第四十四部・危機!!
風圧で飛ばされた柊は、それで気を失った。
「柊!柊ぃ!」
起きない柊を、咲が揺さぶる。
ぴくりともしない。
「ふざけんじゃないわよ!」
ぱん!
咲の平手打ちが、柊に直撃した。
ぱんぱんぱん!!
「咲ちゃ・・・」
「黙ってな!麻貴ッ!」
後ろで咲の往復ビンタが続く中、
音魁とリーメイは、冥堂をふさいでいた。
「お前は俺が殺す」
「此処からはいかせまセン!」
自分の持っていた扇子を、据えた目で冥堂に向ける。
冥堂が薄く笑った。
挑発と分かっていたが、今の音魁は頭に血が上っていたため、
ばっと扇子を開いた。
そしてもう一度閉じ、冥堂に向かって走り出した。
リーメイが今度はバックアップに回る。
「うぉおおおおおぉおおぉお!!」
閉じた扇子をまた開き、縦横に振った。
音の刃が飛び出す。
「二の舞!音刃!!!」
ただ標的を捉え、まっすぐにそれは飛び立った。
金色に煌き、冥堂の腹にぐさりと刺さった。
冥堂の口から多量の血が吐き出される。
それを狙って、リーメイも冥堂の腹に日本刀を押し込めた。
しかし
「え・・・??」
悲鳴も上げなければ、苦しそうな表情もしない。
苦しそうな表情どころか、にたりと笑い始めた。
「ふふふ・・あははははは!こんなものか!キミ達の力は!」
体を弓なりに反らして笑い始める。
そのおかしな現状に、音魁もリーメイも手が出せない。
「み そ こ な っ た」
体に痛みが走った。
鈍い痛み。
ずきずきと頭と脇腹が痛む。
「地獄」
地がゆがんだ。
ゆがみ、大きな手が現れ、二人を捕らえた。
「うぐぅう・・」
「あぁあ・・・」
爪でがりがりと引っかき、苦しみもがく。
「さよなら。キミ達はいらない」
どがぁああああ!!!
地からはえた手が真っ二つに割れた。
「「!?」」
呼吸困難で二人は崩れ落ちた。
「はぁ・・・はぁ・・・!!」
二人が顔を上げると、そこには
手を軸に、苦しそうに呼吸をする柊だった。
「ひいら・・ぎ」
「柊サン・・・」
「俺の仲間を傷つけた罪は重いぜ!クソヤロー!」