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【BL男子の日常】出会った男たちが嘘つきすぎて、洗脳事件とヤクザ抗争に巻き込まれて恋愛どころじゃない件  作者: 須戸コウ
第14章 新たな事件

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第72話 抱擁

「……どうしたの?燈真君」


デジデジからの返答がいつもよりワンテンポ遅い。

どこか俺の顔色を伺っているような感じだ。


「お前、何か隠していること……いや、困っていることがあるんじゃないか?」


「…………」


「何かあるなら俺が力になるから! だからちゃんと話してくれ!」


デジデジの眉が一瞬ピクリと動く。だがすぐに少し俯いて俺から目線を逸らした。


「ここいらが……いい引き際かな……」


デジデジは、まるで独り言のようにそう呟いた。


カチャッ。


そして懐から銃を取り出し、ししゃも。へ向ける。


結局こうなるのかよ……。

胸が締め付けられる。俺の声は、やっぱり届かないのか?


「デジデジ、お前っ!」


「……デイジー」


ジペットの怒声。悲しそうにデジデジを呼ぶゼロの声。


「……そうか、お前……。どこかで見覚えがあると思ったら、松川のところのガキか!」

聞き覚えのあるセリフが飛び交う。

「僕は……ししゃも。を、殺さないといけない」


「…………」


何を言えばいい?どうすればデジデジを止められる?


「……はぁ。だる……」


「お前さぁ。殺したいなら、さっさと殺せよ」


ししゃも。の冷えた声が部屋に響く。


「心配そうな顔してさ。『大丈夫?』とか、『話してくれてありがとう』とか言って。

泣いてるししゃも。の肩までさすって」


「あはははははははっ!!」


「なぁ? どんな気持ちだった?」


「お前の親族が、ししゃも。の両親殺したって聞いて、なに考えてたの?」


「…………」


「なんとか言えよ!!」


「この人殺し――――っ!!!!」

ししゃも。からあふれ出す言葉は止まらない。

俺はただ、デジデジの前に出ていこうとするししゃも。の身体を必死に抑える。

俺が二人の間にいる限りは、ししゃも。に銃の玉があたることはない。


「離せよっ!! 離せっ!!」


ししゃも。が泣き叫ぶ。


「こいつらが……ししゃも。のママとパパを殺したんだ!!

返せよ……返してよ!!」


「ししゃも。の……普通の幸せを……返して……」


ししゃも。が俺の腕の中で肩を震わせる。

強く抱きしめる。

それ以外になんて言葉をかければいいかわからない。


「……殺せよ。…………殺せるもんなら殺して見ろよ!!」


俺の胸に顔をうずめながらも、ししゃも。はデジデジに向けて言葉を放ち続ける。


「僕がキミのこと殺せないと思ってる?殺せるよ、僕はキミを殺さなきゃいけないんだから。」


俺はデジデジの方を振り返る。

揺れる瞳。感情を抑えるように固く結んだ唇。

……なんでお前も、そんな泣きそうな顔してんだよ。


何を言えばいいかはわからない。

でも……


「ジペット、ししゃも。を頼む。」


「わかった。」


「離せよっ! 離せっ!!」


ししゃも。の身体をジペットに預ける。


俺は向き直り、一歩ずつデジデジの方に近づいていく。


「近づかないで!」


デジデジが俺の方に銃を構えなおす。

銃先が揺れている。


俺はデジデジの言葉を無視して近づく。


「それ以上近づいたら撃つ!」


一歩。また一歩。


「――――っ!!」


もうすぐ届く。あと一歩。


「あああああああああああああああああああああああ!!!!」


デジデジの理性が壊れる音。


「燈真っ!」

「燈真くんっ!!」


部屋に響く銃声。


ーーは聞こえない。


俺はぎゅっとデジデジを抱きしめた。


「……撃つって言ったのに……どうして来たの?」


デジデジが俺の耳元でか細い声で言う。


「……そんな泣き出しそうな顔で何言ってんだ。」


「お前は撃たねぇよ。だってお前はめちゃくちゃ優しくていいやつなんだ」


「……燈真君、僕のこと何もしらないでしょ?僕はいいやつなんかじゃ」


「いいやつなんだよ! お前も知らねぇかもしれねぇけどな! お前は俺のことかばって死んじまうくらい、優しくていいやつなんだよ! 俺は知ってんだよ!!」


あのときのことを思い出して涙があふれてくる。

俺はもっと強くデジデジを抱きしめた。


「……なにそれ?全然わかんないよ。」


「わかんなくていい。お前がいいやつだっていうのは、俺がちゃんと知ってるんだ。それでいいだろう?」


「だからそれじゃあ……全然っ……わかんないってばぁ!」


デジデジの声が上ずり、鼻をすする音が聞こえる。

俺はデジデジの背中をぽんぽんっと叩く。


次第に泣き声が大きくなって、周りの音がほとんど聞こえない。


ーーガチャン


銃が床に落ちた音が、かすかに耳に届いた。



挿絵(By みてみん)

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