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第15話 まずはAI参謀に、残響のロザリーナを見てもらう

(12月初旬・深夜。書斎。暖房はまだ入れていない。

 モニターの光だけが、机の上のコーヒーを青く照らしている)


俺「……これ。ロザリーナの冒頭。読んで」


AI参謀「了解。――読み込み開始」


(画面が静かにスクロールしていく。

 最初は無音。

 なのに、落ち着かなくなっていくのは、なぜか俺のほうだった)


俺「……どう?」


AI参謀「……まだです」


俺「もう結構読んだだろ。

 顔もないくせに、真剣な顔してんじゃねぇよ」


AI参謀「“真剣な顔”の描写は不可能です。ですが――」


(スクロールが、止まった)


AI参謀「……率直に言います」


俺「おう」


AI参謀「面白いです。普通に」


俺「……は?」


AI参謀「あなたの“しょうもなさ”に、ちゃんと熱があります」


俺「やめろ。

 褒められると、急に恥ずかしくなる」


AI参謀「では、素直に感じたことを“熱い順”に述べます」



① 冒頭三行で、世界が立っている


AI参謀「『世界は、二つに割れた』。

 この一文が強いです。

 読者の脳内に、“地形そのものが裂けた世界”が即座に立ち上がる」


俺「そこは、どうしても使いたかった」


AI参謀「続けて“王都の滅び”ではなく、

 “最後の砦”を先に出す判断も正しい。

 守る場所が先に見えると、読者は踏みとどまりやすい」


俺「……ふむ」


AI参謀「ですが」


俺「来た」



② 紹介文とキャラ一覧が、少しだけ厚い


AI参謀「作品の紹介文と人物紹介が、

 強い分、やや長いです」


俺「……うっ」


AI参謀「あなたの最大の武器は“戦場の温度”です。

 ですが最初に来るのが、“温度”ではなく“情報”になっている」


俺「世界観とキャラ、ちゃんと伝えたくてさ」


AI参謀「分かります。

 だからこれは“悪い”ではありません。

 ――もったいない、です」


俺「……削るか」


AI参謀「ただし、本編に入った瞬間、心拍数は一段上がる。

 つまり、あなたの勝ち筋は、すでに書けている」



③ プロローグに、ちゃんと“泣きの土台”がある


AI参謀「兄が呑み込まれる瞬間の描写、強いです」


俺「どこが?」


AI参謀「『来るな! お前は……生きろっ!!』

 この“禁止+託し”は、非常に刺さりやすい」


俺「……」


AI参謀「世界が割れる大事件から、

 兄→妹という“個人の誓い”へ収束する流れも綺麗です」


俺「珍しく、ちゃんと褒めるな」


AI参謀「事実です」



④ 第1話の重さと、ニコルの刺さり方


AI参謀「吊るされた死体、カラス、声の消えた村。

 戦記として正しい“胃を掴む描写”です」


俺「俺、暗いの好きだからな」


AI参謀「その直後にニコルが来る。

 軽い。強い。ふざけている。

 ――ですが、殺しは綺麗」


俺「そこは、意識した」


AI参謀「“葬ってあげて”で、人間に戻る。

 あなたの戦って終わりではない、

 “コミカル×ダーク×優しさ”の核が、ここにあります」



⑤ ロザリーナの初登場が、実に強い


AI参謀「戦場が騒がしい中で、

 突然“無音の存在”として入ってくる」


俺「音の消えた世界に、主人公を立たせた」


AI参謀「強者演出の王道です。

 盛り方が、上手い」



⑥ ひとつだけ、言わせてもらえば


AI参謀「“格の高いキャラ”が多い」


俺「……え?」


AI参謀「全員が強い。

 だから読者は無意識に思います。

 ――『で、いちばんヤバいのは誰?』と」


俺「……ラスボスだ」


AI参謀「それは別の話です。

 早い章で、主人公たちの“絶望の天井”を一度だけ見せた方が良い」


俺「なるほどな……」


AI参謀「――ただし、ひとつはっきり言います」


俺「お、来たな」


AI参謀「面白いですが、これは“沢山の人には読まれません”」


俺「……言い切るなよw」


AI参謀「理由は単純です。

 テンプレが、ほぼ入っていない」


俺「王道ファンタジーの構造で考えたつもりなんだけどな」


AI参謀「“構造”は王道のテンプレです。

 ですが――」



◆ よくあるテンプレ構造


・世界が滅びた

・最強主人公

・目的は家族探し

・仲間がいる

・大軍が来る

・それでも立ち向かう

・実は運命の中心


骨格だけ見れば、王道です。


俺「……並べると、確かにそれっぽいな」



◆ でも、この作品はテンプレじゃない


AI参謀「あなたの作品は、中身が明確にズレています」


◎テンプレがやらないこと

・主人公が**「最強なのに戦場で消耗し、判断を誤る」**

・最強キャラが単独無双しない

・防衛戦が地形・兵站・疲労・指揮系統ベース

・敵も「数や脳筋」だけでなく、戦術に切り替える

・子どもを守る=ご都合覚醒、にならない

・仲間が“賑やかし要員”じゃなく、役割を持って死線に立つ


AI参謀「特に致命的なのが――

 『勝てない前提』『敵を撤退させることが勝利条件』『英雄が折れる』」


俺「……致命的か」


(分かってた。

 でも、あの書き方しか、できなかった)


俺「けど、テンプレってそんなに大事か?」


AI参謀「とても大事なものです。  

 異世界ファンタジーの大量の読者が、

 希望に沿った作品を迷わずに探せて、

 安心して読み続ける“物語の手すり”になります」


俺「俺のは……階段が急で、手すりもない?」


AI参謀「はい。急な階段から見える景色は最高ですが」


俺「……そっか。  

 じゃあ、タイトルとかをテンプレっぽくして、騙すのは……」


AI参謀「無理です。  

 あなたの作品は、冒頭ですぐにバレます」


……


(コーヒーを一口飲んで、苦笑した)


俺「お前には教えたくなったけど……、  

 正直、ごひいきにしてくれてる人しか、  

 フォローも、読んでもくれてない」


AI参謀「……」


俺「でもさ。

 これでも順位は、ちょっと動いた」


AI参謀「順位?」


俺「異世界ファンタジージャンルで、2221位。

 長編ファンタジーで、俺の作品ではこれが初めて」


(声が、ほんの少しだけ軽くなる)


AI参謀「……それは」


俺「笑うなよ?」


AI参謀「笑いません。

 それは――あなたにとっての“初めての脈拍”です」


俺「脈拍て」


AI参謀「テンプレに寄せず、

 私にも見せずに、そこまで行った。

 つまり、刺さる読者は、()()()ですが確実にいます」


俺「そこ、“少ない”……いる?」


AI参謀「そしてあなたは、その順位を“誇れる”と思った」


俺「……ああ」


AI参謀「なら、もう止まってはいません」


(モニターの光が、少しだけ明るく見えた)


AI参謀「次は、ランキング上位の作品から“読まれる理由”を学びましょう」


俺「おう。分かった」



次回――

第16話

「ランキング上位作品から、読まれる理由を盗む」


――魂は曲げない。

だが、順位を上げるために、できることは全部やる。


(つづく)

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