平行線の世界R4
平行線の世界R4
その世界は平行線で、決して交わることがない。
けれども常に、互いが見える場所にあった。
最後まで道は消えることも、途絶える事もなかった。
それは、幸いな事だったのだろう。
一人の少女がいた。
悪という役に据え置かれるはずだった少女が。
「私は自分のために強くなるの」
そういって剣を磨いた少女は、とある大罪人の罠にかかって妻づ太。
その少女には、たくさんの友人がいた。
誰もが少女を心配したけれど。
その祈りや願いは、何一つ現実をかえなかった。
彼女がもし一人でその道を歩まなければならなかったら。
とっくに、命は尽きていただろう。
その事実は救いにはなったが。
誰も、それに目を向けられるほど余裕がなかった。
「私は一人でも誰かを守りたい」
「私は誰かを傷つけるために剣を学んだわけじゃない」
状況はいつも変化していく。
彼女は、力をつけ、地位も与えられた。
一見して、よい位置にいるかのようにみえた。
だが、それらは。
人を富ませるはずのそれらの要素は少女を追いつめるだけだった。
それらは少女に「命を奪え」と強いる。
それらは少女に「人を傷つけろ」と命じる。
だから少女は、断崖絶壁の上に立たされた。
そこで本来なら、少女は原形をとどめなかったかもしれないが。
少女は一人にはならなかった。
吹けば飛ぶような砂でできた救いの手が差し伸べられたからだ。
その手を取った少女は、断崖絶壁の上にできた。
ガラスの道を歩いていく。
誰かが踏み入れば割れてしまいそうなもろい道の上を。
はるか先に道が途切れているのを知りながらも。