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水晶物語  作者: 寿々
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第三十六話・潜入

暗闇には篝火カガリビが照らされていた。

しかし妖は何処にもおらず、まさに「ウェルカム」状態だった。

階段は延々と続き、時に足を滑らせながら

一同は下へ下へと降りていった。


そして、やっと階段がなくなった頃。

「あ!」

咲が叫び、一歩退いた。

其処にはオビタダしい数の妖が待ち受けていた。

大きなものや小さいもの。姿形は様々だ。

そして奴らが守っているのは、これまた鉄扉だった。

きっとその向こうに、囚われの姫が嘆きながら助けを求めているはずだ。

「どけっ!」

水晶を振りかざして、柊が叫ぶ。

「五十嵐!」

柊の手から、突風が巻き起こる。

そして周りにいた奴らを跳ね除け、鉄扉に手を滑り込ませた。

そのまま鉄扉を開こうとするが、また妖が襲ってくる。

「どきなさいよぉーっ!」

後ろから大きな声が響く。

髪を振り乱した咲が、鬼のような形相でこちらを見ている。

「え?」

「どけって言ってんのよっ!バカ柊ッ!」

それを言うやいなや、咲の髪が鋭い矛となって飛んできた。

爆発音に近い音が広い地下の隅々まで響き、反響してくる。

「行くわよ!柊っ」

「お・・・おう」

その後に麻貴と音魁もつづいた。

が、凛たち神は入れなかった。

「結界かー。小ざかしいマネしてくれるわ。よし千代!あんたはあいつらについて!」

「ええ!?私・・・入れない・・「いいから!早く!結界解除したらあたしらもいく!」

半ば無理やりに、千代は結界の向こうへ押し込まれた。

むぎゃうっと変な声が聞こえる。

「千代!行くぞっ」

千代は、柊の後を急ぐように追った。



まるで実験室だった。

コンクリートで固められたような部屋が「1-A」「2-F」などと並べられている。

「一部屋ずつまわる?」

麻貴の提案でみんなが同意し、一部屋ずつ順番に回ることにした。


どの部屋もおかしなところばかりで

人一人もいないのに、実験器具が所狭しと並べられていた。

「へーんなの」

咲が器具をいじりながら、あたりを見回した。

そして防犯のカメラがあることに気づく。

「壊しとこっか」

がしゃんと音を立てて、わずか0.07秒でカメラが崩れる。

「私達が来た事はもう向こうは知ってるっぽいね。

でも攻撃してこないわ?なんでだろう?」

柊達は慎重に回ることを考え、すぐにその部屋を出た。




「・・・・・フフフ。やっと来たんだ」






奥では、悪魔が嬉しそうに笑う声だけが、聞こえた。

そして囚われの姫は、まだ牢の中に、閉じこめられていたのだ。





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