にどーぞ・・・」彼女が言う・・・



「あのさ俺、前から・・・その・・・代沙のことが気になっていて・・・・・

 それで、小学の時の友達に相談したんだ・・・。」

そこまで言って彼女を見た・・・彼女は、なぜか笑っていた・・・。



「私もさ〜、同じようなことなんだ・・・ほんとは、小学校の頃から・・・

 気になっていたんだ・・・だからさ〜本当に、ここに帰ってきてくれたときは、うれしかったんだ・・・。」





「そうだったんだ・・・で・・・俺が言いたかったことは・・・

 前から気になっていて・・・もし良かったら・・俺と付き合ってくれないかな・・・・。」


彼女がどんな返事をくれようとも覚悟は、できている・・・・。





「はい・・・ぜひ・・・」


そう聞いたとき・・俺の心に何かが刺さった・・・

それはキューピットが・・・放った矢だったのだろうか・・・。







私は、うれしかった。彼が、告白してくれたことが・・・・・





そうして私たちは、付き合いだした。

メールの着信音が鳴る

“今日、遊び行かない?駅で、10時に会わない・・・”


返信をする

【いいよ・・・じゃあ何所いくん??】

すぐに帰ってきた

『えっと・・・映画・・・行こうじゃあ、駅で・・・』


私は、このとき彼が何か悩んでいることをメールの調子でわかった

今日にでも、話してくれるのかな・・・?



10時になるまで、あと1時間・・・

今日、彼女に話さないといけないことがある・・・


俺は、ある病気にかかっている・・・・

1歩間違えたら死に至る病気、一週間に一回薬を打たないといけない・・・

病名は、血友病、血液を固める因子が、生まれたときから不足していて

血液が固まりにくく

大きな傷口になると、大量出血で死んでしまう病気だ・・・

このことに気付いたのは小学6年の転校していった学校で

殴られたり蹴られたりしてあざがみるみるうちに広がっていったときだった。

異常なまでの広がりように、俺自身も不安になって母に相談した・・・。

病院でこの病名を聞いたときそれまで死には無関係だった俺は、死を知った。



それを彼女に話さなければいけない・・・

話して、どうしようと言うことではない。

ただ単に話しておきたいだけだった。






駅にちょっと早めに着いてしまった。

まだ10分もある・・・。

なんだか、寂しい駅だった。誰もいない。






あと3分俺は、急いでいた。

あと少しあと少しで駅に着く・・・・

“ぷぅーー”車のクラクションが後ろできこえて振り向く

振り向いたと想った瞬間空に、俺の体が跳ね上がった



気がついたらそこは病院に運ばれる救急車の中で、けっこう血が出ている。

俺の血は、固まりにくい・・・ドバドバ出ている。

赤い血が流れ・・・あたりを見る

まだ意識のある俺に一生懸命に話しかける代沙がいた・・・

意識が遠のいていく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





わたしは、彼の血で汚れた手を握っている・・・

何で神様は、彼を事故に遭わしたの・・・なんで・・・・

救ってください・・・

医者から聞いた話によると、彼の血は固まりにくい病気にかかっているらしい・・・

病名は、血友病・・・初めて知った・・・・

あと、血液型がABマイナスの少ない血液型らしい・・・。

そういえば、私もAB型だった・・・。



病院に着いた。「すみません、私AB型なんですけど・・・検査してください・・・もしかしたらマイナスかも・・・」


検査結果は、見事マイナス型採血の結果異常なし、輸血に使えるらしい。

もし、この病院の近くにあるマイナスのAB型の

血液が無くなったら私の血液を使ってもらおう・・・そう思って採血をする。





手術の結果、寛は、助かった。

全治3ヶ月の大けがだったけど、輸血の血液のおかげで一命を取り留めた・・・




そうして、同じ高校に上がった・・

わたし、他窪 代沙と、  俺、開田 武寛は、

いま夜空に光る星を眺めている。




「いま、光っている星の数だけそらがあるんだ・・・

 そしてその空の中には、俺たちのような人たちがいるんだ・・・・」




そういって彼は、私の方を抱き寄せる・・・・

彼のぬくもりが私に伝わってくる・・・・



「俺の中には、代沙の血が・・・流れているんだよ・・・」




そういって、彼は私の唇に自分の唇を重ねた・・・。




このとき、俺は神に誓った“一生俺は、彼女を守るんだ・・・何があっても・・・”







私は、彼を死なせない・・・この私の中に流れる血に誓って・・・・












本当に、すみませんでした・・・

事情は、はなせませんがけっこう自分のことと重ねています・・・。

最後まで、こんな長い分を読んでくださってありがとうございました。

もし良かったら感想や、評価をしてください。

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