コロナ危機
コロナ発生のちょっと前のことだ 。
うちの大黒柱が、見事に免許取り消しになった。
あの頃の記憶は、やけにはっきりしている。 しんどいことが多すぎたのだ。
仕事中のコンビニの駐車場で、おばあちゃんを引っ掛けた。
大事故ではないが、 おばあちゃんは転んで骨折。
パパは過去の免停が響き、 運転免許取り消しに。
ーーそして 、怒涛の1年が始まる。
神様は、この年、どうやらうちをターゲットにしたらしい。
へこむ パパ 。
車の運転ができない
→ 仕事に行けない
→ もうどうでもいい
そんな短絡思考 。
「免許なんて、60過ぎて、目も悪いのに、もう取れんわ!」
すっかり投げやりだ。
私は、冷静に言い返す。
こんな田舎やのに、免許なしではどないすんねん。
まだまだ働かな、生活できんやろ。
やってもみんと、 諦めんなよ。
何 アホなこと 言うてんねん。
ケツを叩かれ 、ブスッとしながらも 、それでもパパは動き出した。
「電車で通勤するわ。 駅までは送ってくれ。」
車通勤 なら避けられたかもしれない 。
でも 電車通勤だ。 それも大阪まで。
ちゃんとマスクをしていても、ーーやっぱり もらってきた。
コロナ。
世の中も 保健所も、まだみんな手探りだった
パパに熱が出た。
発熱外来に行くと、解熱剤をもらって、熱は下がった。
数日後 、今度は下痢。 別の発熱外来で、お腹の薬をもらう。
でもおかしい。
もしかして? と思っていると。
今度は、私も熱が出た。
発熱外来は外だった。
通行人が行き交う、パーテーションで仕切られたその中で、検査を受けた。
ーーやっぱり。
コロナ と認定された。
その後 、保健所の電話聞き取り調査で 、結局パパも コロナ 認定。
だが、その時には、すでにパパの自宅待機期間は、終わっていた。
熱が収まっても、 私はずっと、体のだるさが続いている。
でも パパの送り迎え もある。 ステロイド注射で凌いだ。
そのうち、 落ち着いていたはずのパパが言い出す。
「だるい、しんどい」
じゃあ 、ステロイド 打ってもらえば?効くよ。
私も きつかった。でもパパの声がだんだん大きくなっていく。
「痛い。しんどい。」そればかりのパパに、私は、これは何かおかしいと思った。
家でも、できることは全部やった。
シップを貼り、 サポーターを買い、。電気治療器もネットで買った。
温泉にも連れて行った。
でも私も、 車の運転が怖いくらい、 ふらふらしていた。
ステロイドで しのぎながら、仕事に行くパパ。
注射の間隔がどんどん短くなり、やがて飲み薬との併用に。
でも痛みのコントロールがうまくいかずに苦しむ。
「もうこれ以上は打てません。」ーー
そしてーーやっと判明した。
リウマチ。
転院して、リウマチ治療が始まる。
少しずつ、 ステロイドを抜いていく 。
抗リウマチ薬と痛み止めで、少しずつ改善の兆しはあるが、なかなか 痛みは消えない。
結局、新薬にたどり着く。
保険診療でも、月3万円かかる注射。自分でお腹に、プチンとやるやつだ。
これが、パパの命綱になった。
良く効いた。
どんどんパパの顔が明るくなって、ほっとした 。
でもママは財布 見ながら ため息をついた。
ネットでリウマチを調べる。
この注射、 エンドレス かもしれない。
ちょっと楽になってきたパパは 、自動車学校の入学を決めた。
まだ痛いけど、何とかハンドル握れそう。
そして 60過ぎのおっさんは、サポーターをはめたまま、 通い始めた。
パパは、やっと車に乗れるから、少し楽しそうにしている。多分、 自分のことしか見えていないから 、送り迎え だって当たり前って感じ。
でも私は、パパの送り迎えに、学校が加わることになる。
1日に何度も、 駅や家や学校を往復することになり、その合間に家事をする。
あかん、限界だ。
私は、仕事を辞めた。
私の、60歳過ぎて始めた仕事は、学校給食の調理補助。体力仕事で、衛生もとても厳しく、複雑な仕事 だ。
それでも必死で覚えた 。
私は器用な方だから、たいがい 何でも、するっとこなせてきたのだが、ここは違った 。
初めてメモを取った。
ノートに増えていくメモ を、仕事が始まる前に確認して動く。 戻ったら忘れないうちにメモをする。
調理場には、 メモは持ち込めないから、 とにかく頭に叩き込むけど、 60過ぎの記憶力は、 本当に曖昧で、早く書かなきゃ忘れちゃう。
家に帰ったらすぐにメモを整理してノートにまとめる。
腱鞘炎は、自分で テーピングをして耐えた。
周りはみんな 若くて、 そんなに親と変わらない 私に、時には厳しかったけれど、いつも 優しく支えてくれた 。
必死で食らいついていた。
1年が過ぎ 、ノートは立派にマニュアルになり、何とか動けるようになったころ。
コロナ。
パパを支えることが、私の一番大事なこと。
早く いつもの、 無愛想だけどちょっと可愛い パパに戻ってほしい。だからーー
「仕事、辞めるわ。」
リビングのソファーで、悔しくて泣いた。
パパは、隣で黙っていたけど、すまなそうに、私の頭をポンとした。
そしてーー
パパはついに免許取得。
一旦 処分していた通勤車も、免許の前には届いていた。
パパはめでたく 、若葉マークをつけて、仕事に向かう。
嬉しそうや。ほんまによかった。
結局、私が一番しんどかったのは、
コロナでもリウマチでもなく、
パパのお守りであった。
神さまは、見捨ててはいなかったけど
今回はちょっと、ーー 扱いが雑すぎるやろ!
おまけ
ー里山のお昼ご飯 ー
道の駅に行ったら 、
ふきのとう を見つけた 。
やったー♪
ゲットだ ー♪
早速、お昼ご飯にした。
お蕎麦
ふきのとうの天ぷら
おまけで、ちくわの天ぷら
サクサクの薄衣。
いいなぁこのほろ苦さ。
たまんないなぁ。
幸せ〜♪ うん♪
パパもちゃんと食べてる。
ズルズルッ。
サクサクッ。
ありゃ?
ちくわの天ぷら ばっかり 先に減ってる ?
まあな、
そんなもんやわ。
ええもん。
私がふきのとういっぱい食べるもん♪




