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水晶物語  作者: 寿々
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第四話・八神神社の十代目

人生何もかもおしまいというのはこの事だろう。


『そーじゃ、柊。授業はどうした?』

千代の無責任な言葉で、三人ははっとわれに帰った。

咲が来てから優に15分は過ぎている。

『きゃぁあああ!先生に怒られる!』

『おめーらの所為だからな!ドチビとロリコン!』

柊は千代と咲から蹴りを喰らった。

『咲ちゃんは言い訳できてもボクらはむりだね』

麻貴の予感は大当たりし、

探しに言った咲は「探すのに手間取った」と大嘘をつき

柊と麻貴は仲良く説教を頂戴する羽目になった。


「くっそー。あのアホ教師め。散々説教しやがって」

帰る頃にはもう真っ暗で

田の淵でカエルがげこげこ鳴いていた。

「だね。それにしても咲ちゃん。待っててくれてありがとねっ」

麻貴が癒されるような笑顔で咲に笑いかけると

咲は顔を赤くした。

「べっ、別に・・・私の所為でもあるし・・・。

それに、千代だっているし・・・」

咲が顔を赤くして、言葉に困っている頃

柊と千代はずんずんとあぜ道を歩いていた。

向かっているのは、八神神社の本殿。

「此処から、わしを見る視線が感じ取れた。

守護者はぜぇったい此処にいる!」

と千代が言い張るもんだから

柊は仕方なく行く羽目になったのだ。

此処は、あまり来たくなかったのだが・・・。


本殿は神社の裏側に大きく聳えている。

ここら一帯じゃ、この神社の本殿が一番大きいだろう。

「視線からして歳は14〜5歳。

大人びているようじゃがな」

柊は益々嫌な気分になった。

此処の本殿に、いい思い出は無い。

全くといっていいほど、無い。

だから入るのが嫌だったのだ。

「すいませぇーん。誰かいらっしゃいませんかー」

あいつだけは出てくるな。絶対に出てくるな。

出てきたら神社に飾ってる狐壊すぞ。

「はーい」

げ。

柊の願いは叶わなかった。

奥から、髪の長い少年が着物をきて現れた。

「ん?」

少年は目を細めて柊を睨んだ。

「お前、柊か?」

「・・・そーだよ」

少年はにやっと笑った。

だからコイツは嫌なんだ。

「相も変わらずのアホヅラだな」

柊はムカッときたが抑えた。

千代が平然と少年を見つめる。

「しっかし久しぶりだな。お前が此処に来るのは。

あの時境内に祭ってある観音像の頭を落としたとき以来か?」

柊は完全にぶちぎれた。

「うるせぇええええー!俺だって来たくてきてんじゃねぇえええ!!」



あぁ、ムカつく!

だから会いたくなかったんだ。


八神神社十代目後継、八神音魁ヤガミオンカイ



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