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55話 作戦

 「よし、ではこれで作戦会議を終了とする」

 

 出来るだけ早く救出に向かわなくてはいけないため、30分と言う短い間で作戦を話し合った。

 そして、みんなで話し合って決まった結果は――


 「とにかく助ける」

 「そうだよね。やっぱそれが一番大事だよね」


 たったそれだけだった。

 具体的な救出方法や逃走経路、敵との戦闘方法など何一つとして決まらなかった。


 なぜ決まらないかと言えば、覇獣士同士が仲が良い訳では無いということだ。

 お互いに協力をしたことがないらしく、今までに何度か作戦を立てて戦場に出て行ったこともあるが、一度もその作戦通りに動いたことがないらしい。


 もしかしたら俺たちは、結構大変なやつらと仲間になってしまったのかもしれない。

 だが、俺はそんな奴らでも共に助けに行きたいと思っている。

 こいつ達は作戦を守らなくとも、助けるべき者は必ず助けると会議中で言っていた。

 だから俺は、こいつ達を信じて共に救出に向かいたいと思う。


 ファイアーウルフ達の救出とマラオス王国軍討伐に向かうのは、俺とゼーラ、エンファ、アマウス、ミルマ、覇獣士の10人となった。


 「ファイアーウルフ達やマラオス王国のことは頼んだぞ」

 「ああ、任せてくれ」

 

 俺たちが向かっている間、ムラルドルは国に残って、防衛の指揮を取ることとなった。

 最初は、俺も出向くと言っていたのだが、何が起こるか分からないから、国に残って防衛に徹して欲しいと言ったところ、俺の意見に納得してこの国に残ることになった。


 「なら出発する――」

 「おい、待て」


 俺が掛け声をかけて、椅子から立ち上がった時に、突如圧のある声をかけられた。

 

 「なんだ?」

 「私は、どうすればいいのだ」


 ガヤガヤとしていた会議中に腕を組んで寝ていたグーレが、突然目を覚ましたのだ。


 「お前はここで居残りだ」

 「なんだムラルドル、そう言うお前も席から立ち上がらないと言うことは、私と一緒で居残りか?」

 「その通りだ。だが、お前みたいに寝たり遊んでいたりする居残りではなく、意味のある居残りをするんだ」

 

 まだ眠たそうにする目を、ムラルドルから俺へ向けると何故かずっと目を離そうとしない。


 「どうした?」

 「ふん、意味のある居残りか。なら私は、意味のあることをするためにリウスについて行くとする」

 「いや、ダメ――」

 「却下は無しだ。なんと言われようとも、私は必ず行く。たとえ、ムラルドル、お前を倒してもだ」


 グーレの今までとは違う、異様な雰囲気に会議室には沈黙が流れた。

 

 「グーレ、どうしてそこまでして俺と一緒に行こうとしたがる。何か重大なことでもあるのか」

 「そうだ。それもお前に関わることだ」

 「俺に?」

 「お前、マジックストーンを持っているだろ?」

 「ああ……持っているけど、なんでわかったんだ?」


 ていうか、魔王とかにもなるとマジックストーンを知っていたりするのか?

 

 そんなことを考えながら、体中で保管しておいたマジックストーン取り出して、机の上に置いた。 

 最初はポケットに入れていたが、戦闘中に無くしてしまう可能性がかなり高いため、魔獣の力を使って体の中にしまうことにしたのだ。

 ちなみに、痛みは一切ない。


 「やはりこれは本物のマジックストーンだな」


 マジックストーンを手に取ると、グーレは明かりで照らしながら観察を始めた。


 「これが本物と確定して以上、より一層私も行かなくてはならない」

 

 出会った時とは違い、真剣な声でそう言い放った姿を見て、ムラルドルは小さくため息をついた。


 「リウス、こいつも共に連れていってもらっても構わないか?」

 「別に俺は構わないぞ」

 「なら、よろしく頼む。多分ここでこいつを引き留めることなんて不可能だからな」


 まさかムラルドルが許可を出すとはな。

 てっきり絶対に行かせないとでも言うかと思っていた。


 「じゃあ、今度こそ出発だ」


 そして俺達は、戦場に向かって部屋を後にした。





 

 


 


 


 

 

 


 


 

 



 

 

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