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夢の中で  作者: オリンポス
4章 庭園と令嬢
13/16

生垣のモグラ

「お,またここから帰りたいっ言う奴が来たのか.」


モグラはそう言って生垣の中へ潜ったんだ.

ガサっと小さく音がしたらすぐに止んだ.心臓の音と風の音がよく聞こえたんだ.


「で,お前はここが嫌いなのか?」


右手の生垣からモグラは顔を出してこう言ったんだ.


「嫌い?いやそんなことは無いさ.」


僕は普通に答えたんだ.もうこんな光景に適応するのも慣れたもんさ.


「ふーん,そうか.お前はここにいるようなやつな気がするがな.」


「心外だな.僕はそんなにイカレテ見えるかい?」


「おいおい,俺はここの奴らがイカレテいるなんて一言も言ってないぜ.まぁ,ここはそう言う奴らの集まりだがな.」


まぁ相手してやるよりも僕は先に進もうとしたんだ.

今いるところはT字路,僕は右に行こうとしたんだが,


「おい,別にどっち行こうと構いやしねぇが,ここを間違えちまうとこの庭園抜けるのはちょっと辛いぞ.」


「そりゃ,どちらかが行き止まりだろうけど,戻ればいいだろう.」


「そんなわけにはいかねぇ.ここからはな.お嬢が許さねぇのさ.」


「お嬢?」


「ここを抜けるとわかるさ.ただここの分かれ道だけは間違いが許されねぇ.」


脈絡もない話だったが,同にも信じないわけにはいかなかったんだ.

当然さ,僕は帰らないといけなかったんだ.


「ここに居りゃいいのによ.気づいてるか?ここじゃ食事は別に必要じゃねえ.睡眠すらもいらねぇ.」


今までの道のりを考えると相当な時間は経っていたんだ.だけど確かにモグラの言う通り,お腹はすかなかったな.まぁそれはろくな場面がなかっただけかもしれないけどね.


「お前はさっきここの奴らを毛嫌いしていたが,そんな悪い奴らじゃねぇさ.ただ話したがりなだけだ.」


「本当に話したがりばかりだ.やることだけやって適当にほっといてもらいたかったね.」


「まぁ人間同士,やらせるだけってのは無理なもんさ.あいつらは迷ってくる奴らが大好きだからな.」


本当はこの時にもうどちらに行けばいいのか分かっていたんだ.だけどこの時の僕は彼?の話を聞かないといけないそう思ったんだ.


「ここはいったい何なんだ?あんたならなんか知ってそうだが・・・.」


「ここは別に何の変哲もないここさ.そうだなあんたにとっちゃ地球だろ.それでいいじゃねぇか.」


「何か要領を得ないな.残念ながら知っている地球にはこんな場所がないね.」


「まぁ,いろんな奴らのたまり場さ.それはそれはいろんなところからのな.共通しているのはここに執着したってところだな.」


「執着?」


「嫌気がさしてんのさ.元の場所によ.ただ,生きる何かはある.だから奴らは話したがるんだ.ここの奴らは皆知り合いさ.」


「あんたも嫌気がさしたのか?」


「まぁそういうもんだよ.俺は特殊だからな.」


彼はハァとため息をついた.そのあと,生垣に潜って,僕よりも上から見下ろす位置まで登ったんだ.


「時間をとらせちまったな.帰るんだろう?さっさと選びな.」


「右に行くよ.」


僕はT字の生垣道を右に曲がった.

振り向いたら彼は僕を見送っていてくれたんだ.


「仲間に会えるさ.」


ふと僕の口をついたんだ.なぜだろうね.今でもよくわからない.


「そうか.」


「『ない』ことなんて誰も証明できないんだ.1人でも『いる』ならきっと他もいるんだよ.それに・・・.」


この時の僕は何故だかよく頭が冴えていたな.


「そのためにここにいるんだろう?」


ハハっと男らしく笑う彼を背に僕は生垣の迷路を抜けたんだ.

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