第21話 家族団らん
「それじゃあみんなで!」
「「いただきます!!」」
颯真の掛け声に応じて全員で声をそろえて手を合わせる。食卓が一気ににぎやかになった。
「うめぇ!!母ちゃんの飯、うめぇ!!!」
一口食べた瞬間、思わず声が出た。
今まで憧れても手に入らなかった”母の味”が、今ここにある。
「あらあら、お母さんうれしいわ。でもそんなに急いで食べたら危ないわよ~」
「母ちゃん、おかわり!」
「まだお茶碗にご飯入ってるじゃないの。食べ終わってから言いなさい。」
「母ちゃん、おかわり。」
「まだお茶碗にご飯入ってるじゃないの。食べ終わってから言いなさい。」
父ちゃんとクソ兄貴が、まったく同じタイミングで同じことを言い、同じように母ちゃんに怒られている。
「父ちゃんも一真兄ちゃんもお客さんの前なんだからもう少し落ち着きなよ。」
「「うほぉ・・・」」
颯真に注意されてふたり同時にしょんぼりしている。なんだか面白い。
「ししゃも。くん、デジデジくん、騒がしくってごめんなさいね~。」
「え?全然気にならないですよー!お気になさらずー!にぱー☆」
「賑やかで楽しくていいですね!お料理もとっても美味しいです!」
「あらぁ~。本当にいい子たちね。たくさんあるからいっぱい食べなさいね!」
「はーい!」
(・・・デジデジはいいとして、ししゃも。がなんか大人しいのが気持ち悪ぃな・・・)
いつもの倍くらい愛想よくしているししゃも。をちらっと見ながら、俺は心の中で首をかしげる。
「燈真兄ちゃんとお二人はどこで友だちになったんすか??」
「実は出会ったのはさっきなんだよね~。」
「えぇ~!?そうなんすか!?」
「道歩いてたらししゃも。に燈真きゅん"が"ぶつかって来て、ししゃも。のペンダントがなくなっちゃって・・・。探すの手伝ってもらってたの~。燈真きゅん"が"ぶつかってきたから。」
「お前っ!!」
「燈真兄ちゃん!ちゃんと前見て歩かなきゃダメじゃん!!え?もしかしてししゃも。さんが足ケガしてるのって・・・」
「・・・そう、燈真きゅん"が"ぶつかって来た時に・・・。でも大丈夫!ししゃも。は全然気にしてないから!これくらいなんてことないよ。ししゃも。、我慢できるよ。」
まるで辛いのを健気に隠しているような声色で自分に都合のいいように話すししゃも。。
なんだコイツ!?
「燈真兄ちゃん!何してるんだよ!!ちゃんと謝ったの??」
「いやっあれは!!」
「人にケガさせておいて言い訳しない!ほら、ちゃんと謝って!!」
「・・・・っ!!・・・・・・・・・ごめん。」
颯真のまっすぐな視線に押され、俺はどうしようもなくなり頭を下げた。
「そんな気にしないで!燈真きゅんも悪気があったわけじゃないみたいだから。そんなに責めないであげて。」
「ししゃも。さん・・・できた人っす!!ホントにごめんなさい。燈真兄ちゃん、すごく優しいんだけどたまに周りが見えなくなることがあるから・・・。ししゃも。さんみたいに心が広い人に燈真兄ちゃんの友だちになってもらえてよかったっす!!よかったらこれからも燈真兄ちゃんと仲良くしてもらえたらうれしいっす!」
「燈真きゅんって猪突猛進なところあるよね。大丈夫、ししゃも。に任せて。」
「ありがとうございますっす!!はいっす!!」
ししゃも。が俺の顔を見て、口元だけでにやりと笑う。
(・・・・この野郎!!!!颯真の前で俺を悪者にしやがった!!!!チクショウ!!チクショウ!!!!)
一同はその後も軽い世間話を交えつつ、和やかな雰囲気で食事をとっていく。
「そっか、来月には都知事選とか始まるんだね。」
颯真は、食卓の横でついていたテレビのニュースから話題を拾って口にする。
「選挙って毎年・・・じゃねぇよな?なんかやったりやんなかったりするよな??」
「都知事が途中で辞職とかしなければ4年に一回だね~。」
俺の素朴な疑問に即座にデジデジが回答してくれる。
「へー。」
「4年に一回ってなんかあれだな...?」
「「オリンピックみたい!!」」
五十嵐家の声が見事にハモった。




