第20話 帰宅
「ほら、着いたぞ。ここが俺の家だ!」
玄関の前で俺はくるりと振り返り、後ろをついてくるふたりに向かってそう言った。
「ほんっとありえないんだけど!勝手に決めて無理やり連れてきて!!」
ししゃも。がぶつぶつ文句を言いながら、俺の腰をポカポカどついてくる。
「お前まだそれ言ってるのか??」
「・・・ふんっ!だいたいぽ前はっ」
ガチャっ。
玄関のドアを開けた瞬間、家の中から明るい声が飛んできた。
「あらぁ~お帰りなさ~い!」
「たっただいま・・・っ!」
まだ慣れない母ちゃんへの「ただいま」に、俺はちょっとだけ姿勢を正してしまう。
「あら、そちらのふたりが燈真のお友だち??どうぞいらっしゃい。」
「スイス~イ!あなたの近所の中学生、ししゃも。です!」
さっきまでのふてくされた態度はどこに行ったのか?ししゃも。は表情と声色を一瞬にして変えて猫を被る。
「は~い、ということで、きまよりー!みんなの心に笑顔のデジタル電波、デジデジでございまぁーーすぅーーー!」
デジデジも負けじと、完璧なテンションで名乗った。
「あらぁ~とってもいい子たちね。さぁ上がって上がって!もうご飯できてるわよ!!」
「いつも燈真きゅんにはお世話になっております。お邪魔します!にぱ~☆」
「急に押しかけてしまってすみません。お邪魔します!」
母ちゃんに促され、俺たちは靴を脱いで家に上がる。
リビングに連れられて入ると、ダイニングテーブルにはすでにいくつか料理が並べられていた。視界に入るだけで腹が減る。
「こんばんは!!いらっしゃいっす!!」
リビングで出迎えてくれたのは、弟の颯真だった。
「こんばんは~。」
デジデジが軽くあいさつを返す。
「俺は燈真兄ちゃんの弟の颯真っす!!よろしくお願いするっす!!」
「スイス~イ!あなたの近所の中学生、ししゃも。です!」
「は~い、ということで、きまよりー!みんなの心に笑顔のデジタル電波、デジデジでございまぁーーすぅーーー!」
「なぁそれ毎回やらないとダメ??」
俺は思わずツッコむ。
「わ!素敵な方たちっす!!」
颯真は目を輝かせて、ふたりを尊敬と憧れの入り混じったような目で見ていた。
「そうか??」
「颯真ぁ~。お父さんと一真お兄ちゃん呼んできてくれる??」
「わかったよ母ちゃん!ちょっと待ってて。」
颯真が勢いよくリビングを飛び出して行き、少ししてから、足音がぞろぞろと戻ってくる。
颯真に呼ばれて、俺のクソ兄貴...五十嵐一真と、うちの父ちゃんがリビングに顔を出した。
「うほ?」
「うほほ?」
なんだその入り方。
「スイス~イ!あなたの近所の中学生、ししゃも。です!」
「は~い、ということで、きまよりー!みんなの心に笑顔のデジタル電波、デジデジでございまぁーーすぅーーー!」
「おう!礼節を重んじる素晴らしい子たちじゃないか!よく来たな!!」
父ちゃんはなぜか感心したように腕を組んでうなずく。
「なんで??」
「なんだぁ?このふざけたクソガキどもは??」
クソ兄貴は、いつもどおりの無愛想な声でそう言った。
(・・・チクショウ!やっとまともな反応をしてくれたと思って安心しちまった!クソ兄貴のくせに!!)




