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ヤンデレ幼馴染に監禁されたけど、快適すぎた。  作者: ChaCha


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13/23

誘ってくれなかったピクニック。

いつものようにリナの邸へ赴く準備をしていると、執事が一通の簡素な手紙を届けてきた。


『本日は両親と、湖畔へ。』


綴られていたのは、それだけの言葉。


――俺は誘われていない。


彼女を生涯守ると、あの日、神にではなく自分自身に誓ったはずだった。

馬車の扉を蹴破り、絶望から彼女を奪い返したあの日。

腕の中で震えていた彼女の熱を、俺は今でも鮮明に覚えている。


それなのに、今日の彼女の視界の中に、俺はいない。


「……リナ様の体調は極めて安定しているとの報告です」


別枠で放っておいた隠密からの報告は、淡々としている。

湖畔で彼女が笑っていたこと。

まるで楽園の主のように、小動物たちが彼女に跪いたこと。


そして、現れた鹿を父親が夕飯の食材として仕留めたこと。


「……は? 鹿?」


しっかり夕飯のメインディッシュにされたそうだ。鴨までも。


俺はゆっくりと椅子に深くもたれかかった。


動物が彼女に惹き寄せられた。

それは魔力の漏出か、あるいは異質な魂が放つ特有の共鳴現象か。

いずれにせよ、彼女という存在が周囲の生態系を狂わせ、

無自覚に何かを引き寄せている事実に変わりはない。


「……誰か、近づいた者はいないのか」


「ご両親と数名の侍女、そして護衛の騎士たちのみにございます」


本当にそうか?


湖畔は開けた場所だ。

だが同時に、視線を遮る木立も多い。

不敬な輩が“偶然”を装って近づける死角は、いくらでも存在する。


胸の奥に、泥のような不快感が沈殿していく。


俺は呼ばれなかった。


あれほど声高に守ると宣言したのに、彼女は俺のいない場所で平然と笑っていた。


それは、喜ばしいことだ。


平時であれば、婚約者の健やかな笑顔を愛でるべきだろう。


だが。


俺のあずかり知らぬ場所で、

俺の手を借りずに彼女が安らぎを得ているという事実が、どうしてこうも癪に障るのか。


「……次回からは、例外なく俺が同行する」


漏れ出た声は、自分でも驚くほど静かに冷えていた。

護衛として、あるいは婚約者として。


理由はいくらでも捏造できる。


彼女の魂は、まだこの世界の理に馴染んでいない。

今日の“動物の集結”が何らかの異常な兆候であるならば、一刻の猶予も許されない。


――だから。


俺が観測する。

俺が記録する。

俺が、彼女のすべてを管理する。


すべては彼女の安全のため。

彼女という存在を、この世界に繋ぎ止めておくための、最善かつ唯一の手段だ。

それ以外に、他意などあるはずがない。


窓の外、遠く湖の方角を見やる。風が吹いた。


もしも。


もしもあの場に、俺の知らない視線が一つでも混じっていたとしたら。


俺の目の届かない場所で、誰かが彼女に触れようとしていたのだとしたら。


俺は――。



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