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水晶物語  作者: 寿々
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第四十六部・最後

この世は自分のためにある。

そう考えたって、悪くは無いと思うよ。

だって、力がモノを言うんだから。


「面白い・・・だとぉ?」

「うん。面白いじゃない」

にたりと、哂った。

「この、玩具オモチャ

その言葉に、柊は頭にかっと血が上り

構えもせずに走り出した。

「考え無しに突っ込んじゃだめデス!」

案の定、柊は冥堂の羽織がはためき飛ばされ、

それをリーメイがぱしっと受け止めた。

「落ち着くネ!」

「うるっせぇーー!千代の事を・・・玩具って言ったんだぞ!?」

「気持ちは分かりマスッ!デモ落ち着いて!」

ばたばたと暴れる柊は、その細いリーメイの腕からするりと抜け出した。

抜け出したが、何かに蹴躓ケツマズいて転んだ。

「わた!?」

ちゃりちゃりと金属音がする。

鎖・・・いや、それはチェーンだった。

龍が彫られてある、チェーンだった。

「てめ!麻貴なにしやがんだぁ!バカ!」

「バカは柊くんだー!」

いつもにこにこしてて、何を言っても怒らない麻貴が、

本気で怒っている様を見て、柊はおろか咲も音魁も驚いた。

「まき・・・」

「バカァー!そんなんで千代ちゃん助けられないよ!」


「柊くん・・・覚悟が弱いんだ!だからあんな挑発にキレちゃうんだ!」


柊の胸を、麻貴が力いっぱい叩く。

目からは、ぽろぽろと涙がこぼれる。

覚悟が弱い。

確かにそうかもしれない。

もうちょっとなのに、自分は何してんだ。

「そ・・・だな」

はっと顔を上げる麻貴。

まだ涙は流れ落ちている。

「悪かった。麻貴・・・。俺、今度は絶対ヘマしないから・・・」

麻貴の顔が、(ホコロんだ。

「絶対だよ・・・約束だよ・・・破ったら・・・もう一回叩くからね・・!」

「あぁ!約束だ!」


「与太話は終わったかい?まぁそれがきみの鎮魂歌レクイエムなんだけどね。

もう少しゆっくり話をさせてあげようか?」

ぼきぼきと指をならして歩いてくる柊。

「れくいえむ?なんだそりゃ。あぁ、鎮魂歌って書くやつね?あってる?

俺国語結構得意だから、自信あるんだよねー」

にかーっと笑う。

おちゃらけているのだが、まわりを取り巻く不陰気が

強く堅い。鋼のように。

「うん。合ってるよ、よかったね。これがキミの最終問題だからね」

ニコッと笑う。

が、その瞬間ぱっと消えた。

柊の後ろに回りこむ。

「さよなら」

風結界フウケッカイ!」

柊の周りに、風の結界ができる。

かきーんと弾ける音がして、冥堂の光の剣が壊れた。

冥堂の頬から血が流れる。それをぺろりと舐める。

「最後最後ってうるせーな。じゃ、それがテメーの最後の晩餐だよ。冥堂!」



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