第73話 デジデジの吐露1
ししゃも。は鼻を鳴らして、デジデジを真っ直ぐ見据えた。
「ふんっ・・・撃つ覚悟もないくせに、そんなおもちゃ取り出してんなよ。ぽ前に悪役は無理なんだよ。100年後に出直しやがれ。」
「・・・そうだね。」
デジデジの声は弱々しく、まるで自分を裁いているみたいだった。
ゼロがぼそりと呟く。
「いまのセリフ、さっきのししゃも。にも聞かせてあげたいよ。」
「うるせぇ!!!!」
ししゃも。が叫ぶ。
そのやり取りの間に、ゼロは静かにデジデジへ近づいた。
床に落ちた銃を拾い、デジデジに手錠を掛ける。
「手錠が二人か・・・。今日は大漁だな!!!」
ジペットが妙に明るく笑う。
……緊張が一段落したせいで、空気がほんの少しだけ“現実”に戻り始めた。
風路兄ちゃんが冗談めかして言った。
「ふっ・・・ガキ、ギャーギャー喚き散らしてたが度胸は買ってやる。将来は俺のところで働くか?」
「えぇ~しゃも、可愛いからそんな怖いことできないのですぅー☆」
「それに引き換え、お前はこの世界には向かねぇな。お前はちと優しすぎる。」
今度は風路兄ちゃんがデジデジに向けて言う。
「そうですね・・・。自分が向いてないことは一番わかってます。でも・・・それでも・・・」
デジデジは言葉を途切れさせた。
俺は一歩前に出る。
「なぁデジデジ。もういいだろう?お前の話、ちゃんと聞かせてくれよ。」
「お前のこと、もっとちゃんと知りてぇんだ。な?」
「・・・うん。そうだね・・・。そうするよ。」
デジデジが頷いた。
一同はソファに腰を下ろす。
風路だけが立ち上がり、
「ちょっと茶でも出すか。待ってろ。」
「悪ぃな風路!助かるぜ!」
ジペットがソファーでくつろぎながら答える。
「燈真、うまい栗ようかんがあるんだ。食うか?」
「いいのか!!やったぜ!!!!」
「くそ・・・!燈真が来るってわかってたらちゃんと燈真が大好きなうまいシュークリームを用意したのにっ・・・!」
風路兄ちゃんが小さな声でぶつくさ言っている。
俺は聞こえないふりをした。恥ずかしいから。
茶と栗ようかんが並ぶと、ようやく“話す空気”が整った。
デジデジが口を開く。
「えっと・・・何から話せばいいのか・・・。」
「えっとな!・・・お前が感じてること・・・考えてることを、そのまま話してくれればいいんだ!言葉がおかしくったって気にしねぇからよ!ゆっくり話してくれ!!」
「うん、ありがとう。」
デジデジは一度だけ息を整えてから、静かに言った。
「そうだな・・・。まずは今の僕の状況から話すよ。」
「僕は、弟を守るためにしゃもしゃもを殺そうとしてた。」
「弟って・・・さっき家出る前にチラッと話してくれたやつだよな?確か今は別々に暮らしてるって・・・。守るってどういうことだ??」
「うん。僕の弟の名前は、『清水健人』。さっきしゃもしゃもがさらわれたって言ってた子だよ。」
「待って!?ケンちゃんがデジざえもんの弟!?訳わかめなんだけど!?だいたい苗字違くない!?」
「僕の父は婿養子で松川家に入ったんだ。旧姓が"清水"。」
「嘘・・・。ケンちゃんが松川会の家系!?なんで・・・!ケンちゃんはそんなこと一言も言ってなかった!!」
「もしかしたら健人は家のことは覚えてないかもしれない。すごく小さいときに施設に入れられたから。」
「なんで施設に・・・?」
ゼロが疑問を呈する。
「そうだね・・・。ここからは少し話が長くなるかもしれないけど、順番に話していくよ。」




