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戦唱魔導録アリアスコード  作者: 音律科学附属高等学校 音装部
第1章 【 愛《カミ》と双星《ツインスター》 】

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第18話 【 待ってて 】

 詩織は、小箱の中のペンダントを手に取った。


 冷たい金属の感触。


 だが――

 それはまるで、心臓のように微かに鼓動していた。


 「……これを」


 詩織は胸元へと当てる。


 「……歌えばいいんですね?」


 「はい」


 政宗が頷く。


 「音装は、歌によって起動します。

  想いが強ければ強いほど――力は増幅される」


 詩織は静かに目を閉じた。

 

 浮かぶのは、美空の笑顔。


 あの日の帰り道。

 私の手を握りしめ、嬉しそうに笑っていた姿。


 ――詩織ちゃんありがとう!

 

 ――詩織ちゃんのおかげだよ!


 ――大好き!


 胸の奥が、きつく締め付けられる。


 「……美空」


 詩織は小さく呟く。


 「待ってて」


 「今、助けに行くから」


 静かに息を吸う。


 その瞬間――

 ペンダントが光った。


 淡い光が、詩織の胸から広がる。


 政宗が目を見開く。

 

 「反応……確認ッ!」

 

 「音装、共鳴開始ッ!」


 詩織が歌い始めた。


 最初は、震えるほど小さな声。


 だが、


 その旋律は次第に力を帯びていく。


 『Lumea vera, sing the flame


  Carry my soul beyond the name――』


 声が部屋に響いた瞬間、

 ペンダントが強く輝く。


 弾ける光。


 無数の粒子が詩織の周囲を旋回する。


 まるで――音符の嵐。


 光は集束し、形を成していく。


 肩


 腕


 脚


 胸


 青と白を基調とした装甲が身体を覆い、

 背中には音波の翼が広がる。


 そして、


 胸元には、ヴェールを思わせる刺繍が刻まれた。


 「適合率……上昇ッ!」


 「これは……!」


 政宗が呟く。


 「予想以上だ……ッ!」


 詩織の髪が、ふわりと舞い上がる。


 歌声が、さらに強くなる。


 『Rise, O star, awaken frame


   Longinus— call my name――』


 その声は怒りに震えていた。


 悲しみで歪んでいた。


 それでもなお――


 希望を捨てていない

 そんな声だった。


 歌が終わった瞬間――


 光が収束し、静寂が訪れる。


 詩織はそこに立っていた。

 完全な音装を纏って。


 瞳がゆっくり開く。


 さっきまでの詩織とは

 まるで別人のようだった。


 静かな怒りが、全身から溢れている。


 「……神代さん」


 政宗が声をかける。


 詩織は頷いた。


 「準備、できました」


 その声は、

 驚くほど落ち着いていた。


 「大丈夫です」


 詩織が一歩踏み出す。


 床に音が響く。


 「誰が相手でも。

  敵が何人いようと――」


 詩織の瞳が鋭く細くなる。


 「必ず、美空を連れて帰ります」


 部屋の空気が、再び凍りついた。


 夕日が口を開く。


 「……行きましょう」


 モニターの向こうで、美佑が叫ぶ。


 『おい詩織ッ!』

 『早く来い!』


 詩織は静かに答える。


 「今行く」


 その声には、

 

 確信があった。


 「美空、

  待ってて」


 詩織は窓の外へ視線を向ける。


 そして――


 「絶対に助けるから」


 次の瞬間、

 詩織の身体が光とともに


 夜空へと飛び出した。

 


 

 


 

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