第六話・博打好きの美女神様
「じゃぁ、いざ天界へれっつごー!」
おいおい、なんか平仮名になってるぞ。
千代の提案(?)で柊達は天界というわけの分からない場所へ
連れて行かれる羽目になった。
「・・・腹減ってんのに・・・」
そう考えれば夕食を食べてないし
家にも帰ってない。
給食は完全に消化されて
胃の中はからっぽだ。
「あー、そうじゃ。一人一人の家に『泊まるから』みたいな
電話入れといたからな」
なんつー勝手な奴だ。
でも柊が反論できるような空気じゃなかった。
クエスチョン・なぜ?
アンサー・みんな「さぁいざ天界へれっつごー。何としてでも俺らは行くぜいやっほう!」
みたいな空気だったから。
柊の頭が痛くなった頃。
空間が、歪んだ。
「きゃーー!」
足元に穴があいて、五人は一斉に落ちていく。
「おい!千代!何てめーだけ浮いてんだよ!ずりーぞ!」
「これがわしの力じゃからな」
「助けて助けてヘルプヘルプ!嫌いだけどピーマン食べるよ!多分!」
「きゃあああああああー!」
「つーかよ・・・・」
「ふつー天界って上じゃねーのぉお!!??」
ごもっともである。音魁。
しかし一同は下へ真っ逆さまに落ちていった。
ストン。
それはあまりにあっけない音だった。
空間に音が飲み込まれるように響いた。
軽い不協和音かもしれない。
「わー綺麗!」
一面が水に囲まれたようなユラユラした神秘的な空間に
竹林と砂利道が素敵に飾られてある。
「此処が天界?」
心が落ち着くような蒼い空間。
異空間ってやつかな?
「此処は天界への道「天路」じゃ」
千代が先立って歩き(飛び)だしたので
一同は千代の後を追った。
一時間後
「おい!いつまでこうしてあるきゃぁいいんだー!
もう城は目の前じゃねーかぁ!」
柊が反論するのも無理は無い。
かれこれ小一時間。
四人(五人?)は歩いている。
城は目の前なのに。
「うるっさいやつじゃのー。仕方が無い。行くかの」
半ば呆れ顔の千代は、懐から石を取り出した。
マリンブルーの水晶玉。
そして、叫んだ。
「蒼く輝く漣よ!今風を我が身に宛がい風魔を呼び寄せろ!」
「漣」とは水晶の名前らしい。
風が皆の体に巻きつき、空に飛びあげた。
地面から足が離れる恐ろしさに、麻貴は少しすくんだ。
「飛べ!」
千代の言葉が引き金で、風は城に向かって飛んだ。
毎分100kmはあるんじゃないだろうか。
あ!っと言う間に城門が目の前だった。
気づけば千代も居る。
「千代。あなた一体・・・」
咲が問いかけようとしたとき、また体が浮いた。
「左の神所へ!」
風は千代の命令に答え
左へ曲がり、御殿の前で皆をおろした。
「ご苦労じゃった」
『これくらい大丈夫ですわよ。んふふ。バァーイ、子猫ちゃん』
風が喋った。そして消えた。
千代がかなり嫌そうな顔をした。
「し・・・喋った」
「すごーい」
御殿の中は、高価そうな絨毯が床を見せないように敷き詰められていた。
土足で歩いている柊たちが愚民に見える。
「稲荷神様ー」
千代がベットに呼びかける。
おいおい、神様ってベットに寝るのか?
「どんな人かなっ」
「そりゃ、千代が見せてくれたあの扇子にあった感じの・・」
「そんなのあったのか!?俺みてねーぞ!」
音魁の言葉に、柊はちょっと勝ち誇った気分になった。
「えーっと・・千代?お帰りー。案外早かったね〜」
「そうですか?あ!凛様、またお酒飲まれましたね?」
「あ〜ばれちゃった〜。えへへ」
四人が硬直した。
神様って酒飲むんだ・・・・・
「守護者見つけましたよ」
「ありがっと」
稲荷神もとい凛は細く白い足をベットから出して
床に着地した。
狐の面は被ってない。
冷たげで、きりっとした目。
紅く膨らんでいる唇。
美女だった。
「いらっしゃい。守護者。あたしが稲荷神こと凛よ。
趣味は博打。どーぞヨロシクね。」
神様へのイメージが、音を立てて崩れたのが分かった。
神様って、博打するんだ・・・・・