第九話・何かが足りない
五大神
正式名を、五大八百万之氏神
はっきり言って、めっちゃくっちゃな名前。
どやどやと音がして、たくさんの人間(?)が
部屋に入ってくる。
「凛!おまえの守護者見つかったのか!
よかったなぁ!」
千代が見せてくれた絵では、確か炎神だったような
人が、凛に笑いかける。
「おかげさまでぇ。この子達、技覚えるのも早くて助かるわぁっ」
完全にババア化している。
柊が呆れたような目で見ると、凛の横にいた千代が
ぎろっと睨んできた。
この矛盾女!
「そーだ!みんなこの子達に自己紹介してあげてっ」
ぱんっと手を叩き、凛が飛び跳ねる。
よく見れば、神様達の隣に、一人ひとり護衛っぽいのがいる。
「千代、あの神様達の隣に居るのはなんだ?」
柊が聞くより早く、音魁が千代に呼びかけた。
みんなそれぞれで、男も居れば女もいる。
幼女っぽい体型の人は一人も居ない。
「あ、あれは・・・まぁわしと凛様みたいな上下関係の事じゃ」
お前みたいな上下関係成立しねーよ。
「おい小僧ども」
「「どうわぁあああ!?」」
突然の声に柊と音魁が同時に叫ぶ。
咲と麻貴は、まだ電話に夢中だ。
ガキどもめ。
柊たちの目の前には、黒髪長髪、上半身が裸で
下半身にジーンズに近い素材のズボンを履いている
水を体に纏った男がいた。
「俺は水神の庵。こっちが秦」
庵は、隣に居たサラサラヘアーの少年を指差す。
慌ててぺこりと、秦は頭を垂れた。
「あ・・どうも・・・えっと、俺が柊で
こっちのすかしたロン毛が音魁」
ぼかっと、音魁が柊の頭を殴る。
(ってーなぁ!なにすんだよ!)
(誰がすかしたキモロン毛だ!)
(そこまで言ってねーだろ!)
「お前らには、何かが足りない・・・・」
「え?」
一瞬、言葉が聞き取れなかった。
なんて言ったの?
しかし、庵はくるりと向きを変え
部屋から出て行こうとした。
「えー。庵帰っちゃうのぉ?もうちょっといてよぅ」
「うるさい。こんな酒臭い部屋に小一時間もいられるか」
庵はそう吐き捨てると、秦を従えて
部屋から出て行ってしまった。
「ふーんだ!お前なんか猥褻物陳列罪で訴えられてしまえっ!べらぼーめ!」
凛様は意外と暴言はきである。
てゆうか、庵の最後の言葉は何だったんだろう・・・?