別れ
空を歩いていると見覚えのあるような森まできた。
[ここのモミの木を通ると元の場所に帰れるさ。]
と彼はゆっくり私を地面に下ろしながら話した。
私はそんな彼に
「どうしてそんなに優しくしてくれるの?」
と尋ねる。
彼は微笑みながら
[なんでだろう。君を見ていると懐かしく思うよ。]
といいその後ろに、ここの人たちは別に君に意地悪をしたい訳じゃないのさ。珍しい客人に少し戸惑っていだけだよ。と続けた。
僕も彼らもシャイだからね。許してやってくれ。と少しまゆを落として微笑むと、私の背をトンっと押してもうお帰りの時間だよ。と帰りを促す。
私はその手に押し出され足が1歩また1歩と進んでいく。振り返りたいが足がそれを許してくれない。
それでも優しくしてくれた彼にお礼を言おうと慌てて
体を捻るとそこはいつも通る公園だった。
深夜の暗い静かな公園。
人の往来もなく、ただ暗闇が広がっている。
私は少し寂しさを胸に抱えながら、あの一瞬の不思議な体験を噛み締める。
後ろ髪引かれながら公園をあとにした。
明るいネオンが目印のコンビニにつく。
人工的な光にやられ少し目をかすませると、入口から人が出てくる。
そして
「小鳥遊さん?」
と声をかけてきた。