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水晶物語  作者: 寿々
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第二十八話・煉獄凶・柊組編其壱

(音魁)「気に食わない!」

(麻貴)「何が?」

(音魁)「この二十九話めのタイトル!」

(咲)「なんで?」

(音魁)「柊組って書いてあるだろ?なんで柊なんだってこと!」

(柊)「そりゃー・・・主人公だから?」

(咲・音魁)「えええ!?主人公って柊!?」

(麻貴)「柊くんじゃないの?」

(柊)「麻貴はいい奴だな・・・。オイ、殺すぞテメェら・・・」


(千代)「いい加減にしろーッ!馬鹿共!」


と、いう会話を展開していたのだが、

頭にきた千代の蹴りがひとり一発ずつ入ったので

柊たちは、宮殿にむかって歩く事にした。

「でもね。なんかあんまり怖くないところだね。

蔭ちゃんとか秦くんはとっても怖がってたのにね」

麻貴が下唇に人差し指をあてる。

なにか考え事をしている時は、いつもこれなのだ。麻貴の癖。

「あぁ、それはな。

凛様が修行に入ったときに、あいつらも一緒に行きたいって駄々こねて

それで連れてったのはいいんだが

まだちっちゃい頃だったから死にかけになってな。

だからあんなに恐れていたのじゃ。

まぁ、その時もわしは賢かったからな。付いて行くなんて事はしなかったのじゃ」

自業自得って事だ。

麻貴はちょっと安心した。



時には砂嵐に見舞われ

時には泥濘ヌカルミに足を取られながら

時には敵と戦いながら

柊たちは宮殿に到着した。

「宮殿って・・・これ・・無駄に大きいね」

宮殿を見ての一番最初の咲の感想がこれだった。

「ハズレじゃ」

「ハズレ?」

「大きい分、部屋が多い。水晶が見つけにくいということじゃ」

「それ最悪じゃん?」

咲が溜息をつく。

不安になってきた。

私なにやってんだろうなぁ・・・・。

帰りたいかも。

だって怖いよ?死ぬかもしれないんだよ?

「なに辛気くせぇ顔してんだよ。もとはといえばお前の所為なんだからな」

ウツムいていた顔をあげると

いかにもめんどくさそうな顔をしている柊がいた。

肩にかかりそうでかかってない、男にしては長い髪が

砂嵐とともに舞い、それを手でばりばりとかいている。

「そーだよっ!やり始めようって言ったの、咲ちゃんだよ?」

下の方から声が聞こえる。

自分より、遥かに背の小さい麻貴。

長いスソからちょこんと出ている可愛い指先が

しっかりと、咲の冷たく冷えた手を掴んでいた。

「俺はよく分からんが、万が一の時は護ってやるさ」

ぽん、と温かい手が頭の上におかれた。

音魁の茶色がかった目は、優しく咲を見る。

「そうじゃ。なにもお前一人じゃない。

此処に、頼りないし、ダメダメな一応主人公の柊と」

そこまで言って、柊を見る。

「背は小学生並みに小さいが、まぁ使えそうな麻貴と」

嫌みったらしく麻貴をみて

「髪ばかりちゃらちゃら伸ばしている音魁と」

散々暴言をはいて音魁を見て、

「この天才少女、千代様がおるじゃろ」

最後、偉そうに自分を指した。


「・・・・うん!」

にっこり笑顔になって、咲が笑う。

ここまではいいのだが・・・・

「てんめぇえええ!よくも好き勝手言ってくれたなぁ!?」

「酷い!背が伸びないのは仕方ないんだもん・・・。千代ちゃんのばかぁ!」

「髪を伸ばしてるのは俺の勝手だろ!?」

三人が千代に突っかかる。

「やめろ。汚い。唾がとぶ。ついでにわしの半径1m以内に入るな」

「このヤロ・・!一発ヤキ入れてやろうか・・・!?」

柊がコブシを振り上げた時。

柊の後ろ頭に拳骨ゲンコツが落ちてきた。

「そうだ・・!そうだよね・・・。なに落ち込んでたんだろう?

よっし!みんなっ!いくぞぉーーッ!」

完璧に立ち直った咲がきゃいきゃいと飛び跳ねた。



「これって、ポジティブ・シンキングっていうんじゃないのかな?」

「いや・・・・絶対違うと思うぞ?つーか柊。大丈夫か?哀れだな。主人公なのに」

「・・・いやみか?それはいやみか?」


「よっしゃぁああ!死んじゃわない程度に頑張るぞぅー!」

あなたの横暴な行動によって死にそうな人間が一名いるんですけどね・・・。





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