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14話 逃走完了

 「グララララァァァァァァァァッッ!!!」


 翼をはばたかせ、空中に逃げる俺たちに向かって空気が揺れるほどの声で叫んだ。


 「ふぅー、危なかった」


 俺たちに攻撃をすることができないと判断すると、グロキュラスは別の方向へ走り去って行った。


 「なに……?その翼……?」


 俺の背中から生える黒い翼を見て、異常なものを見るような目で俺の翼を見た。


 「この翼?うーんと、まあ色々あってこの翼が使えるようになったんだよ。アハハ……」


 どう考えてもこんな説明で納得してくれるわけないよなー……。


 俺はそう思いながらもミミィの顔を見た。多分この人なに言ってるのみたいな目で俺のことを……


 「うわーーー……!すごいすごい!リウス何者!?」


 「お、俺は普通の人間だよ」


 ミミィは俺の予想とは反した反応を見せ、手をバタバタさせた。


 「おいおい、危ないぞ。でもせっかくこの翼が出せたことだし、このままミミィの家を探すことにするか……ッ!」


 俺は翼をはばたかせ、ミミィが指さした方面に向かって飛ぼうとした時、急に翼の大きさが小さくなり、徐々に落下し始めた。


 「リウス……?ちょっとこれ……」


 「ああ……マジでやばい!」


 翼が小さくなるたびに落下速度が上がり、とうとう翼がなくなってしまった。


 「キャアアァァァァァァァァァァッッ!!!」


 「やばいやばいやばいやばい!!!」


 落ちていくうちに足と頭の位置が逆になり、このまま落ちれば即死コースだ。


 でもどうしたら……。いやまだ方法はあるじゃないか!これができれば助かることができる!


 俺は必死でその方法を頭の中で考える。


 すると、次第に右腕に電気が走り出しその腕は人間のものではなくなった。


 成功だ!


 俺が思いついた方法とは、雷光虎の腕で地面と衝突する瞬間に地面を殴る。そうすれば落下勢いを殺せるのではないかという方法だ。


 俺は人間のままの左腕でミミィをしっかりと掴み、絶対に離さないようにする。


 「ミミィ、しっかり捕まっていてくれよ」


 あと地面まで数十メートル。俺は右腕を後ろに引き、いつでも地面を殴れる体勢にする。


 どんどん加速していく体は、数十メートルもある距離を一瞬で接近した。


 よし……今だ!!!


 後ろに引いた腕を勢いよく前に突き出し、地面を思い切り殴る。


 その衝撃で近くの地面はほとんどがえぐられ、周りにあった木や岩なども吹き飛ばされた。


 「いってぇ……」


 今までにないほどの衝撃を右手に感じ、痛みで動かせなくなってしまった。


 「リウス……大丈夫?」


 「俺は……大丈夫だ。それよりミミィは大丈夫か?」


 「うん!リウスが守ってくれたから平気」


 「それは良かった」


 俺は腕に結構な傷を負ったが体が魔獣に変化するからなのか、普通は何週間もかかりそうな傷も一瞬で治っていく。当然今の傷もほとんど治ってしまった。


 これは……凄いな……。


 ミミィは奇跡的にかすり傷だけで済んだらしく、痛そうな顔はほとんどしない。


 なんとか危機は乗り越え……ちょっと待ってくれよ……。


 俺たちの周りにはいつのまにか数匹の三メートル程はある魔獣がいた。


 なんでこうも立て続けに魔獣のに取り囲まれるんだよ……。


 俺はまだ少し痛む腕を押さえながら立ち上がり、あたりを見渡した。


 もう完全に囲まれてしまっている。これは逃げようがないな。もうこうなったら戦うしか……。


 「おい」


 もう一度雷光腕を出現させようと意識を集中させようとした時、一匹の魔獣から声が聞こえた。


 いや、正確には魔獣から聞こえたのではなく、魔獣の上から声が聞こえた。


 「そうだ。お前だ。お前がしたこと、当然覚悟はできてるんだよな?」

 

 

 


 




 


 


 



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