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夢の中で  作者: オリンポス
3章 樹塔の螺旋階段
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真理はどこに,誰に,

「さぁ,早く!ここから!」


ジョーカーの目は大きく開いてじっと僕を見ていたんだ.

眼球が小刻みに震えているのがとても印象的だった.


「おい,いったい何のことだ.」


「そうとぼけなくて結構!私は生まれの土地柄そういうのには敏感なんですよ!」


さらに彼はまくしたてるんだ.


「あなたは今ここにあることを,自覚していない!そう,私たちがまるで絵本の中の住人ように.そう思ってるでしょう!」


確かにその通りだろう.前にも何回も言ったように僕は夢の中に居ると思っていたんだ.


「それは此処にあなたの信じれらないものがあるから,そうでしょう!」


彼はよく僕の心を分かっているらしかったんだ.


「ああ,私はそれがとても下らない!ただ自分が信じられないだけで,それを知らないだけで,それを説明できないだけで,それはないものだと決めつける奴らが一定数居ることが!」


「・・・」


僕は呆気にとられていたんだ.

確かに,前まで見ていた彼が彼自身の本性であるとは思っていなかった.

ただ,まさかここまで激情的だとは思わなかったんだ.君はどう思ってたかい?


「どうして,君の世界の真理が全ての世界の真理だと言えるのかい?」


ジョーカーは聞いてきた.ただ僕には上手く答えられなかった.

そしてジョーカーはゆっくりと話し始めたんだ.


「ある世界には未来と過去の両方を見通す生物がいたらしい.物体は力が働くことで相当する方向へ,相当の速さで運動する.その生物には力の方向と大きさを見ることができた.君は良く知っているんじゃないか?有名な悪魔さ.」


そういうものがあるのはなんとなく知っていたんだが,やはり僕はこういう話は苦手で先が見えなかったんだ.


「だがそんな悪魔でも説明がつかないような事象があった.彼の目をもってしてもあの2つを同時に見ることができなかった.」


ジョーカーは僕の目をじっと見つめていた.そして語気を強めてこう言った・


「それでも,心理を求めることを『彼ら』はあきらめなかった!するとどうだろう.彼らは新たな心理を見つけたのだ.ああ,なんと素晴らしいことか.」


ジョーカーは涙を流していたんだ.

そして天を仰ぎ,地面を見下ろし,大きく息をついて再び話し始めた.


「目の前に理解できないものがあるとして,それが存在しないなどと誰もいうことはできない.在るということは即ち在るということ.それ以上にそこに解釈の余地はないのです.たとえあなたの真理で理解できなかろうと,その背後にはそれを包含する大きな心理が存在する.今後数千年の時が経とうとも見つからないとしても,そこにはそれがあるのです.それもまた心理によって説明される.」


そう話し終わった後のジョーカーの顔は,口角も上がらず目も細くなく,ただまっすぐと僕を優しく見ていたんだ.

そのとき,やっと彼の声がこの縦に長い建物の中でうめくように反響していたことに気付いたんだ.


「ここは紛れもなく現実.私がここにいて,あなたがここにいるのは私の世界の真理によって説明づけられている.さぁこちらへ.」


前とは違う笑顔でジョーカーは僕を案内した.

螺旋階段を下りていくと,僕の身長の3倍はあるだろう大きな扉が僕らを迎えたんだ.

ジョーカーは最後にこう言って扉を開けた.


「当然,あなたにとってここは,そしてその存在を裏付ける『心理』は,荒唐無稽でしょう.それで構わない.時にはその心理が排反事象的であるかもしれないのですから.」


それを聞きながら僕は扉に入ったが,その時視界の隅に映ったのは,一番最初のあの胡散臭い笑顔のように思えた.振り返ると扉はしまっていたんだ.あんな大きな扉が一つの音もたてず,僕が振り返るよりも早くね.

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