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水晶物語  作者: 寿々
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第四十一話・手を伸ばして

大きな廊下に、歩く音だけが響いた。


「こっちデス」

こいこいと、リーメイが手招きする。

そこは大きな書院造の部屋だった。

「ひろーい・・・」

咲がおもわず声を漏らす。

その瞬間、ふっと口の上に手が置かれた。

「!?」

「しっ!静カニ」

リーメイが咲の口の上に手を置いたまま、辺りを見回す。

気を集中させると、視線を感じた。

「・・・五体・・」

ひゅん。

風が通り過ぎる音が、咲の耳にいち早く届いた。

金属音を立てて、日本刀が鞘から抜刀される。

そして・・・・

「ふぃい〜」

リーメイのおかしな声が聞こえたかと思うと

視線を感じさせていた妖たちは、ただの肉のカタマリになっていた。

「よし!だいじょぶデス!ケガないデスカ?」

にこりとわらって、振り向く。

日本刀はもう鞘の中にその身を潜め、リーメイの中華風の服には似合わないが

腰の横に差し込まれていた。

「は・・・はえぇ・・・」

神業といっていいかもしれない。

その力は凄かった。スピードなんか目で追えないくらい速い。

「さ、行きましょう!」

リーメイが、その細い指を、暗証番号を打ち込むキーボードに向けられた。



その頃、結界が解除できた五大神たちは・・・

自分の守護を引きつれ、皆々単独行動を行っていた。

柊たちは幸い会わなかったが、この地下にもたくさんの魑魅魍魎チミモウリョウがいる。

大方雑魚だが、それを狩っていた。

「庵様・・・。此処、少し変です・・。まるで我々を嫌悪しているみたいな空気が・・」

胸を押さえて、秦が訴える。

そんな秦の言葉に耳も貸さず、庵は自分の掌から技を発動させていた。

大量の水が、標的を飲み込み悲鳴を上げさせる。

「庵様・・・?」

「黙っていろ、秦。我々を嫌悪するのは当たり前だろう」

秦が言葉をなくして、黙り込む。

その肩に、何かを感じた。

それは庵の技の擬人化、オアだった。

水のように冷たい手はなぜか温かく感じる。

『我々は冥堂を嫌悪する。だから、冥堂も我々を嫌悪するのです』

「・・・・」


かたかたかた・・・・

「まだなの?」

麻貴の声。

「もーちょっと!ほら開きました!やっぱり七七一四五零六三八八三四であってた!」

凄い数の数字を、リーメイはぺらっと言ってのけた。

襖とは思えない金属音で、扉が開く。

リーメイが飛ぶように走り出した。

その後を四人が続く。

「此処を三十六回抜けたら、冥堂の実験室につくんデス。

そこに、きっとあなた達の仲間サンはいるはずデスッ!」




もう少し、手を伸ばしてみなきゃ。取り戻すためには。



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