後ろの席の彼
振り返ると高校の同級生がいた。
私の後ろの席で彼はよく私に話しかけてくる。
「ああ、杉野くんこんな時間に会うなんてびっくりだね。」
と思ってもいないことを口にしながら、じゃあねと言いコンビニを背にし自分の家と足を向ける。
私は彼が苦手だ。これから同じ空間で話始めなくては行けないのなら、コンビニを諦めるくらいには。
後ろからは買っていかないのか?という声が聞こえるが聞こえてないふりをしながら家へと向かう。
彼は学校でムードメーカー的立ち位置だ。
それを自覚しているのかしていないのか知らないが、彼はいつでもクラスの中心にいる。
そんな彼はいつでも無意識の中で私を傷つける。
別に一人でいることを苦に思ったことはない。
中学の頃の女子同士の派閥争いや人間関係に少し疲れてしまったから、今は自ら望んで1人になりに行っていた。
そんな私を彼は可哀想だと決めつける。
輪の中に交わることの出来ない私を異端だと思っている。これはきっと彼なりの気遣いなのだろうが私にはそれが辛くて仕方なかった。
そんなことを思いながらはぁ。と少しため息をついて、気持ちをリセットする。
そしてさっき起きたあの出来事が夢や幻覚の類ではないといいなと思いながら私は家の扉を開ける。
死んだようにベッドに入るとまた再び眠りにつく。
明日は土曜日で何も無い。
騒々しいこの現実から少しは開放されるといいなと思いながら私は目を閉じた。