原稿の中の相棒
夕方。
コンビニからの帰り道。
犬を連れた主婦や学生と住宅街ですれ違う。
少し先には、ギャン吠えする犬。
それをなだめる犬友が、世間話に興じている。
オレはもう、犬友とも疎遠だ。
外に出たのは、筆が止まったからだ。
そういうときは、考えるのをやめて、外に出る。
欲しいものがあるわけでもない。
それでもただ、コンビニへ行く。
そして、どうでも良いものを適当に買う。
相棒のおやつは、眺めるだけ。
今日は、のど飴を買ってきた。
帰ったら、口の中で転がそう。
通り抜ける公園に入ったところで、ふいに降りてきた。
次に書くべき1文が。
切っ掛けは、公園の入り口で吠えていた犬。
そっくりだった。
つい、振り向いてしまうほど。
頭の中に光がはしり、無数の文字が浮かびだした。
やがて、無駄な文字が消えていく。
最後に残った1つの言葉。
何時間も探していた1文。
いまだ吠えまくる犬を遠目に、「サンキュー」と心で。
さぁ、帰ろう。
帰って続きを書こう。
オレの相棒も、散歩に連れて行けと……
原稿の中で待っている。




