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水晶物語  作者: 寿々
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第三話・ロリコン女の過去話

屋上は静寂だった。

驚きという、感情に包まれて。


「知らないから!俺絶対違うから!」

柊はめいいっぱい否定した。

なんだよ。稲荷神って。

名前からしてふざけてるし。

だいたいこんな事があっていいはずが無い。

「ボクも違うよー。きっと間違いだよ」

麻貴は笑いながら、困ったような顔をした。

「あー、ちなみにあれ、咲とかいう女もそうじゃ」

その言葉は咲の耳にはっきり届き

手足を震えさせるほどだった。

「嘘でしょ!」

なによそれ。わけが分からない。

扉から、咲は無意識に飛び出してしまっていた。

「え・・「いたの!?咲ちゃん」

麻貴の大声が、柊を遮る。

「悪いが嘘ではない」

「・・・。有り得ないわ。こんな、ダメな私が・・・」

頭がぐるぐる回って、状況が読み取れない。

「咲ちゃん?咲ちゃんがダメってどういう事?」

頭もいいし、責任感もある。

運動だってできるし、先生からも好かれてる。

そんな咲がダメなわけが無いのに。

「私・・・4月に転校してきたよね・・・」

雨が、降りそうだ。



毎日が、曇り空だった。

同級生は何でもできるのに、

私は何もできなくて。

目立たない私は、たくさん嫌がらせを受けた。

先生は私が居ないかのように扱った。

もう嫌だ。


今度の学校では失敗しないって

わざと明るく振舞って

嫌われない程度の暴力も振るった。

そしたらあっけなくクラスの中心に立てて

人間ってこんなもんなんだなぁって。


「ね。そこの、さっきの話は嘘じゃないんでしょ?」

「まーな」

咲はぱぁあっと笑った。

(なんかおかしくない?)

(それはきっと、咲ちゃんの過去話が入ったからでしょ)

「私!やるわ!」

「「ええええ!?!?」」

二人はあわせて悲鳴を上げた。

咲は笑顔で続ける。

「私を必要としてくれてるんだもん!やらなきゃ!」

「じゃ・・・じゃぁ頑張ってね」

逃げようとした麻貴の襟首を掴み、

麻貴はぎゃぴっと叫んだ。

「あんた達もやるの!こんなの人生の中で在りえないような奇跡よ!」

奇跡というか、人生ぶち壊しである。

「それに・・・それにこの子とっても可愛いもの!」

そう叫ぶと咲は千代を抱きしめた。

千代はヘルプメッセージを送っていたが、あえて見てみぬふり。

「おい。お前大丈夫?そんな奴が可愛いなんて。

しかも、こんなチビだぜ。あ!もしかしてお前ロ・・・」

言い終わる前に咲からアッパーカットを喰らった。

放物線を描き、柊は飛んだ。

「ロリコンじゃない!!」

「まだ誰もロリコンだなんて言ってねーだろ!」

「だって、この子ゴスロリ着せたら絶対似合うよ!」

「それがロリコンっつーんだボケ女ーー!!」



よく分からないまま、柊と麻貴は、咲のせいで千代の仲間になる事になった。







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