第6話 もうお嫁にいけない
・・・
「もう無理・・・しゃも汚されちゃった・・・。もうお嫁にいけない・・・」
「どうだ? まだ痛いか??」
「別の意味で痛いわ!! だいたいそんなおまじない効くわけ・・・あれ? ・・・痛くない??」
少年は不思議そうに自分の足をさする。先ほどまでの激痛が嘘のように引いているはずだ。
「そうだろう! 俺のおまじないはよく効くんだ!」
「えっ!? ヤダなに怖いっ!!!」
「おいあんまバタバタすんなよ! 痛いのが飛んでっただけでケガは直ってねぇんだ!」
「なんかもうさっきから訳わかめ・・・ていうかぽ前が変っ!!!!」
「あぁもううるせぇヤツだな! ちょっと待ってろ!!」
そう言い残すと、俺は猛スピードで公園を出る。
「もうホントなんなの・・・」
数分後、猛スピードで出ていった俺は、猛スピードで公園に戻ってきた。
「よう、待たせたな。結構近くに薬局があって助かったぜ」
「え?」
俺が手に持っているビニール袋の中には水や消毒液、絆創膏などが入っている。
「傷口洗うから靴脱がすぞ」
俺はそういいながら少年の靴を脱がす。
「ちょっと勝手に・・・!」
「うるせぇ手当してやっから静かにしてろ!」
「いいっ! もう自分でできるから!」
「うるせぇジタバタすんな!」
「もういいのに・・・」
「・・・・・・」
少年は観念したのか、すぐに大人しくなり、俺の手当てを黙って受けている。
俺はペットボトルに入った水で少年の傷口を洗い、消毒を施して軟膏の傷薬を塗る。
「おぅよかった。絆創膏一番大きいやつならギリギリ問題なさそうだ」
俺は優しく丁寧な手つきで絆創膏を傷口に貼る。
「ふぅ・・・これで大丈夫だ」
両足の手当てを終えた俺は一息ついた。
「・・・・・・」
「お前、足以外はケガしてねぇのか?」
「大丈夫」
「ホントか?? んー・・・あっやっぱり手のひらも擦りむけてんじゃねぇか! さっさとよこせ!」
「・・・・・・」
少年は黙って手のひらを俺の方に差し出す。
「・・・こっちの手だけだな」
俺は再び慣れた手つきで手当てを行う。
「よし、これで終わりだ」
「・・・・・・」
「もうほかはケガしてるところねぇか??」
「ない・・・大丈夫」
「ほんとにねぇの??」
「ない・・・」
「ホントにホントかぁ??」
「ねぇっつってんだろ!! しつけぇんだよこのどアホぉ!!!」
「やっとちょっと元気になったか! さっきからしおらしくしやがって」
俺は他にケガがないことを確認すると少年の隣に座った。




