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【BL男子の日常】出会った男たちが嘘つきすぎて、洗脳事件とヤクザ抗争に巻き込まれて恋愛どころじゃない件  作者: 須戸コウ
第8章 おかしな世界

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第37話 世界の外側

挿絵(By みてみん)

リビングには、さっきまでのバタバタが嘘みたいに静かな空気が漂っていた。テーブルをはさんで向かい合い、俺はずっと気になっていたことを切り出す。


「で、話って言うのはなんなんだ?」


真正面に座った革ジャンが腕を組む。


「そうだな!……ゼロ、なにから伝えればいいんだな!?」


ゼロは、顎に指を当ててしばらく考え込んでいた。


「うーん……」


「……なんだよ??」


焦れた声が勝手に出る。


「先に前置きをしておくと、今からぼくたちが話す内容は信じられないことかもしれない。」


淡々とした声が、妙に静かに響いた。


「でも、きみならたぶんわかってくれると思うから話すんだ。」


「……なんなんだ!? もったいぶらないで教えてくれよ!」


そこまで言うならさっさと言え、という気持ちが抑えきれない。


「そうだな。まず先に伝えておくと、“俺たちはこの世界の外側から来た”。」


「……は?」


あまりにもぶっ飛んだ一言に、頭の中が一瞬で真っ白になる。


「何言ってるのって感じだよね。でもきみは信じられるはずだよ。だって、いまこの世界でそういう不可解な出来事に遭遇してるから。そうだよね??」


その言葉に、胸の奥でこじあけられたみたいに、ぐっと何かがこみあげてきた。


「あっ、あぁ! そう、そうなんだ!! いまなんかおかしなことになってるんだ!!」


言葉が止まらなくなる。


「コウがっ、須戸コウがいねぇんだ! 急にいなくなっちまった! なのにA太もB斗もほかのやつらもなんかあいつのこと忘れちまってるし、あいつと一緒に撮ったはずの写真もないしっ! あいつがいた形跡が何もかもなくなっちまってて……!」


そこまで一気に吐き出して、喉がひりひりした。


「唯一あいつのこと覚えてたクソ兄貴とはギクシャクしちまってて、もう全然その話もできてねぇし……!」


指先が震える。胸の奥で、ずっと押し込めてたものがぽろぽろこぼれ落ちていく。


「どんどんアイツの存在が薄れていってる気がして……! それで俺、俺っ……! おかしいのは俺の方なのかなってちょっと思っちまった……。」


言えば言うほど、情けなさも込み上げてきて、でも止まらない。


「でも違ぇんだよな!? お前はアイツのこと知ってるんだろう? 覚えてるんだろう!? なぁ、アイツちゃんといるんだよな!!??」


必死に縋るような声になっていた。


「安心して。マスターは……須戸コウはちゃんと“存在”しているよ。」


その言葉が降ってきた瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。


「……………よかった……っ……よか゛っ゛た゛ぁああ!!!」


変な声のまま大きく泣き出していた。情けないとか恥ずかしいとか、そのへんの感情は全部どこかに吹っ飛んでいた。


「今までよく一人で頑張ってきたな! 大丈夫だ、これからは俺たちもついてる! お前を一人にはさせないぜ。」


背中に大きな手のひらがあたたかく触れる。

挿絵(By みてみん)

「ほら、いい子いい子。もう泣かないよ。」


頭にも、優しい手が乗った。


「……………だっでぇ!!……っ……ほん゛とによか゛っ゛た゛ぁああああ!!!!!」


さすられる背中と、なでられる頭。その全部が、今の俺にはありがたかった。



挿絵(By みてみん)

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