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水晶物語  作者: 寿々
32/51

第三十一話・煉獄凶・柊組其四

勝てる。

自分を信じて。


大きく息を吸い込んだ。

肺に空気が入って、満たされていく。

「よっしゃ!いくぞっ」

「ハッ!出来るもんならやってみな!」

柊は左足を軸に前へ飛び出した。

エマを目掛けて握った拳を押し出すが

早い動きで背後に回られてしまう。

「くそっ!」

加速したままだが

足元にあった小さな床に着地し、身をカガめて

飛んできたパンチを避ける。

そのパンチは、柊が着地していた床に急降下し

床は、圧力で叩き割られた。

柊は先を見切って、0,の速さで次の床へとジャンプした。

「ちぃ・・すばしっこいねぇ」

(あたいを疲れさせるつもりか!?そうはいくか!)

「てめーなんかに殴られたかねーんだよっ!」

(にしても時間だけが過ぎていく・・・どうにかしねーと!)

バキィ!

鈍い音がして、二人の拳がぶつかり合った。

どちらも、拳から赤い線が流れる。

血だ。

「柊!なぜ技を使わんのじゃ!」

「うるせー!使うタイミングがねーんだっての!」

空中で何度か宙返りをし、両者同じようなタイミングで足をつけた。

(・・!今なら出来るかもしんねぇ!)

柊は両の手を大きく広げた。

そのまま右手だけを宙に掲げ、左手を下ろす。

「?・・・何をする気だ?」

掲げた右手で、何かを掴むように十字を切った。

そしてその手を下ろすと、柊の足元に風が集まった。

ゴウゴウとうねりをあげて。

一風イチフウ五十嵐イガラシ

柊が言葉を発したとたん、その風は

エマめがけて竜巻のように突進した。

「くだらないね!玉砕ギョクサイしてやる!」

強気で風を睨んだが

その風は力を弱めることなく進んでくる。

「えっ・・・」

やばい。

このままじゃ、確実に死ぬ。

だが、もう遅かった。

竜巻は、エマを取り囲み、襲ってきた。

「いやぁあああああああーー!!」




ふっ。

もう一度、柊が十字を切ると竜巻は消えた。

「や・・・やったね!柊くんっっ!」

嬉しさのあまりぴょーんと飛び跳ねた麻貴の顔に

ぽかっと何かが当たった。

それは、緋色ヒイロに輝く水晶玉。

「ありり?」

「あたいらが負けたからね。もっていきな!」

声がするほうをみると、さっき倒したはずのエマとトーチが

無傷で立っていた。

柊と音魁が構える。

「そんなにあせんなって!俺ら負けたから、手出しはしねーよ」

「だいたい凛さんはあめーよ。此処で水晶渡せだなんて!」

腰に手を当てたエマは、心底呆れ顔だった。

「でも、久々に楽しめたよ!あんがとな」

呆れ顔が笑顔に変わり、ぱちんとウインクをした。

それはそれは、美人で素敵に見えた。

「咲もあれくらいだったらな・・」

「どーゆー意味よ!?」

「いいじゃん。水晶手に入ったよ?」

「バカは放っておけ。麻貴」



「じゃ、あたいらは消えるね。この宮殿でたら、すぐに凛さんのところにいけるよ!」



そういって、二人はテレポートするように消えた。

そしてその言葉通り行くと、もとの世界に足を踏み入れる事ができた。

「おう!お疲れさん!どーだった?楽勝っしょ?」

「まーな」

柊の言葉に、三人は顔を見合わせ、くすっと笑った。

「ほかのみんなは?」

「もうとっくに帰ってきてますー。あんたら待ちきれなくて帰っちゃったよ」

「薄情なやつらだ」



なにはともあれ、柊たちは無事に帰ってこられたのだ。




次話は、少し時間をサカノボる。



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