第二十七話・飴玉
「食うてみい」
その飴玉は恐ろしいほど不気味に光っていた。
怪しい。もしかしたらこれを食べた瞬間死ぬかも・・・
「わーい!いただきまーすっ!」
何の疑問も持っていない麻貴が
その飴玉を口に放り込んだ。
普通の飴玉みたく舐めていると
「・・・んん!?」
突然麻貴が倒れた。
「「「麻貴ッ!」」」
柊が体を揺すると、口から唾液とともに飴玉が転がり出てきた。
「麻貴!オイ大丈夫か!?」
「げほっ・・・喉の奥に入っちゃった・・・。
ん?どーしたの。柊くん。あ、ゴメン千代ちゃん。もう一個飴頂戴」
柊たちの心配むなしく、麻貴はもう一つの飴玉を舐め始めた。
その顔は、甘いものを食べたときの幸せそうな顔だったが
「・・・・ふざけんじゃねー!バカ麻貴ーーーっ!」
柊には、とても腹立たしく見えた。
同刻、「血雨」。
守護組四人がたどり着いたのは、寂れた宮殿。
一歩一歩歩くたびぎしぎしと嫌な音がする。
先方は秦と蔭。後方が蘭と煩。
しばらく進むと、四つに分かれた階段があった。
その階段を伝うと、別々の道が切り開かれている。
「どうする?」
「一人ずつ違う道を進む。行き止まりになったら戻ってくる。
一応、聞機を持って行く。これでどうだ?」
聞機とは、現代で言うトランシーバーのような物。
ヘッドホンに近い形をしていて、それを首に引っさげる。
これで、離れていても会話が出来る。
「じゃ、私はこの道を行くわ」
蔭が自分の目の前にある階段を差した。
「蔭がそこなら、俺は此処に行く」
すぐ右隣の階段を蘭は見据えた。
「う〜む・・。じゃ、僕此処行くねっ」
一番左端の階段。蔭が選んだ階段の左隣。
「仕方ない。俺は此処に行く」
秦が、一番右端の階段の前に立った。
「じゃあ行くわよ。みんな」
「「「「健闘を祈る!」」」」
それぞれは、走り出した。
同刻。「死魂」。
此処の宮殿は無駄に部屋がありすぎる。
だから、何処に水晶があるのか、検討が付かない。
しかも聞機を使わずの単独行動。
チームワークはやっぱり悪い。
「この部屋も誰もいねぇ・・。つまんねぇじゃねぇか」
そして、斬は三階を中心的に徘徊していた。
しかし三階ははずれだった様で
敵が一匹も現れない。
と、その時
「危機奇危機奇危機鬼!」
奇声を発したサルのような妖が、斬めがけて走ってきた。
鋭いつめに、すばしっこい足並み。
「ハン!」
斬は、それを軽くあざ笑った。
そして、その妖を、自分の大きな掌で
ぐしゃりと握りつぶした。
それは呆気なく死んでしまい、切り離された胴体がびくびくと動くだけだった。
「なんだ・・・雑魚かよ」
もっと俺を楽しませてくれる奴等はいねえのかよ?
「はははははははは!!!!!!」