第29話 手がかり
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「で?ぽ前のイマジナリーフレンドはどんなやつなの?ししゃも。しゃべりすぎるらしいからぽ前がしゃべれや!」
「悪かったよ!つーかイマジナリーとかじゃねぇよ!!」
俺は頭をかきながら、少しだけ視線をそらした。
「でもそうだな、俺もアイツのこと、よくわかってなかったのかもしんねぇな。」
「アイツって誰だよ。」
「あぁ。最近、一人急にいなくなっちまったやつがいてさ・・・。俺、今そいつのこと探してるんだ。」
「・・・行方不明ってコト?家出とか?」
(・・・今のコイツに、本当のこと話しても混乱させるだけだよな。つーか信じてもらえねぇか・・・)
「わかんねぇんだ。なんでいなくなったのか。だから探してるんだ。」
「ふーん・・・。なんか手がかりはあるの?」
「いや、まったく。」
「なんか写真とかないの?」
「ねぇんだ。」
「積みじゃん。」
「・・・」
「・・・じゃあ似顔絵描いてよ。ししゃも。、顔広いからもしかしたら見つかっちゃうかもよ?」
「んなことあるか?」
「いいから描けっつってんだよ!おめぇは探す気あんのかよ!!??」
「わぁったよ!!描くよ!!!ちょっと待ってろ。」
俺は机に向かってノートとシャーペンを取り出し、記憶を手繰り寄せながら絵を描き始めた。
「ヨシ!できた!!!こんな感じのやつだ!!!」
ノートをバッと突き出して、ししゃも。のほうに見せる。
「なにこの小学2年生女児が描いたみたいな絵!」
「はぁ!?上手く描けてるだろう!?」
潤んだ瞳に力強い曲線。アイツの無造作な髪型から服装の特徴まで忠実に再現されていて、どう考えても上手く描けている。
「ししゃも。の方が上手いね!!ていうかこんな絵じゃ見つからな・・・ん!?」
ししゃも。の声が途中で止まる。
さっきまで馬鹿にしたように笑っていた顔が、徐々に真剣な色に変わった。
「どうかしたか?」
「え?もしかしてこれって鼻に絆創膏みたいなのつけてる?」
「おう。」
「で、なんか頬っぺたに猫の肉球みたいなタトゥーみたいなのついてる??」
「おう、ついてるぞ。それがどうかしたか?」
「え・・・?ししゃも。今日見たかも・・・」
「は!?どどど、どこで!?いつ!!!???」
思わず身を乗り出す。
「今日燈真きゅんと会うちょっと前!駅の近くで!なんかめっちゃコスプレみたいな変な人おるやんって思ったからすごい覚えてる。」
「ままままマジかよ!!!?ほんとに見たんだな!!?」
「う、うん。でも特徴が同じ別人かもしれないけど・・・。」
「いや、それでもいい!!!やっと・・・やっとアイツを見つける手がかりが見つかった・・・・!!」
胸の奥で何かが弾けるみたいに熱くなって、気づけば俺は立ち上がっていた。
「ありがとうししゃも。!!!!ありがとう!!!!!」
勢いのまま、俺はししゃも。を強く抱きしめた。
「ちょっ燈真きゅん!?やっ、急に・・・ちょっとぉ!!?」
「ありがとう!ありがとう!!!」
「ちょっといい加減離してっ・・・ていうか燈真きゅんちょっと汗臭い!!」
「あっ、そうだ俺今日まだ風呂入ってなかったわ。入ってくる!」
浮ついた足取りのまま、俺はスキップしながら部屋を飛び出した。
「・・・もう、急にびっくりするじゃん・・・///」
残されたししゃも。は、頬を少し赤くしながら、そっと自分の胸に手を当てた。




