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90話 男達

 村の入り口に向かうと、地面に座らさせられながら縄で縛られ、見張りをしていたファイアーウルフ達に囲まれている男達がいた。


 あいつらが俺に用があるって言うやつか?

 全く顔もいらないやつらだけどな。

 一体何の用があるのだろうか。


 「リウス様。侵入者を捕らえました」

 「ああ、ゼーラから聞いたよ。俺に用があるんだってな」

 「はい。でも何だか様子が変なんです」

 「様子が?」


 俺の姿の気づいたファイアーウルフは、俺に駆け寄ってきた後、状況を説明してくれた。


 どうやらこの男は、俺がいた国に住んでいる奴のようだ。

 目的を聞くとベラベラと喋り出し、全く隠す気がないのだとか。

 さらに、不思議なことに、ファイアーウルフ達に怯える反面安堵した表情を見せているらしい。

 この男達がなぜ安堵した表情をしているのか分からないが、もしかしたら自分を囲っているのがファイアーウルフだと知らないのかもしれない。

 やばい奴らに捕まらなくてよかったと、安堵しているのかしれないし、それ以外の理由があるのかもしれない。


 とにかく、聞いてみるしかないな。


 「俺に用があるらしいな」

 「あ! やっぱりそうだ! 俺間違ってなかったすよ!」


 俺の顔を見るなり、帽子をかぶっている男は、他の男達を見ながらそう言い始めた。


 「おい! リウス様に失礼だぞ!」

 「ひぃぃっ!」

 「別にいいよ」


 縄で縛られる男を怒鳴ったファイアーウルフを宥めて、話を続けた。


 「俺はリウスという名だ。お前達が俺のことを探していると聞いたが、なぜだ?」


 男達は喜ぶような表情を見せた後、顔を見合わせて真ん中に座らされている男が話始めた。


 「実は俺たち、ギルドに入っているんですけど、そのギルドのリーダーに、リウスという男を探してこいと言われているのです」

 

 俺を探してこいと言っているギルドリーダー……もしかしてだが、心当たりがある。


 「もしかして……スーザックっていう男か?」

 

 俺がこの名前を出した瞬間、5人揃って目を見開いた。


 「知っているんですか!?」

 「知ってるも何も……俺そこに入ってたし」

 

 俺が追放させられた後に入ったのだろうな。


 「何も聞かされてないのか?」

 「はい……。ただ、特徴が書かれた紙と手紙を渡されて、探してこいと言われただけですので……」

 「手紙?」

 「はい。これです」


 そう言いながら、縄で縛られている手で何とかポケットから手紙を取り出し、俺に差し出してきた。

 読むのは後にしよう。

 

 男達はそのまま驚いた表情をしているが、そのまま話を続けた。


 「それで、1ヶ月以内に見つけろって言われて、見つけるまで帰って来るなって言われたんです」

 

 なんて酷いやつだ。

 同じギルドメンバーにすることじゃないだろ。


 「別にそのまま逃げればいいんじゃないか?」

 

 そんな無理な話、引き受ける必要はないと思うけどな。

 

 「そんなこと出来ませんよ! 俺達は、あの国以外では住むことができませんし……さらに、何も成果を上げずの帰ったら、もしかしたら殺されるかもしれないし……」

 「殺される……? 誰に?」

 「スウサという人にです。知っていますか?」

 「勿論知っている。あいつに裏切られてギルドを追放されたんだからな。死ぬまで絶対に忘れない」


 俺の話を聞いて、端に座っていた男が、やっぱりスウサさんはやばい人だったんだって! と言い、それに皆頷いていた。


 それにしても、スウサはそんなやばいやつになってしまったんだな。

 あのギルドを追放されていて、よかったかもしれない。


 「それにしてもお前達、どうやって俺を見つけたんだ?」

 

 俺がここにいる事は、あのギルドの連中は誰ひとりとして知らないはずだ。

 だとしたら、一体どうやって俺を探したのだろうか。

 まさか何の情報もなく探すなんて事はな――


 「ひたすら探して見つけました」


 どうやら、まさかと思った方法で探したらしい。


 「まずは王国内を探し回りました。でも、見つけることができなかったので、王国を出て住めそうな場所を、しらみつぶしに探して行きました」


 こいつらすごい根性だな。

 俺なら絶対諦めてしまっている。


 「それでこの森まで辿り着き、各自別れて探していたところ、俺がリウスさんの特徴にピッタリ合う人を見つけたんです」

 「それが俺ってことか?」

 「はい。それで次の日、荷物をまとめてリウスさんが歩いて行った道を辿っていたところ、このようになってしまったわけです」


 ああ……そういうことか。

 この5人は、スーザックに大変な想いさせられているんだなぁ。


 「あの……俺達と一緒に来ていただけませんでしょうか?」

 「貴様は何を言っている! リウス様が行くとでも――」

 「いいよ。着いてく」

 「え?」

 「いいんですか!」


 俺が行くと言うと思っていなかったのか、男達に怒鳴ったファイアーウルフは唖然とし、それに反して5人は喜んでいた。


 俺が行かないと、こいつら帰れなさそうだしな。

 それに、


 「ちょっとスーザックとスウサに久々に会いたいしな」


 俺を散々コケにしてくれたこと、後悔させてやるよ。




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