うなじ。
まるで美しい わずかな数のうぶ毛
当然 知らないでしょう あなたは
うしろから観ていたから
その儚げな裾を 決して触れることはなく
ただずうっと 観つ 続けていた
舞い散る木葉 紅葉色の着物姿
肌寒いとは思いますが その首筋に
どうかーー 届きますようにと
募る想いを ひた隠しにして
ゆらゆらと揺れる 鬱陶しい羽虫に
その行方に まだ 燻るのです
優しく付き添う 二人きりの川縁
ひらひら舞う 季節外れの蜻蛉
美味しそうな香りと 賑やかな
街の喧騒 上がる狼煙