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水晶物語  作者: 寿々
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第三十話・煉獄凶・柊組編其参

エマの頬には、赤い絵の具で線が入っていた。

口元が吊り上がる。

その瞬間

「ぼさっとしてんじゃないよぉ!」

柊のしがみ付いていた床が、エマの拳で叩き割られた。

その衝撃で、柊は壁に叩きつけられ

真っ逆さまに落ちていきそうなのを、音魁が受け止めた。

「大丈夫か」

「あ・・あぁ、大丈夫」

音魁は此処に来てから、異様に身体能力が上がっている。

麻貴も咲もそうだが。

でも、一番成長しているのは柊だった。

(こいつ・・壁に叩きつけられても骨ひとつ折れてない・・)

それだけ、柊は成長したみたいだ。

「おい。ルール言ってねーのに動いてんじゃねーよ。クソが」

「わりぃ」

長い髪を手ですいて、ばさばさと顔をふる。

「じゃぁ。ルール説明ね。あ、ちなみにデスマッチじゃないから安心して。

制限時間は三十分。その間にあたいらに悲鳴を上げさせたら勝ち。

かわりに、あんたら全員が悲鳴を上げたら負け。簡単だろ」

エマは、ピエロが履くような靴をこんこんと鳴らして

不敵な笑みを浮かべた。

「三十分ってのはみじかくねーか?」

「うるっせーな。黙ってろよ。ハゲ」

「ッつーか俺ハゲてねぇし」

二人はお互いを見ずに言い争いをして

予告もなしに、飛び出した。

エマが最初に目をつけたのは、咲だった。

「へーぇ。あんた綺麗な髪してんじゃーん。あたいウェーブかかってんの大好きー」

「!?」

何時の間にか、咲の隣に降り立って咲の髪を撫でている。

ものすごいスピードだ。

「でも、今そんな事言ってらんないのよねぇー」

くくくっと喉の奥からおかしな声が聞こえたかと思うと

咲は腹部に重い痛みを感じた。

「きゃぁあ・・・!」

それはエマのパンチだった。

手は小さいのに、威力は大きい。

「はいっ。あんた失格ぅ。おっしまーい。バイバァイ」

咲はそのまま、ぐらりと傾いて奈落の底へ落ちていきそうになった。

「咲ちゃ・・「おっとぉ。てめーは自分の心配してたほうがいいんじゃねーの?チビ」

思わず咲に声をかけた麻貴のくびには

トーチの大きな爪がかかっていた。

「麻貴っ!」

身の危険を感じて、千代が其処から離れる。

「ち・・千代ちゃんの裏切り者〜〜〜〜!」

「今はそんな漫才をしている場合ではないっ!」

麻貴は小さな体でトーチの手からすり抜け

背後に回った。

「リウッ!」

トーチに向かって手を伸ばし、高らかにその名前を呼ぶ。

標的ターゲットは?』

「あいつだよっ!」

そのまま、トーチめがけて手を振る。

ぐぁああっと大口を開けたリウが、突進を始める。

そしてトーチの右脇腹に噛み付いた。

「あぐぅ・・・っ!」

金髪が揺れ、そのまま倒れこんだ・・・かに思えた。

「調子乗ってんじゃねぇぞクソガキャアアア!」

脇腹にリウが刺さったまま、麻貴を殺そうと向かってくる。

リウで繋がっているので不利だ。

「リウ!戻って!」

「遅いわ!ボケガキャア!」

目の前に迫ってくる男が怖くて、麻貴は反射的に目を閉じた。

何か聴こえる。

ボクの悲鳴ではない。

じゃぁ、これは・・・・。

「がぁああああ・・・・!」

「一ノ舞・音音ネオン

麻貴の目に入ってきたのは、叫ぶトーチと椿の花と一緒に舞い踊る音魁だった。

黒髪が揺れる。とても幻想的だった。

「・・・死ね・・・」

音魁の手中にあった扇子が、トーチの首の後ろを突く。

どさっと音を立てて、トーチは倒れた。

「ふん・・。大丈夫か、麻貴」

「うんっ!だいじょーぶ!ありがとね。でも凄いね

自分で作ったんでしょ?その技」

「頭の中で見えた舞と、聞こえた音を頼りに作ったんだ。

自分で作ったものじゃない」

麻貴を抱きかかえて、音魁は咲を助けに行った。

危うく落ちそうだったのを、壁の角に引っかかっていた。

「大丈夫か?咲」

「んぅ・・?あ、音魁。大丈夫よ」

「てゆーかさ、式狐って守ってくれるんじゃないの?」

「あのクソアマ。嘘ついたんだな」

角に引っかかった咲を助け、ひとつの床に降り立った。

「あとは、柊だけだな」

「・・・・そうね」

「頑張って!柊くんッ」



三人がエールを送っている中で

柊は千代の援助を貰い、戦っていた。

「あたいはトーチみたく甘くないんでねぇ。感情的にはならないのさ!」

ロングスカートを履いているとは思えないしなやかな動き。

上半身は、胸だけを布で覆っている。

格好的には難しいと思われる手と足で繰り出す物理的な一直線攻撃。

それが出来るという事は、相当の力を持っているはず。

だか、隙ができれば・・・・勝てる!

「柊。技を使え」

「え?」

「お主、自分の技を作っているじゃろう?」

素敵な笑みを浮かべた千代は

柊の肩から離れた。

「いけ。お主ならできよう」



「わかってるっての!行くぜ!バカ狐!」


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