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34話 魔獣の力②

 俺の攻撃を食らったナーシャは、力に逆らうことが出来ずに何十メートルも吹き飛ばされていった。


 「ガハッ……!」


 吹き飛ばされた勢いのまま、太い木に背中から直撃すると雷光腕のせいか体を痙攣させていた。


 「おいどうした?さっき俺に向かって君には余に勝てない、とか自信満々に言ってたくせによ。この自信過剰野郎が」


 痙攣が治まり、上半身を起こすと、物凄い形相で俺を睨んできた。


 「余のことをなめるなよ……!お前なんか本気を出せばすぐに……」


 「あっそう。でもお前の本気はどうせ弱いから」


 俺は上半身だけ起こすナーシャに、0.5秒にも満たない速さで接近すると、右腕を大きく振りかぶり、顔面に向かって打ち込んだ。


 「やめ……」


 ナーシャの頭が地面につくと同時に、轟音が響き渡り、着地部分を中心に、あたり一面が大きくひび割れて大地を変形させた。


 俺が腕を持ち上げると、顔の形は保たれているが、赤い液体が大量に流れ出ていた。


 なんだよ。四位のギルドの副リーダーというものだから期待はしていたが、そんなこともないんだな。


 俺はナーシャから目を離し、少し離れた場所に横たわるフェイへと目を移した。


 なんでだろうな。フェイといた時間は全然長くないのに。この今の俺の感情は、なんなんだろうな。


 フェイとは波乱の出会いだった。


 カロスといたところをなぜか急に襲われて戦うことになり、そして和解した。


 そこからフェイは、俺を慕うようになって様付けで呼ばれるようになった。俺が可愛いと言ったら顔を赤らめさせて恥ずかしそうにしたが、嬉しそうでもあった。


 俺の目の前でカロスと繰り広げられていた言い合いは、こっちまで疲れたがそれでも微笑ましく、面白かった。


 俺は、フェイと過ごした本当に短い時間で起こった出来事を思い返していると、何故か目の前がくすんで見えなくなっていった。


 「涙……」


 俺は泣いているのか……?なんで泣いているんだ?フェイと過ごした時間は本当に短い。だから悲しい思いをする必要なんてないのに……こんな感情が湧く必要なんてないのに……。


 俺は左手を自分の胸に当てて必死にそう言い聞かせた。


 これ以上自分が辛い思いをしなくてもいいように、苦しまなくていいように……。


 だけど……フェイと過ごした時間がどれだけ短かったとしても……俺は……


 「フェイ……頼むからさぁ……嘘だって言ってくれよ……。騙されてますわよって……生きてますわよって……俺に言ってくれよ……」


 俺の目から出た透明な液体は、頬を伝って、地面に落下し、染み込んでいった。


 


 

 


 




 


 


 


 

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