第22話 あなた、結婚しなさいよ
夕食後。
颯真はすっかりししゃも。になついたようで、リビングのソファに並んで座り、楽しそうに話し込んでいる。
「デジデジくん、悪いわねぇ~。お片付けお手伝いしてもらっちゃって。」
母ちゃんはエプロン姿のまま、シンクに向かって食器を洗いながら振り返った。
「いえ、お食事もご馳走になったのでこれくらいさせてください。」
「デジデジは真面目だな!」
俺はテーブルの上の皿から残り物を集めて、保存用の皿に移し替えながら言う。
デジデジは母ちゃんが洗った食器をふきんで拭き取り、棚にしまっていく。
「本当にいい子!うちの子になってほしいわぁ~。」
「あっ!燈真、あなたデジデジくんと結婚しなさいよ。」
「は!?かっ母ちゃんいきなり何言うんだよ...!!」
「だってとっても礼儀正しくて気が利くいい子じゃない~!あなたちょっとずぼらなところあるし支えてもらいなさいよ~」
「きゅっ急にそんなこと言われたってデジデジも困るだろう!??」
「僕は全然OKだよ~。結婚してもお互いの趣味とかプライベートとかは尊重できる関係でいようね~」
「デっデジデジ!!?まっマジ!!?マジなのか!!?」
「・・・・///」
デジデジは目線をそらして頬を赤らめる。
「まっ・・・マジかよ・・・。」
思わず手が止まり、俺はデジデジの横顔を凝視してしまった。
俺の顔や耳が熱を帯びていくのがわかる。
・・・・・・
「ふはははは!!」
「ふはははは!!」
「へ!?」
突然デジデジと母ちゃんが一斉に笑い出す。なんだなんだ!?
「もう冗談よ!あんたすごい真に受けちゃっておかしな顔!笑」
「なんだよ冗談かよ!!」
「燈真君は騙されやすそうだね。僕ちょっと心配になっちゃった。」
「あら?じゃあやっぱりうちの子が結婚詐欺に騙されないように結婚してもらおうかしら??」
「ふふふっ。考えておきますね!」
「・・・ったく。なんか楽しそうにしやがってよ!」
「・・・でも本当に、こういうのもいいかもね・・・・」
デジデジは小さくつぶやく。
「ん?なんか言ったか??」
「なんでもないよ。」
「はい!お片付けおしまい!!本当にありがとうね~!あとはゆっくりしていてちょうだい。」
「こちらこそ!ごちそうさまでした。」
片付けを終えた俺たちは、リビングの方へ戻る。
ソファでは、まだ颯真とししゃも。がゲームの話だかなんだかで盛り上がっていた。
「ねぇ、そういえば今日は二人とも泊っていくのよね??お布団とかも用意しとくわね。」
「え?いやっ、さすがにそこまではご迷惑かけられないので!もうすぐおいとまします!」
「え!なんでよ泊ってけよししゃも。!俺、もっとお前と話したいしさ!」
歳が近いこともあってか、颯真はししゃも。に対してかなり砕けた態度で接している。
「いや・・・でも、ホント悪いし・・・。」
「悪いとかそんなことあるわけないだろう!ね、母ちゃん!」
「そうよ!何の問題もないわよ!あっ、でも親御さんたちに言わないと心配させちゃうわよね。」
「いえ・・・親は...問題ないんですけど・・・」
「あら?そうなの??じゃあ泊っていきなさいな!お母さんお布団とかの準備してこよー!」
「あっちょっ!!」
ししゃも。の制止もむなしく、母ちゃんはさっさとリビングから出て行ってしまう。
「よしっ!じゃあ決まりだな!」
ししゃも。が俺の顔をチラッと見る。
俺はさっきのお返しに、自信満々のにやり顔を見せてやった。
(このハゲーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!)
ししゃも。が心の中で絶叫しているのが、顔を見ただけでわかる。
その後、俺とししゃも。とデジデジは俺の部屋に移動し、母ちゃんが用意してくれたお茶とお菓子を囲んで座った。




