第24話 【 双星《ツインスター》 】
カーマの無数の腕が、ゆっくりと広がった。
その指先が空間に触れた瞬間――
世界が、裏返る。
音が消え、
色が剥がれ、
重力が意味を失う。
「「「――"सुंदरता," "सौम्यता," और "शान" के लिए मूल्य और आदर्शों के मानक - ये ऐसी |चीजें हैं जो इंसान के रूप में जन्म लेने के लिए ज़रूरी हैं।」」」
幾重にも重なる声が告げた。
次の瞬間
景色が変わった。
そこはビルの内部ではない。
無限に続く白い大地。
空には巨大な円環。
その内側に、無数の記憶が映っている。
恋人たちの微笑み。
母が子を抱く姿。
友が肩を叩く瞬間。
誰かが誰かを想う光景。
それらが、全て鎖になって地面に突き刺さっていた。
「「「ここはアタシの世界」」」
カーマが微笑む。
巨大な存在のまま。
「「「ここではね」」」
「「「愛はすべて、アタシのもの」」」
無数の鎖が動いた。
「……!」
詩織の胸に絡みつき、締め付ける。
「……ッ!」
息が、できない。
苦しい。
「「「怖いでしょう?」」」
「「「だってあなた」」」
「「「また、壊すのが怖いものね」」」
過去の光景が流れ込む。
白い部屋。
倒れたあの子。
血。
悲鳴。
拒絶――
「……やめて」
詩織が震える。
だが、鎖は緩むことなく、
さらに深く刺さる。
そのとき。
炎の刃が、鎖を断ち切った。
美佑だ。
炎が詩織を包み込む。
とても、温かい。
「目ぇ逸らすな」
「過去なんか消えてくれねぇ」
「怖さも消えねぇ」
「だけどな」
レーヴァテインが唸る。
「それを抱えて戦うのが、俺たちだろ」
詩織の瞳が揺れる。
空に映る記憶の中。
一つの光景が浮かぶ。
ライブの帰り道。
笑う美空。
――詩織ちゃんの声、好きだよ。
胸の奥が、強く脈打った。
「……私は」
唇が動く。
「壊すために歌うんじゃない……」
ペンダントが激しく光る。
心臓の鼓動と同期する。
「守るために歌うッ!」
鎖が砕けた。
音装が再構築される。
今までとは違う。
白と青の装甲に、
淡い金のラインが走る。
背中の翼が変形する。
音波ではない。
“旋律”そのものの翼。
「始之巫女……ッ!」
美佑が息を呑む。
詩織の瞳が開く。
そこには迷いがなかった。
「行こう」
歌が始まる。
世界が震える。
カーマが笑う。
「「「いいわぁ」」」
「「「それでこそ愛よ」」」
無数の腕が振り下ろされる。
空間が潰れる。
その瞬間。
炎が走る。
歌が爆ぜる。
美佑が踏み込む。
詩織が跳ぶ。
二つの軌跡が交差する。
「俺の炎に合わせろッ!」
炎が旋律を纏う。
旋律が炎を加速させる。
二人の声が重なる。
「「双星ノ太刀・炎神絶槍!!」」
巨大な炎の剣が顕現する。
その中心に、
歌が核のように輝く。
振り抜く。
神域が裂ける。
カーマの身体に、
一直線の断裂が走り――
世界が、崩れ始める。




