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【1分小説】月の魔術師

作者: 微昼夢
掲載日:2024/12/06

ある村が、魔物の進行に手を焼いていた。

度重なる大軍の進行に、村の男は傷つき、倒れる者もいた。村の女は汗水垂らして飯を作って男を癒す。


次の進行が、村の今後を左右する。そんな戦いだと皆が気を引きしめる中、ある少女が村を訪れる。


淡い緑のローブに、同色のとんがり帽子。少女の身の丈ほどもある、金の装飾が施された石の杖を持っている。少女が小さいのか、杖が大きいのか、存在感を放っている杖。

「ええと、旅の方でしょうか。今は魔物の進行を防ぐのに手一杯で……」

村長が悲しそうに少女に話す。

「なるほど。そういう事でしたか。皆様お疲れの様子。ここは1つ、私の魔法で治癒の泉を作ってみせましょう。いかがですか?」

少女は屈託のない笑顔で村人に問う。

村人は小声で話し合い、やがて結論が出たのか少女を見つめる。

「では……お願いします」

村長がそう言って、ゆっくりと頭を下げる。村人も村長に倣ってみんな頭を下げる。


少女は村の裏手に泉を生み出す。

男共が入ると、傷は癒え、生死の境をさ迷っていた者も意識を取り戻した。

泉の水を使った料理は人々を元気づけ、村に活気が戻る。

村人達は武器を手に取り、咆哮をあげる。

「これでこの村も大丈夫そうですね」


少女が微笑むと、村の裏の森に入る。

月を見上げる。

体が淡く光り、小さな粒となって月に向かう。

月は皆を平等に見つめている。

561文字

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